4ー3
ついにアダムが登場です。こいつが正真正銘のラスボスです。
アダムは強いです。やばいですね。
いったいどうやってトラベルたちは戦うのか、こうご期待!
なんてね(笑)
火向の言う通り、時間は刻々と過ぎている。後、1分。間に合うだろうか。
時間がない。俺は強行策にでることにした。
火向の後ろに瞬間移動する。そして、そのまま風の魔石を使って火向にかまいたちを飛ばす。
火向は避けようともしない。当たり前だ、物理攻撃が効かないのだから。
そして、火向の体が真っ二つに切れる。さらに、かまいたちを飛ばして、火向の体を細切れにする。
火向の体が細切れになり、空中には火の粉だけが舞っている。
さすがに、ここまで細切れにすれば再生は出来ないだろう。
俺は一息ついた。魔石の連続使用はけっこう体に答えた。当たり前だ、他人の魔法を使用しているのだから。
しかし、俺の努力は無情に終わった。火向の体は再生し始めた。
そして、一瞬にして火向の体が再生する。
「考えが甘いですね。さて、やっぱりあなた方は自分には勝てませんよ。
いや、それどころが傷一つつけることが出来ない。
もう分かりました。戦う必要はありません。実は魔石はすでに完成しているのですよ。
ただ、あなた方を試したかった。もし、人類にアダムが必要ない運命ならば、あなた方は勝利するはずだから。
しかし、あなた方は弱い。3分間だけ時間をあげようと思いましたが、いりませんね。
今から自分は魔石を使ってパラレルワールドに行ってアダムを造り上げてきます。
この世界に戻って来るまで30分くらいはかかるでしょう。
それまでに、どこかに逃げてはいかがでしょう。
どうせ、アダムと戦っても負けるだけですよ。彼は自分より強いですから。
それでは、もう会うこともないでしょう。」
火向がマシンから魔石を取り出す。
「待て!」
俺の制止を聞かず、火向は瞬間移動してしまう。
後には、俺たちが呆然として立っているだけだ。
少しの間そうしていたが、八重が静寂を壊すように声をあげた。
「みんな集まって!呆然としてないで、状況を把握しましょう。」
八重の呼び掛けに、みんなが円になって集まる。
「まず、火向の言っていることは本当かどうかよね。ノウ、調べてくれる。」
「実はもう調べてます。正解は正しい、でした。火向の言っていることは正しいです。
よくよく考えると恐ろしいですよね。だって、僕たちは1回たりとも疑わなかったんですから。
普通なら疑問に思うこともたくさんありましたよね。例えば、追っての数とか。火向1人でしたから。
ただ、そういうことは運が良かったとか思えますけど、トラベルさんの変化は気づくべきでした。
途中から饒舌になりましたもんね。いや、元に戻ったんですか?」
俺は改めて自分のことを振り返ってみた。
「俺は元々良く喋るほうだったんだけど、この1件に関わるうちにいつの間にか変わっていたよ。」
「そうだったんですか。いずれにせよ、気づかないのはおかしいですよね。
普通は友達の性格は急変したら気づくはずです。
さっき、火向の魔法について調べてみたら、イメージを植え付ける魔法の詳細が分かりました。
どうやら、僕たちに植え付けられたイメージはここまで来ることだけのようです。
これから先については、僕たちの自由です。だから、火向も魔法についてばらしたのでしょうね。
皆さん、どうします?」
1番始めに名乗り上げたのは金田だ。
「戦おうぜ!あいつのしてることは間違ってる。全員が平等なんてあり得ない!」
珍しく八重が金田の言葉にうなずく。
「そうね。金田と平等なんて考えられないわ。あいつを倒しましょう。ついでにアダムもね。」
みんなが笑う。もちろん俺も。
「八重らしいや。俺だって反対だ。
あいつはアダムがどうたらこうたら言ってるけど、結局はあいつの思い通りの世界を造ろうとしているだけだろ。
倒す、絶対に!」
俺の言葉にみんなが大きくうなずく。
「でも、問題はどうやって倒すかだよな。」
金田が頭を悩ます。
「あれを使えば良いんですよ~ゼウスの矛を使えば良いんです~」
風が手を上げて言う。
「そうね!その手があったわ。後はこの最強ではない盾をどう使うかね。
ちなみに名前はイージスの盾だそうよ。
こいつも、まだ使えるわ。後は、どうしたものか…」
「とりあえず、時間まで各自で何かないか探さないか?」
金田が提案する。
「確かにね。時間まではまだあるしな。みんなも、それでいいよな?」
俺はみんなに確認する。みんなも、それで良いようだった。
そうして、俺たちは時間まで役立ちそうな物を探しに行った。
そして、30分がたった。結局、俺たちは自分たちの魔石を持てるだけ持ってきただけだった。それと、少しの銃なども。
色々と役立ちそうな物はあったが使い方が分からない。
俺たちが戦闘準備を整えた時、ちょうど火向も帰ってきた。
ただし、1人連れがいる。黒髪の少年だ。ただし、人ではない。マシンだ。
それは、独特の雰囲気を放っている。目は冷たく、表情は変わらない。
「なんだ。逃げなかったのですね。もったいない。
でも、その代わりに歴史的瞬間が見えますよ。アダムを起動します。
後はこのボタンを押すだけですよ。」
火向がポケットから、黄色いボタンが1つ付いた箱を取り出した。
「これで人類に永遠の平等が訪れます。いきますよ!」
火向が手に持っていたボタンを押す。
アダムはすぐに反応する。目に光が灯り、喋りだす。
「我はアダム。全てを平等にする者なり。まずは、火向を抹殺する。」
そう言って、アダムは火向を指差した。そして、指先から1本の光が出て、火向の体を貫いた。
火向が自分に空いた穴を見つめる。信じられないといった表情だ。
そのまま、火向は地面に倒れさった。
「…なぜだ?プログラムは完璧なはずだ。何が間違っていた?」
「我は答えよう。火向は唯一我の破壊方法を知っている者なり。ゆえに、平等ではない。」
「そんなはずは。こうも簡単に人を殺すようには設定していない…
アダム、今すぐに停止するんだ…」
火向が血を流しながら地面に落ちているボタンを押そうとする。
アダムはすぐさま、火向が伸ばした手を蹴り、ボタンを踏み潰した。
そのまま火向の左胸を指差し、レーザーを出して心臓を貫く。
火向がうめき声を上げて動かなくなる。
「我の次の目標はトラベルなり。トラベルは唯一、パラレルワールドに行ける魔法を使える。」
アダムが俺を指差す。俺はとっさに瞬間移動をして避ける。
「大丈夫か!?」
金田が俺のことを見る。
「ああ、なんとかな。それよりも、こいつをなんとかしないと。」
「だな。まずは俺が先陣をきってやるよ!」
金田がアダムに手に持っている木刀を投げつける。アダムはレーザーで撃ち落とす。
その隙をついて、金田はアダムに急接近する。いつの間にか刀を魔法で出している。
刀でアダムを斬りつける。しかし、弾かれた。その音からしてアダムの体は金属だ。
金田から離れるようにアダムが瞬間移動する。
「かかったな!爆破!」
金田が叫ぶ。その声と同時にアダムの体が爆発する。煙で確認出来ないが、かなりのダメージを負っているはず。
「金田、何をしたんだ?」
金田が得意気に言う。
「それはなトラベル。お前を見てて思いついたんだけどよ。
瞬間移動する時、体に着いている物も移動するだろ。じゃなきゃ、移動した後に裸になるもんな。
だから、実はさっき拾っていた手榴弾をアダムが瞬間移動する瞬間に投げつけたんだ。
そして、瞬間移動した後に爆発したっていう訳だ。」
「よくやるよな。でも、一歩間違えれば死んでたぞ。」
「まあな。でも、そうしなければ勝てないだろ。さて、どうなったかな。」
金田が煙を見つめる。煙はもう晴れようとしている。
煙が晴れたと思った瞬間、光がとんできた。光は金田の肩をかすった。
金田が肩を押さえる。血が想像以上に流れている。
「外れた。次は外さない。」
煙の中からアダムが現れる。傷1つ負っていない。それどころが衣服も無事だ。何で出来ているんだ。
「我、正当防衛としてこの場に居る者を抹殺する。」
アダムが手を開く。そこには、小さい棒があった。その棒は徐々に長くなる。
そして、棒がちょうどアダムの背の高さになった。そこで棒の成長が止まる。
まるで如意棒だ。アダムはそれを孫悟空のように振り回す。
最初の狙いは金田だ。金田に如意棒で殴りかかる。金田もそれを刀で受けとめるが、押し負けそうだ。
風が、金田を救うためにかまいたちを飛ばすがアダムには効かない。
金田は耐えきれずに後ろにじりじりと下がる。しかし、すぐ後ろには壁がある。
金田の背中が壁に着く。アダムが如意棒から片手を離す。その片手で金田の左胸に狙いを定める。
レーザーを撃つ気だ。俺は、金田を救おうと足を動かすが間に合うはずがない。
諦めが頭をよぎった、その時にアダムに向かってゼウスの矛が飛んできた。
アダムが後ろに跳んで避ける。俺はゼウスの矛が飛んできた方向を見る。
そこには、よく見知った人がいた。