31話「自分と同じ想いの人が仲間っていいよね!」
「旦那!ここはどうすりゃいいんだ?」
「ここはこの車輪の動きに連動してだな・・・・アリアス!そこの筆を取ってくれないか?」
「は、はい!お待ちください!」
エリオットさんとの話し合いも終わり、コウさんとナタリーが剣を研いで貰うことになっていたので私達はベラデイルで2日間の待つことになりました。
アキラさんとルーイちゃんは兵舎に戻るなり馬小屋で魔道具の設計図の作成に取り掛かっていました!
「どうぞ!」
「ありがと!」
それにしても何を作るおつもりなのでしょうか?
今書いている設計図を見てもチンプンカンプンです!
でも、きっと周りが驚くようなものなんでしょうね!なんかワクワクします!
「おっしゃ!わかったぜ!これなら何とかなる!すげーな旦那!よくこんなの思いついたな!確かにこれは漏らしたら世界が変わるぜ・・・・こんなのが作れるなんて着いてきてよかったぜ!後は俺の仕事だな!」
「そ、そうか!それは良かった!じゃあ任せてもいいか?」
「いいぜ!だけど最終調整は立ち会ってくれよな!」
「ああ!もちろんだ!部屋にアリアスといるから呼びに来てくれ。頼んだ!」
「おう!わかった!ルーイ様に任せな!」
へー私と部屋にいるんだ〜・・・・・・
えーーー!!!!聞いてないです!!!
「アリアス、すまないが相談があるんだ。頼めるか?」
「は、はいぃ!大丈夫ですぅ!」
アキラさんが不思議そうな顔をすると、すぐに歩き始めたので慌てて着いていくことになっちゃいました・・・・
アキラさんは部屋に入るなりローブを脱ぎ椅子に投げるとベッドに寝転んでしまいました!!!
そんな!!ダメです!!そういった関係では・・・・
「アリアス、あの〜・・・ありがとな・・・・」
「え?・・・・」
「エリオットとの話の時、俺の味方をしてくれて助かった・・・・」
「そんな!御礼なんて大丈夫です!本当にアキラさんなら何とかしちゃうんじゃないかと思ったんです!」
「ありがとな・・・・・・・と、感謝ついでに頼みがある。」
アキラは起き上がると荷物袋の中に手を入れて紙の束とインクの要らない筆を取り出しました。
「アリアスが治せない病気をありったけ教えてくれ。」
「え?・・・・なんでですか?」
「これから俺は、できうる限りの薬を作ろうと思う。だから症状や治った事例など細かく知りたいんだ。俺は病気の人たちの治し方を知っているかもしれない・・・だから、目一杯手を広げて少しでも助かる人を増やそうと思うんだ・・・・カッコつけかな?」
私の体に電気が走ったようでした。
私が助けれなかった人や手の届かない人を、この人は魔人だけでなく、本当に救えてしまうかもしれない・・・・
アキラさんの考えが、想いが、声が、私の胸の辺りをギューと締め付けたようでした・・・
目の当たりが熱くなってきて音を立ててるような感じが湧き出てきて・・・・・
「・・・!?すまんアリアス!!何か気に触ったか?」
「もちろんです!・・・・・っあ!カッコつけってことじゃないですよ!気に触ったとかでもないです!!賛成です!大賛成です!全身全霊を持って協力します!」
「そ、そうか!ありがとな!よろしくな!」
「こちらこそです!よろしくお願いします!」
その後アキラさんと私は夜まで病気の話や、何故かお肌の悩みなど、時間が経つのを忘れるくらい話し続けました。
でも、ずっとワクワクが止まらなくて終始笑顔で病気の話しをしていた私は、おそらく気持ち悪かったのではないかと部屋に戻って気づいた時にはベットの前で膝から落ちました・・・・・
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「兄ちゃん!おはよー!また寝てないんでしょ?」
「ああ、おはよう。いつもの事だ捨て置け。それより昨日はどうだったんだ?剣はうまくいきそうなのか?」
予め朝食の時間を合わせようと話していた俺とコウは部屋を出ると兵舎の入り口に向かって廊下を歩き始めた。
「それがさぁ!聞いてよ!ナタリーがさぁ!」
「ゴホンッ!」
階段を降りた先でアリアスとナタリーとルーイが待っていた。今のわざとらしい咳は言うまでもない。
「コウ様、あれは必要なことです!私は間違ってはおりません!コウ様は元々、二刀流と伺っております!2本剣がなければコウ様の剣を研いで貰うことになりません!!おはようございますアキラ殿!」
「お、おはよう・・・・」
「いや、それはセコくない?!だってさ、ナタリーの・・・・・」
あーあ、言い合いが始まっちゃったよ・・・・
まぁ俺はコウに賛成かな。
「旦那!おはよう!」
こいつも俺と同じで寝てないな。だが、表情から察するに順調な感じかな?すまんが今は頑張ってくれ!!
「おはよう!ルーイ!順調みたいだな。これが終わったら存分に・・・・」
「ルーイちゃーん!おはよー!!」
「シャーー!!!」
ナタリーは腕組みを解いて腰に手を当てると仁王立ちで俺たちの進路を塞いでいた。
話の腰を折ったコウに苛ついているのかな・・・・
大丈夫ナタリー、いつか慣れるよ・・・・
何故かわからんがアリアスはモジモジしていてナタリーを止める気配はない。ルーイに至ってはアリアスの影から触ろうとしたコウに威嚇している・・・・・
「アリアス、おはよう。」
「おはっ!・・・おはようございます・・・」
なんだなんだ?昨日何かしたかな?俺の部屋から出る時も普通だったし、別件かな?
まぁ時間もないから食事にしよう!
っと、その前に!
「すまない、先に行っててくれないか?カルマンさんに用事を伝えたらすぐ追いつくから。」
「オッケー!遅かったら兄ちゃんのも食べるからね!アリアスが!」
「ちょ!そんなことは・・・・・」
「そうだな、急ぐよ!」
アリアスのふくれっ面を見て和みながら俺はカルマンさんの部屋に向かった。
次回12月21日




