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中田家の日常  作者: 白
2/3

中田家の朝

中田一家の名前と読み


長男:朱鷺-トキ-

長女:音夢-ネム-

次女:世羅-セラ-

三女:梓右-シウ-

 

中田家の朝はまるで嵐のようである。








中田家の朝は早く、5時半頃ピッタリに4人全員の目覚まし時計、アラームなどが鳴り響く。

が、起きない。誰一人として起きるものはいない。そのまま7時になり━━━━━━


ガバッ



「っ、遅刻する、みんな起きてー!」



やっと音夢が起き、一気に家の中が騒がしくなる。靴下が見あたらないと探したタンスはまるで窃盗が入ったのかと思うほど荒れ、テーブルの上は食べかけのご飯やら食パンやらすべて食べかけの状態で放置。片づけられることなくそのままで、そして何故か部屋の中を飛ぶ紙飛行機……



「見て音夢ねえ!今ちょー早く梓右に作ってもらった紙飛行機!」



着替えも中途半端でボタンは掛け違えて靴下は片足しか履いておらず、だがそんなのは関係ないとキャッキャとはしゃぐ世羅。隣には食パンに貪りつきながら器用に制服に着替える、紙飛行機を作った張本人の梓右が。


流石にみんな自分のことで手一杯とはいえ、今日も気づいてしまった音夢は注意せざる負えない。



「準備終わってないのになんで遊んでんのー、梓右も世羅が準備しなくなるのわかってんだからおもちゃ与えないのー!」



「もうご飯食べたし別にいいかなって思った!」



「だってご飯食べてるのに世羅ちゃんが遊ぼうって言ってくるから邪魔でつい……」



「なにそれひどい!」



世羅はあくまでも準備するつもりは無いらしく、梓右は梓右で何枚目かわからない食パンを尚も食べ続けている。

音夢は梓右を見ていつまでパンを食べ続けてるのか、ふと疑問に思ったがすぐ考えるのをやめて自分の荷物を準備している途中なのを思い出し作業に戻る。



「ほら、もう出ないと間に合わないよ!」



髪の毛をセットし終え、洗面台から戻ってきた朱鷺がネクタイを結びながら呼びかける。軽く自分も周りの荷物をまとめながら音夢たちの支度を最後に促すのは彼の仕事である。普段は横暴な朱鷺だがそんなことには屈しない兄妹たちは各自返事をするも、支度は終わっておらず出れそうにはない。



「あ、ねえねえ梓右、世羅の体育着知らない?」



「わかんない、つか世羅が持ってるリボンって梓右のじゃね?」



ぱちくりと目を瞬かせ手に持っていた制服のリボンを確認する。



「おっ、……正解!」



なははと笑い既に呆れ気味の梓右に手渡す。こんなやり取りも中田家ではよくあることでもう何度目か、毎朝の光景と言っても過言じゃないだろう。



「正解じゃないよ、探してたんだから!」



ごめんごめんと世羅はハンガーにかけてある制服のポッケットを漁り、コロンと数個梓右の手にチョコレートを転がす。世羅の全身のありとあらゆるところにはお菓子が入っていて、こんな風に梓右のご機嫌取りにも使われたりする。だが今はそんな数秒のやり取りも貴重な時間だ。



「おらそんなのんびりしてる場合じゃないよ、遅刻するからもう出るよっつーの!」



「なーぐーらーれーるー」



その発言といつまでも準備する気のない世羅に見かねた朱鷺が笑顔で拳を振りかざす。

紙飛行機を目くらましがわりに朱鷺の顔面に飛ばすもクシャリとあっけなく掴まれ、丸められた紙、もとい赤点のテストは残念な数字を隠すことが出来ずに床に捨てられる。

それを残念そうに見つめる世羅はすでに音夢の後ろに隠れていた。



「暴力、だめ、絶対つってな。あーあ、紙飛行機が……」



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