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16話「当たり前とゆう概念が一番世界を隠すことかもね」

「これが必要なものだ。無ければ似てるもので良い。ただ、酒はあると思うから出来るだけ強いやつな!」


「おまかせあれー!」


ヘルマンに周辺地図を見せてもらい、現状の位置確認とベントレイの潜伏場所を聞いた後、エントランスでコウとナタリーに買い物のメモを渡した俺は、充てがわれた部屋に向かった。


リリーの病状を見せてもらったのだが、医学部ではないがどうやら俺の知っている範疇で何とかかなりそうだ。

そしてベントレイはこの先の馬車の中継地点付近にある小屋で、馬や武器を集めて準備を整えているらしい。住んでいた家屋を焼き、別の場所に陣をとったのは、最悪『自分たちは町から追放を受けている』ということにでもしてしまうつもりなのだろう。

準備中とは言え、時間がそうあるわけじゃない。急がないとな。


「アリアス、もういるか?」


返事が帰ってこない・・・・


すでにアリアスは俺の部屋に向かってくれいるはずなのでノックをして入る。

さすがに何もないとは思うがエチケットだ!エチケット!


「う〜ん・・・・・もう食べれません・・・」


なっ!!!

アリアスがベットで寝ている!!!!なんか「もう食べれません」とか言っている!!

食いしん坊か!!食いしん坊なのかアリアス!!

・・・・あ、涎が枕に・・・・・

おそらくビートの夢なのか・・・・


普段気を張ってるのだろう。アリアスの寝顔は何時もと違い、結構幼いと感じた。そういえば何歳なんだろうか?


ふと可笑しくなって笑ってしまったが確かに昨日の夜から寝てないもんな・・・

だがアリアス、いや聖女様!男の部屋でそれはマズイな!


「おーいアリアース。こっちのビートはもっと美味いぞ。」


「・・・・え!ではそちらも・・・」


起きない。寝返りを打っただけだ。

手強いな。眠りが深いというか夢が深いな。


「アリアス!食べ過ぎだ!これでおデブの仲間入りだ!!」


「・・・いやだーー!は、ハミ肉が・・・っは!!!ね、寝てしまってました!!!」


飛び起きたアリアスの勢いが凄すぎて笑ってしまっていた俺に気づき、アリアスがベッドから急いで降りて姿勢を正した。


「す、すいません!!寝転がってしまったら、つい・・・・・」


「いいよ、ビートは美味しかったか?」


アリアスは顔を真っ赤にしながらコクコク頷いていた。

どうやら聖女と言うのは回復魔法とアリアスの性格のお陰でついた二つ名であって、人格が聖女と言うわけではないんだろうな。

そんなことを考えながら切り替えて本題に入った。


「アリアス、回復魔法の仕組みについて聞きたい。」


「回復魔法ですか?お安いご用です!」


アリアスは拳を握り得意げに見せたが、途端表情が曇って言葉を続けた。


「ですが町の人には効果が出にくいのではないのでしょうか?」


確かにその通りかもしれない。だが、効果が出ないわけではない。

そして恐らくだが、アリアスの使える回復魔法のイメージと俺の持っているイメージは違うのではないだろうか。

舐めている訳ではないのだが、回復魔法の存在で医療の進歩が遅いと推測できる。


もしかすれば、そこが糸口。


「そのために回復魔法がどういったイメージで唱えているのかや、どのような魔力の流れで発動しているのかを知りたいんだ。」


「はい!わかりました!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お腹が減りました・・・・・・・


アキラさんお昼を食べずにぶっ続けです。

うたた寝のビートの夢のせいでより空腹感が襲ってきてます!

あんなことなら、ベッドに横になるんじゃなかったです・・・・とても恥ずかしかったです・・・


それにしても、私の知っている回復魔法の一通りはお伝えしましたが、アキラさんは伝えるたびに眉間のシワが深くなっていっているのが気になります。

大丈夫なのでしょうか?


ただ、回復魔法を使えたことには驚きました!!

納得してない顔をされましたが凄いことです!!


回復魔法が使える方は本当に魔法使いとしての力がある方のみです!

ランクで言うところの中級でやっと使える方が出てくるくらいです。

ちなみに私は上級魔法を3つ以上使えるので特別ですよ!エッヘン!


でもアキラさん、『エスティナ様の加護』を受けていないのに使えるなんて、やっぱり凄いと思います!

旅の途中でアキラさんが総魔素量が高くないと言われていましたが、毒魔法とか作っちゃいましたし、技術だけなら上級を超えているのでは・・・・


夕方にヘルマンさんが連れてこられた方も綺麗に治してしまいました。

でも何が不満なのでしょうか?

アキラさんは何を考えてるのでしょうか・・・・・




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




近い!近い近い!二人っきりでそれをするんじゃない!!

治療を終えて部屋に戻り、俺は立ったまま考え事をしていると急にアリアスの顔が近づいてきた。


「す、すいません!!!あ、いやちょっと凄いなーって思いまして・・・・」


アリアスの顔がトマトのように真っ赤に染まり、近づけていた顔が離れていく。

ふわっと香る甘い様な優しい匂いが鼻を掠めた。

そういう俺も顔が熱い・・・・


「いや、大丈夫だ。ありがとう。」


「いえ!そんな!でも先程から表情が晴れませんがどうかなされたんですか?」


ああ、そうか・・・・

教えてもらってからずっと思っていたんだが、使っていくうちに、どんどん違和感に苛まれる。


回復魔法ってなんだ?


正直、医学知識は乏しい。だがどこが悪くなってるかはなんとなくわかる。

でも問題はそこではない。

回復魔法が作用している部分。


そう、他人の魔素だ。


他人の魔素に影響を及ぼして効果を出す。

回復魔法はアリアスの言っていた“最強の魔法使い”を生んでしまう魔法ではないのか?


「アリアス。回復魔法を極めたら何ができるんだ?」


「“極める”ですか?回復させたり病気を治したりですけど・・・・」


「それ以上は?」


「聞いたことありません!」


「なぁアリアス。回復魔法って人の魔素に影響を及ぼす魔法じゃないのか?」


アリアスは青褪めた顔で俺と目線を外さなかった。

次回10月22

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