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ロイ

作者: 葛籠

ドガーン!!

爆音が響きわたる。


「ちっ!いったい、なんなんだ」


真っ黒な戦闘スーツに身を包んだロイがつぶやいた。

周りは廃墟とかした建物に、壊れた機械の残骸。

建物の影に身を潜めながら、ロイは敵をさがした。

ピー!

警報音が聞こえた。

左手に、装着したコンピューターの映像を見てみる。

右の方向に反応があった。

近くまで来ている。

緊張が走った。


キュイーーーーーン!


甲高い音が、響いてきた。


「やばい」


ロイは、逃げるように建物の影から飛び出した。

その刹那、巨大なエネルギーの塊が建物を粉々に破壊する。

ロイの視界に、ロいの倍はあるだろうと思われる機械の姿が映った。

頭部には、コックピット。本来そこに乗っているはずの、人影は見えない。

両腕には、ミサイルが装着されている。

腹部には、窪みがあり、「キュイーン」との音と共に細かい光の粒子が集まっていった。


「やばい!」


建物を破壊したエネルギーが、また発射されようとしていた。

「させるか!」ロイは叫び声をあげ、

機械に向かって、手に持ったライフルの引き金を引いた。

銃口から、光のエネルギーが発射され機械を貫く。

ガッガー…ピー……。

機械が崩れ落ちて、動かなくなった。


「やった」


ロイは、機械に近づいていった。

そこには、破壊された動かなくなったロボットがあった。



2100年科学の進歩により、数々のロボットが発明されていた。

家庭で使われるロボットから、戦争に使われる軍事用のロボット。

さまざまなロボットが世界中に溢れていた。

ロボット3原則によりロボットが人を傷つけることはないはずだった。

まして、襲ってくる事などあるはずがなかった。

いったいなんでロボット達が襲ってくるのか、わからなかった。


ロイは後ろに気配を感じた。

ライフルを構え、素早く後ろを振り向いた。


「仲間を撃つきかい?」


そこには、青い戦闘スーツを装着し、両手を上げた男が立っていた。

「サム」ロイは、ライフルを下ろした。

サムは、崩れ落ちたロボットを見下ろした。


「やったなロイ」

「あー。でも、仲間は俺達二人になったな」


ロイとサムだけを残して仲間はみんなやられた。

左手に装着したコンピューターを見ると、仲間の名前が書いてあった。

初めは10人もいたのに今は二人だけ…。




ロイは不思議に思っていた。

一時間前、突然スーツとライフルを手渡されロボットを倒せと男から言われた。

そこには他に9人の仲間がいた。

みんな、当たり前のようにスーツを装着しライフルを手にした。

ロイは、隣の男に話しかけた。


「おい!なんで俺達が戦うんだ」


不思議そうに男は答えた。


「いったいおまえは何を言ってるんだ?変な奴だ」


そう答えた男の名前も、コンピューターに載っていた。




ロイは訳がわからずサムに聞いてみた。


「なんで俺達が戦っているのかわからないんだ。サムお前は理由しているのか?」


サムは、ロイを不思議そうに見つめた。


「お前どうしたんだ?そんなこと言ってバグっちまったのか?」

「バグだって?まるでロボットみたいだ」

「本当に何を言ってるんだ。俺達…」


ピー!警報音が鳴った。

2人が、コンピューターの画面をみる。

ロボットが接近していた。


「敵だ」


そう、呟くとサムは走っていった。


「いったい、何なんだ」


ドーン!爆音が響く。

コンピューターを見てみる。

そこにはサムの名前が載ってていた。

一人残されたロイは、どうしていいか解らなかった。


コトリ。


後ろで物が転がる音がした。

ロイが振り向くと、少し離れた場所に子供がいた。


「なんで、こんな所に子供が?」


信じられなかった。

しかし確かに目の前に子供がいる。

ロイは子供に話しかけようとした。

ピー!

警報音が鳴った。

画面を見てみると、ロボットが接近してきていた。


「おい!こっちにこい!ロボットが接近している!」


子供に向かってロイは叫んだ。

しかし子供は動こうとしない。


「何やってるんだ!早くしろ!」


子供に駆け寄ろうとすると、建物の影からロボットが姿を現した。

ロボットが、子供に向かってミサイルが装着された腕を向ける。


「あぶない!」


ロイは、子供を助けようと駆け出した。

ロボットが、ロイに向かって腕を向けた。

子供から遠ざかるように、ロイは走った。ロボットがロイを追いかけてくる。

ロイが、ロボットに向かってライフルを向けエネルギーを発射し貫いた。

「やった」ロイが子供の方を振り返ると無事のようだ。

子供に、駆け寄ろうとすると背後から機械音が聞こえた。

ロイが振り向くと、崩れ落ちながらロボットがミサイルを発射した。

「えっ」逃げようとしたが、間にあわない。

ミサイルが、ロイに命中した。

薄れゆく意識の中、ロボットを見ると、完全に崩れ落ち動く気配はない。

完全に破壊したようだった。

子供の方を見る。

無事のようだった。


「よかった…」


そう呟きロイは動かなくなった。





「ゲームオーバー!!俺の勝ち!!」

「なんだよ〜。今の無しだろ!?」


高校生ぐらいの男の子が叫んでいた。


「ダメだよ。だってアキラのロボットやられただろ」

「そうだけど。でも、妹が人形おいたんだぜ。ツヨシ、今の無しにしてくれよ」

「ダメだね」ツヨシは首をふりながら言った。

「でも、不思議だよな。何でアキラのロボットこんな人形を助けようとしたんだろ?」

「わかんね〜よ。今時、人間だって人を助けるなんてしないぜ!」

「ほんとだよな」

「そんなことより、今の無しにしてくれよ!なっ?なっ?」


アキラは必死になって頼んだけど、

ツヨシは聞く耳持たないって感じで、お金を持ってどこかに行ってしまった。

アキラの横で、女の子がしょんぼりしていた。


2100年、子供達の間では、人工知能を持ったロボットを育成し、

戦わせる賭けゲームがはやっていた。

そのゲームに、アキラは妹に邪魔され負けてしまったのだ。


「お前のせいだからな!!」


アキラは妹に怒鳴った。


「だって、だって…お兄ちゃんに…遊んでほしかったんだもん」


妹は、泣きだした。

妹の泣き声が、うっとうしく感じる。

「うるさい!」妹に向かって怒鳴った。

妹は、一瞬ビックとし泣き止んだが、さっきよりも激しく泣き出した。

「うるさい。うるさい。うるさい…」アキラは、何度も心の中で呟く。

イライラしながらアキラは、懐から拳銃を取り出した。

妹に銃口を向けた。


「うるさい!!!!!」


アキラの叫び声と同時に、銃声が響き渡った。

アキラの目の前で、妹が倒れている。


「お前が、悪いんだからな」


そう呟いて横をみると、

壊れた黒いスーツのロボットと、人形が目に入った。

アキラは、何事もなかったように歩きだした。



夜のニュースで、深刻な顔をしたキャスターがニュースを読んでいた。

「今日の昼頃、少年が妹を撃ち殺しました。簡単に人が人を殺す時代。いったい世界はどうなるのでしょう?」




END

最近のニュースを見て書きました。

親が子を殺し、時にはその逆も…。殺人事件が、毎日報道されるニュース。

人は、何か大切な物を無くしてる気がします。

最後まで、読んでくれてありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 平凡。陳腐。ありきたりで刺激がない。
2007/01/22 12:12 通りすがり
[一言] 確かに起こりうるかもしれない未来かもしれませんね。 現実は小説より奇なり、恐ろしい時代が来そうですね‥
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