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23話「歪を貫く音速の虹」

次回11月15日

「お、おい!なんだ!?あの魔法は!?」


「わ、私にもわかりません!」


地面に伏せたカルマンさんがアキラさんが起こした爆発の方を指しながら聞いてきました。

巻き上がる土煙で様子が一切見えません・・・

私もナタリーも言われた通りに伏せていましたが、聞く耳を持たなかったベラデイル兵の方々は衝撃で後ろに転がっていました。

たしかに、こんな爆発を伴う魔法は見たことがないです!

それよりもアキラさんは大丈夫なのでしょうか!?


「あ、あ、アリアス!アキラ殿は大丈夫なのか!?」


衝撃が収まったのでゆっくりと立ち上がると、前にいたナタリーが振り返りざまに青い顔でカルマンさんと同じ様に指をさしながら叫んでいました。


「わかりません!」


「おーい!大丈夫だった?多分兄ちゃんは大丈夫だよ!!ハステルより弱いしね!」


コウさんは起き上がると剣を再び構えながら動揺する私たちに声をかけ、すぐさま魔人へと向かっていきました。


「魔人とやり合う今の男もだが爆発の男・・・・いったい彼らはなんなのだ?」


カルマンさんの頬から汗が一筋落ちるのが見えました。

たしかにあのお二人、常人ではありえません・・・・

魔人一人と戦うだけで100人の兵士が必要になると言われています。

低級覚醒でも40人は必要です。

その魔人と一対一・・・・・


今もコウさんは魔人と一進一退の攻防の最中です。コウさんの剣は衝撃波を伴い、魔人と化し理性を失った《ダリル》の男性の着衣を切り裂いていました。


「あの剣士・・・・コウ様は《時の魔女エスティナ》様の呼び寄せた勇者に対抗しうる存在『異界の戦士』だ。」


「グゴァあああああ!!!!」


耳をつんざく様な叫び声が聞こえると、コウさんと競り合っていた魔人の胴体が2つに離れていました。

コウさんの持っていた剣は衝撃で折れてしまっていました。


「「「おおーーー!!」」」

「あいつ一人で魔人を倒しやがった!!!」

「なんだあの剣技・・・見たことない流派だ・・・」


先ほどまでの沈黙が嘘かのようにベラデイル兵達からの大きな歓声が響き渡りました。


見たことのない紅い湯気のようなものがコウさんの体から立ち上っています・・・・

これが『異界の戦士』なのですか・・・・・


「なにぃぃ!?魔人を真っ二つ!!!?・・・そうか・・・『異界の戦士』・・・・ならあの爆発の男はなんだ?」


舞っていた土煙がようやく消え去って様子が見えてきました。

すると、すごい勢いで空にアキラさんが舞い上がるのが見えました!


「アキラさん!!」「アキラ殿!!」「さすが兄ちゃん!!」


よかったです!流石です!

ホッとすると力が抜けてしまい、地面にヘタってしまいました。


「生きているとは・・・・奴も『異界の戦士』なのか?」


「・・・彼はコウ様の双聖・・・・アキラ殿は魔女の加護は一切受けていない。『異界の戦士』ではない・・・アキラ殿は自ら学び、新しい魔法を生み出している・・・・」


「双聖なのか!?・・・一人は『異界の戦士』・・・ならあの男は『異界の魔学師』といったところか・・・・」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




さぁ。上手くいっただろうか・・・・


俺はマッドワイル(土壁)を足元に放ち、上に向かって飛び上がった。


「ぷはっ!!」


体中泥だらけだ。深い泥沼の中で息が続くか心配だったがなんとかなったな。

分離しておいたナトリウムも水としっかり反応してくれてよかった。

あとは魔人がどうなっているか・・・・


飛び上がると直径5メートル深さ2メートルほどのクレーターが出来上がっていた。

うわ!マジやばい!4メートルくらいの深さに潜っていたからギリギリじゃないか!!


「アキラさん!!」「アキラ殿!!」「さすが兄ちゃん!!」


目線をずらすと、魔人が煙を上げながら転がっていた。

ふと見るとコウの前にも体を2つに割かれた魔人が倒れていた。


本当にこれで良かったのだろうか・・・・

コウも何か納得のいかない顔で折れた剣を握りしめていた。

コウのシャツが所々赤く染まっている。

流石に満身創痍か・・・・


コウのもとへ歩き出すと同時に聞きたく無い大きな叫び声が鼓膜を大きく震わした。


「ガァァァァァァ!!!!!!」


先程まで頭を抱えていた魔人が急に弾丸のような勢いで真っ直ぐベラデイル兵の方向へ走り出し、俺とコウの間を走り抜けて行った。


「ヤバイ!兄ちゃん!あと一人!!」


そうだ!まだいたんだ!だが恐らくもう魔力が少ない!

コウの剣も折れている!

コウの魔法は繊細な魔法は使えない!こちらから下手に魔法を出せば皆に被害が出てしまう!

マズい!何か・・・何かないのか!?


俺もコウも同時に何の策もないまま魔人に向かって走り出していた。

向こうではナタリーが剣を構えてアリアスの盾になっている。


そうだ!!スティングだ!!

アリアスを見て頼んでいたスティングの捜索を思い出した。

コウならスティングのように投擲ができるんではないだろうか・・・


「コウ!全力でこれを投げろ!!アリアス!最大出力でウォルターバリル(水弾)を魔人との間に維持!!」


「はい!!!」


アリアスがウォルターバリル(水弾)を展開したのが見えた。さすが聖女、なかなかデカい。あれなら余裕だ。

コウにナイフを2本とも投げると、どうにか1本掴んだ。

付け焼き刃なのは分かっている!だが頼む!うまくいってくれ!!!


「投げろぉぉ!!!!」


「いっっっけぇぇぇぇ!!!!!」


コウが投げた瞬間、爆音が響いた。

な!?ナイフが音速を超えたのか!!!!

見るとコウから、また紅い湯気が上がっていた。


「ごがぁっっっ!!!」


コウの投げた音速のナイフが魔人の胸を突き抜けた。

胸には衝撃を伴ったのか、ナイフよりも大きな穴がぽっかりと開き、向こうの景色を写している。

魔人はそのまま重力に逆らうことなく地面に叩きつけられ、一瞬にして動かなくなった。

だがナイフの勢いは止まらない!


アリアス達のもとへと、そのまま飛んでいく。


「兄ちゃん!!」


「大丈夫だ!!!」


ナイフはアリアスのウォルターバリル(水弾)にぶち当たると盛大に飛沫をあげて止まった。

舞い上がった飛沫が太陽光に照らされて虹が出来上がっていた。

予想より威力が高くて焦ったが、アリアスの魔力の高さで助かった・・・・


コウの投げたナイフの威力と胸に穴の空いた魔人の光景に、口を閉じることのできないベラデイル兵たちは、声にならない声だけを響かせていた・・・・


終わった・・・・・


そして瞼とゆう名のギロチンが意識の首をはねた・・・

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