3ー1
修学旅行行ってたんで更新遅れました。これからも行事多いんで、遅れるかもしれません。
物語はここから始まりを迎えると言っても過言ではありません。
これから、どんどん加速していくのでよろしく!
俺たちはゲートを抜け、タンザニア国に着いた。八重が急ブレーキをかけた。
圧倒的なスピードだったスカイボードが急停止したことによって、俺たちは宙を舞おうとした。
俺たちは必死に座席につかまった。が、そんな努力を嘲笑うかのように急停止の衝撃は強かった。
俺たちは全員もれなく宙を舞い、天井にぶつかろうとしていた。
俺は目を閉じた。おそらく、天井にぶつかったら死ぬだろう。後悔しても遅かった。何を考えても後の祭り。
しかし、目を閉じてから天井にぶつかる感触はなかった。俺は恐る恐る目を開けた。
目の前には天井があった。そして、周りをみると金田たちも同じく天井の数センチ前で止まっていた。
「まったく、先生に早く会いたい気持ちは分かるけど、いくらなんでも速すぎない?」
声の方を向くと静先生が立っている。そして、先生の前にはスカイボードが2個止まっていた。
八重と風のものだ。どうやら先生が魔法で止まらせたらしい。俺たちも同様だ。
先生が人差し指を上から下へと振る。その指の動きに反応するように俺たちは地面へと落ちていった。
「さて、いったい何でこんなことになっているのか聞かせてくれるわよね。」
先生の声は少し怒り気味だ。まあ、いきなり超高速の物体と人間が飛んできたんだからな。
説明は八重がすることになった。その間に俺は辺りを見回した。
辺りには、あまり人はいなかった。元々人口が少ないと言うのもあるが、俺たちの登場にビビって逃げたからだろう。
辺りの人たちは俺たちのことを興味深々とした顔で見てくる。
その中に1人、学生服を着た奴がいた。ただ、頭にかぶっている帽子は学生のものじゃない。
シルクハットのようなもので、赤白の縦じま模様がはいっていて、中央に?の文字がある。
年は13歳ぐらいだと思う。まだ、顔にあどけなさが残っている。
そいつは、少し戸惑いながら俺たちの元にやって来た。
「ねえ静さん、この人たちが例の…」
「そうよノウ君。この子たちがトラベル君たち。」
「へえ、この人たちが。
じゃあ、突然ですがあク~イズ!
問題です。私は誰でしょう?」
突然の問いに俺たちは戸惑った。ただし、八重は違った。
「ピンポン!あなたはクイズ王、通称賢者ノウよ!」
「正解!八重さん1ポイント獲得です!」
そう言ったと同時にノウのシルクハットの上の部分から赤い○が書かれた、ボードが飛び出した。
「いや、誰だよいったいにして。」
金田が八重にツッコミをいれる。八重が呆れた、という顔をした。
「知らないの!?本当にあんたは…
この方は、ありとあるゆるクイズ大会を征してきたクイズ王よ。
まさか、ここで会えるとは…感激よ!サインもらおうかしら。」
八重がノウのことを尊敬の眼差しで見つめる。
「八重、お前ってこんなキャラじゃなかったよな?」
俺は八重の変動ぶりに質問をぶつけずにはいられなかった。
「確かに学校では真面目にしてるからね。でもプライベートは別よ。
それに、この方はクイズに興味がある人なら誰もが知っているお人よ。」
「そおゆうこと。僕はクイズ王であり、ここのマジックスクール唯一のEクラス生徒。ノウだよ。
そうだ、試しに何かクイズを出してみてよ。」
八重が真っ先に手を上げた。
「じゃあ私から。『そして誰もいなくなった』の作者は?」
「ピンポン!アガサクリスティ。」
「正解です。さすがですね。」
「じゃあ、次は金田さん!」
金田が俺?と自分のことを指差した。ノウが、そうですよ、とうなずく。
「う~ん、だったら日本の文化の将棋があるけれど、その中の禁じ手に二歩があるのは分かるか?
ここで問題なんだけど、プロの棋士で二歩で負けた人がいる。○か×か?」
「ピンポン!正解は○!」
金田が驚きの表情を見せる。
「最後はトラベルさん!」
俺は少し迷ったけれど、もしかしたら知っているかもしれないと思い、あの事を聞くことにした。
「マシンの中にGODというものがあるが、それは何か?」
「ピンポン!それは最悪最強の殺戮兵器さ。」
「他には?」
俺の問いかけに対してノウは沈黙した。必死に考えているようだけど、答えが浮かびそうな気配はなかった。
「知らないのか?」
「何を言うんだい。僕に答えられないクイズなんて存在するわけない。」
ノウは強がっているが、答えは知っていそうにはない。
「ノウ君。そこまでにしておきなさい。いくら考えても答えはでないわ。」
静先生がノウのことをなだめた。
「トラベル君。火向とのやり取りの話を聞かせてもらった時にGODの話が出てきたわね。
それで興味がわいたんでしょ?違う?」
俺はうなずいた。
「そうです。ただ、もうひとつ気になる点があるんです。
俺たちが初めて火向に襲われた時に俺は禁書の中にGODについて書いてあるページを見つけました。
しかし、そのページは破られていました。もしかしたら火向はこのページを取りに来たのだったのかもしれません。
なぜ魔法連合国家はGODについての情報を集めるのでしょうか?」
「なるほどね。確かに魔法連合国家はGODの情報を集めているわ。
目的は、魔法連合国家以外の者にGODについて知られないようにするためよ。
そもそもGODとは何なのか、それから話すわ。
スパイからの情報によるとね、魔法連合国家はすでにGODの製作に取りかかっているらしいの。
完成予定は3日後よ。もし、それが完成すれば誰も魔法連合国家には逆らえなくなる。それぐらい強力な殺戮兵器なの。
ただ、肝心の殺戮兵器の内容が分からないの。スパイとの連絡が、内容について教えてもらう前に途切れたの。
私たちも必死に情報を集めているんだけど、まったく不明なのよ。
けれど、ひとつだけ分かっていることがあるわ。GODはトラベル君がいないと真のは完成しないの。
だから、トラベル君は魔法連合国家に執拗に狙われるの。
それに、他のみんなの力があれば、より良いらしいの。だから八重ちゃんたちも狙われるの。
まあ、火向は殺そうとしたけどね。あれは暴走行為ね。
これが今の所のGODの情報よ。」
八重が手を挙げた。
「質問です。GODの製造場所は分からないんですか?」
「場所事態は分からないんだけど、その場所に通じるゲートの場所なら分かるわ。通称アポカリプス。
だから、これからの私たちの行動は決まるわよね。
アポカリプスまでいって、GODの元に行き、GODを破壊すること。
ただし、残り猶予は3日しかない。仮にトラベル君のことを守りきっても3日後にはGODは完成してしまう。
トラベル君の力がなくてもGODは十分な殺戮兵器に成る。
もし、トラベル君の力がGODに加わればGODは歴史を塗り替えるほどの殺戮兵器に成るわ。
分かったかしら。」
先生の問いにうなずく者はいなかった。いや、俺たちは現状を理解したくなかった。
昨日までは平和な学校生活を送っていたのに、たった1日足らずで現状が変わったのが信じたくなかった。
「その話は本当なんですか?間違った情報では?」
八重が最後の希望とばかりに声を震わせて質問した。
しかし、今までのことを考えると先生の言っていることは嘘ではないのは分かっていた。
「残念だけど、それは絶対にないわ。ちゃんと、ノウ君の魔法でチェックしたから。」
「そこからは僕が解説しますよ。」
ノウが名乗り出た。
「僕の魔法、僕は通称アンサーと呼んでる。
まず、紙を手にもって紙に対して質問を言います。ただし、YESかNOで答えられるもの。
すると、紙に質問した内容が字になって現れるんだ。
そして、アンサーと言うと質問に対しての答えが現れる。
これが僕の魔法。実際にやってみたいんだけど、何か紙を持っている人いる?」
金田がポケットから小切手を取り出した。
「小切手ならあるけど?使えるか?」
「十分だよ。ちょっと貸してね。」
ノウは金田から小切手を受けとると、咳払いをした。
「では、1たす1は2である。○か×か?」
俺たちは小切手に目を移した。小切手の中の文字が動き出した。
文字は統合し分離し、消えては生まれ、ついに1つの文章になった。
文面は『1たす1は2である。』となっていた。
「ほらね。次いくよ。アンサー!」
ノウが得意気に叫ぶ。すると、紙は白紙になった。そして、大きな○が現れた。
「ね、こんな感じなんだよ。ちなみに、僕以外の人が紙を持つと答えは消えて問題文が、また現れるんだよ。
だから、他人は問題文は見れても答えは見れないんだ。便利な魔法でしょ。」
「ノウ君の魔法はとても使えるわ。だから、この子の保護をかねて共に行動することにしたわ。」
静先生の言葉に肩を落とした。また変な奴が仲間になるのかと思うと気が重かった。
静先生以外はまともな魔法も使えず、特に特殊能力を持っているわけではない。
こんなパーティーで大丈夫だろうかと俺の疑問は膨れるばかりだった。
「これからよろしく!僕が加われば百人力だよ!」
俺はノウの言葉に対してため息をついた。