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中田家の日常  作者: 白
1/3

中田家の入学式

中田一家の名前と読み


長男:朱鷺-トキ-

長女:音夢-ネム-

次女:世羅-セラ-

三女:梓右-シウ-

 

「春爛漫の今日の佳き日に、新入生──────」



ありきたりな式辞を読まされている生徒に視線が集まる今日は、ごくごく一般的な高校の入学式である。偏差値も並みのレベルであり、特に目立った不良などもいない。


だがその中に“とある中田家”の次女と末っ子が紛れていた────








「世羅と梓右はなにしてるかなー?」



式が終わり新入生達も教室に戻ったであろう頃、中田家の長男の朱鷺と長女の音夢は、担任の教師が話しをする中ソワソワしている様子で全く話しが耳に入らないようだ。

クラスでの席は朱鷺が前で音夢が後ろで、さらに席自体も後ろの端の窓側の席なので先ほどから話していた。



「今はまだアイツ等も教室で担任の話し聞いてるんじゃないの、まあ……」



「おい、中田兄姉!相変わらずうるさいよ、妹たちが気になるのはわかるが黙っててくれねえかな!」「やだ」



真顔で即答する朱鷺に面を食らった顔をする教師はこのクラス、いや学校でも当たり前の光景となっていた。



「だってー、可愛い妹たちが入学してきたんですよ?心配になるじゃないですか」



だが、音夢はそんな言葉と行動は噛み合っておらず、爪先を見つめている。



「先生爪きり持ってるー?」



「持って無いわ!」



教師のツッコミでクラスが湧き上がる。しかしそんな騒がしい中、ケータイの着信音が鳴り響き一瞬でうるさかった教室が静まる。



「……世羅からだ」



きっとこの時間は騒がしかったとはいえ、授業中と同じ扱いになるであろうにも関わらず朱鷺は平然と電話に出る。

教師はやれやれと呆れ顔で生徒と一緒にその様子を見守っていた。












「もしもし?」


『もしー、にいちゃ?』


「おう、どうした。今一応授業中だろ?」


『したら朱鷺にいだって授業中じゃないの?』


「俺はいいんだよ、偉いから」


『意味わかんないよー』


「わかんなくていいよ、梓右はなにしてんの?」


『梓右なら隣で眠そうにしてるよ』


「そっか一緒にいるんだ、つか……どっから電話してる?」


『え?』




「教室の前ー?」




ガラッと後ろのドアが開き、来ちゃったーと笑う笑顔の世羅と、もう立ちながら寝てしまいそうな目をこする梓右が立っていた。

この登場でざわめきが起きる教室に平然と入ってくる二人は朱鷺と音夢以外の周りが視界に入っていないのではないだろうかと、そう思わせるほど何食わぬ顔をしている。



「眠い、ねえちゃん枕貸して……」



「枕ね、ちょっと待ってよー……」



「梓右ここで寝ちゃうの?どっか別のところ行こうよう」



「なら屋上行こうよ」



ナチュラルに進む中田家の会話に、やっと我を思いだしたのか流石に注意しなければいけないとと教師が口を挟む。



「いや……え、お前らなにしてんだよ」



「友達かっ!」



世羅のツッコミにまたクラスが湧き上がり、教室の生徒が中田家の周りに集まり始めた。



──え、1年生だよね?

──この子もう寝てるよ、可愛いー!

──流石中田兄姉の妹だけあるな。

──この学校こんなんで大丈夫かよ……?



散々の言われようだがそう、長男と長女も中田兄姉として有名ないわゆる問題児であり。そしてその下の問題児2人も揃い、中田家兄妹が1つの学校に揃ってしまったのだ。




これからなんでもありの中田家の高校生活が本格的に幕を開けたのである──────












 









「さっきあの後なんて言おうとしたのー?」



「あの後っていつ?」



「あいつらまだも教室で話し聞いてんじゃないのー、の後」



「あー……どうせちゃんと席について話し聞いてるはずないだろうねって言おうとした。どっかでさぼってるかとは思ったけど、まさか俺らの教室に来るとは思ってなかったね」



「ねー、これからもっと騒がしい学校生活になりそうだなね……楽しみ!」





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