表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/117

呪い疑惑

「すっかり秋ですなぁ」

 始業時間前、朝早くに投稿し、昨日の夜読み終わることができなかったラノベを読み進めていると、友達がそんなことを言いながら教室に入ってきた。

 気にすることなく読書を続けていると、その友人は本を読む彼の肩に手を回してきた。

「すっかり秋ですなぁ」

 その口から、一言一句違えることなく教室に入ってきた時と同じ言葉が紡がれる。

 これは相手にするのがめんどくさいなぁ、と内心うんざりしながらも読んでいた本に栞を挟み、机の上に置く。

「そうだな。まだまだ暑いけどな」

 言う通り、9月になり、夏休みが終わったとはいえ、まだまだ残暑厳しい時期だ。

「で?何が言いたい」

 友人との会話よりも、今は読んでいる本の続きがきになる彼にとって、相手にしなければ永遠と同じ言葉で絡んでくる友人は厄介この上ない。相手にせずに過ごしていたら、最終的には涙声になるのだ。

 その時になっても口にする言葉は一緒なのだから、こいつは何かの呪いにでもかかっているんじゃないかと心配したこともある。

 相手にしてもらえるまで同じ言葉しか話せなくなる呪い。

 うん。めんどくさい上に同性のそんな呪いを解くために付き合うのはいい加減に疲れたのでだれか解呪してください。

 これが異性なら多少ときめかないでもないのだが。

 相手にしてもらえずに涙目になる女子。

 うん。いいな、それなら。喜んで相手になろう。

「いや秋といえば食欲の秋。昨日栗食ったんだよ!!」

「・・・・・・で?」

「え?いやそれだけ」

 呆れてものも言えないとはこのことだ。

 彼は大仰にため息をつくと、本を開き、再び読書を再開した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ