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昼食前

 暦の上では秋のはずだが、日中はまだまだ夏の暑さを残している。

 昼休み、午前中に仕事で少し苦手な上司に絡まれてしまった彼は、午後からの仕事にその気持ちを引きずらないためにも、気分を一新するべく社外に出た。

 そして社外に出て思ったのが先の言葉だ。

 一応カレンダー上では8月8日には秋になっているはずなのだが、9月になった今でも日中は暑い。朝晩は時折涼しさを感じるようになり、それが季節の変わり目を主張しているが、まだまだその主張は弱い。少なくとも日が昇りきった頃にはその主張は忘れてしまっている。

 社外に出た彼は、時計を見た。昼休みの終わりまではまだ時間がある。

 気分を変えるのなら、これまで入ったことのない店で昼食をとるのはぴったりだろう。

 そう思い、大通りから離れ、左右を民家に挟まれた道を一人歩く。


 庭先から顔を出した庭木が影を作り、大通りよりは幾分涼しさを感じる時間が多い。

 どこか食事のできるところはないか、と思いつつ歩いていると、道路に何か落ちているのを見つけた。

 進行方向上にあるそれに、首を傾げながら近づいていく。

「あぁ」

 道に落ちていたものを見ると、それが落ちてきたであろう頭上を見る。

 そこにはまだ青い柿の実がなっていた。

「初秋ですなぁ」

 初秋といえば8月ということはわかっているが、まだ9月に入ってそれほど日が経っていない。まだ初秋といっても問題はないだろう。

 これから来るであろう秋の予感に、彼は顔を綻ばせ、昼食を求めて足を踏み出した。

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