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28話「タメ口で喋れるって仲良い証拠だよね?ね?!」

「えーっと、俺はコレとコレと、あの人が食べてる奴ちょーだい!」


「コウさん!コレも食べたほうがよろしいかとおもいます!」


「かしこまりました。では暫くお待ちください。」


スレンダーな金髪美女が注文を取り終わると水の入った木のコップを机に並べて去っていった。


アリアスが変なポーズで固まった後、すぐにコウ達が合流した。

案の定、無類の猫好きであるコウは目の色を変えてルーイに抱きついて撫で回して引っかれていた。

一通りの説明や紹介はコウの顔が血だらけになった後だ。

アリアスの紹介してくれたお店までルーイが無言で俺とアリアスの後ろにくっついていたのは言うまでもない。


「だ、旦那が双聖だったとは・・・・・」


ルーイはコップを両手で持ちながら、今も俺とアリアスの間でプルプル震えている。


「あーあ、俺ルーイちゃんの横が良かったな〜」


ルーイがコウの発言に体をビクつかせたので話を変えてやることにした。


「そういえば、ルーイは何歳なんだ?」


「・・・・12・・・子供じゃねーからな!もう結婚も出来る歳だぞ!旦那も子供扱いしないでくれよ!」


「え!こっちって12歳で結婚できるの!?じゃあさルーイちゃんは好きな女の子とかいるの?」


コウがニマニマして聞くとルーイはギョッとした顔を向けた後、溢れるほどの勢いでコップを机においた。


「・・・・・俺は女だ!!!」


「ご、ごめん・・・・・」


「お待たせしました。」


ふー!助かった!危うく盛大な沈黙が訪れるとこだった・・・・

ウェイトレスが食事を運んで来たので皆、受取るとアリアスが話題を切り替えてくれた。


「美味しそうですね!!・・・・そ、そういえばコウさんとナタリーは収穫あったのですか?」


ナタリーもコウも助かったとばかりに顔色を変え、話に乗ってきた。


「こちらは収穫無しだ。コウ様の所望する《刀》という剣がなくてな。」


「そうそう!諦めて普通の剣を買おうかと思ったんだけど、切れ味悪いのばっかりでさー!マジカマクラー!」


うーん、確かにこちらの剣は『叩き切る』剣ばかりで切れ味の良さそうなものは見かけないな。


「兄ちゃん何か言ってよ!・・・・おお!このパン美味いね!」


コウの『ナマクラ』と『カマクラ』を掛けたセンスのないギャグを無視して話の先を急ぐ事にした。

このままでは、また買った剣を折られかねない。


「鍛造の強度が高そうなのは無かったのか?」


叩き切るのでは剣に掛かる負荷が大きい。ましてやコウが使うとなれば尚更だ。

剣の墓場が出来るだろう。


「無いねー研いでるのもあったけど鋳造ばっかり!中には、さっき型から出しましたって感じのもあったよ〜」


「ちゅ、鍛造?アキラさん、鍛造ってなんですか?」


まさか!?鍛造がないのか?そんなことないだろ。


「金属を叩いて伸ばす成形方法だ。まさか鋳造しかないのか?」


「すいません、こちらでは溶かした鉄を型に流し込む方法しかありません・・・・・」


マジか・・・・・

そんな強度の金属ばかりだから工業の発展が芳しくないのかもな・・・・


「いや、アリアス。他の成形方法は聞いたことがある。三大魔都の1つ《アーガルド》でだけ作られているらしい。敵ではないが、あそこは鎖国していて製法はわからん。だが、かなりの強度があるそうだ。もしかすれば鍛造とやらかもしれん。」


「ナタリーちゃん、三大魔都ってなによ?近いの?」


「すみませんコウ様。三大魔都とは魔王が治める国の事です。とは言っても1つは、勇者が支配していますが・・・・」


「え?敵なの?」


「いえ、敵でも味方でもありません。以前の戦争は今は勇者の支配する《ミスガルド》との戦争であり、《アーガルド》と《リンガルド》は関わっていません。」


待てよ・・・魔王討伐を掲げた勇者を魔王が放って置くのか?


「ではその《アーガルド》と《リンガルド》は戦争時どうしていたんだ?勇者は何故、《ミスガルド》以外に手を出さなかったんだ?」


「《アーガルド》は100年以上前から鎖国、外の国への干渉は行ってない。各国の上の者達は攻撃を望んていたらしいが、大義の無い戦いに人がついて行かないと勇者が蹴ったらしい。《リンガルド》は勇者と不可侵条約を結んでいたらしい。今は《ミスガルド》からの攻撃を受けているから勇者の味方ではない、また各国へ侵略してくる程の敵でもない。」


魔都・・・危険性はそこまでなさそうだが・・・・《アーガルド》は鎖国か・・・・・厳しいな。


いずれにせよ《時の魔女》のいる首都ミッドエルスまで剣を鋳造に頼るとなると金がいくらあっても足りない。


「兄ちゃん、俺達で打てないの?親父と一緒に見学に行ったよね?」


確かにあの剣術オタクの親父に連れられて行ったことはある。それに知識としても叩き込まれたが、炉を貸してもらう所を探さなければならない。

それに1本の刀身を仕上げるのでも作業だけで1週間以上かかる。ましてや柄や鍔、鞘まで入れれば途方もない。経験のない俺達では下手すれば倍以上の時間がかかるかもしれん。

旅の道中の俺達では、そこまで待てないし宿泊費も材料費もない。


「無理だな。時間も金もない。すぐに出来てもモドキだ。また折れるぞ。」


「そんなに鍛造というものは時間がかかるのですか?鋳造でしたら飾りのないもので3日ですが・・・・」


「飾りが無くても熟練の鍛冶屋で二週間そこらだ。待てんだろ?」


「・・・・そうですね・・・・あ!これ美味しい!」


アリアスはそう言うと両手に持ったパンを頬張って破顔していた。

なんなんだこの子は・・・・


「旦那、さっきから聞いてたんだけど魔法陣使えば強度は高めれるぜ!」


おお!!!そうか!!魔法陣の存在を忘れていた!すっかり次に作ってもらう物に使う事ばかり考えていた!


「いけるのか?」


「切れ味はなんともならないけど強度なら注ぐ魔力次第でなんとでもなるぜ!稼ぎのある剣士なら皆やってるぜ!」


よし!これで剣での浪費は避けれた!コウの魔力なら硬さはなんとかなるな!


「えー切れ味無いとかタダの棒じゃん!こっちに来た時みたいに刺すしかないのは戦いづらいよー」


「ガマンしなさい!お金ないの!」


「ちぇっ!」


「たしか切れ味の良い剣なら、この街に1人だけいる研ぎ師に頼んで見るってのはどうだ?高いけどなー」


「マジで!それいい!!そうしよー!!」


コウが身を乗り出してルーイと握手しようとして引掻かれた。

弟よ!肉球願望が見え見えだぞ!


「どれくらいかかるんだ?」


ナタリーが痛がるコウを座らせながらルーイに聞いた。

確かに金次第・・・・


「まぁあの爺さんに頼むとなれば、86万ダイトだな!」


「却下。」


不貞腐れながらコウがパンを頬張ると、横のナタリーがモジモジしてルーイをチラチラ見ていた。

ナタリーは魔法陣入れてないのか?


「ルーイ、ナタリーの剣にも魔法陣を組んでくれないか?」


「旦那の頼みならいいぜー!」


「助かる!帝都の魔法陣師はとてもじゃないが金が出せんのだ。」


その日の兵舎までの帰り道はナタリーが鼻歌を歌っていた。

ユニーク1000到達しました!!楽しんで頂けていれば幸いです!

来週はプロットの整理と仕事の関係でお休みさせて頂きます。良いものに出来るように頑張りますので応援よろしくお願いします!


次回は12月10日です!

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