4ー1
ついに、物語の真相が語られるって感じです。
やっと、ちゃんと伏線を回収出来ます。今まで本当にもどかしかったです。
いやあ~よくぞここまで書いていけたものです。
こっからラストスパートをかけていきます!
俺はボルトと共に瞬間移動した。行く先は…
そう、漆黒の闇に包まれた宇宙だ。しかも地球とは限りなく離れていている所だ。
ここならばボルトを倒せる。
「ボルト!お前の野望もここで終わりだ!
ここがどこか分かるか?宇宙だよ。しかも地球とは遠く離れている。
いくら雷と言えどもここから地球に帰る頃には寿命が尽きてるよ。
まあ、先に魔力が尽きると思うけど。闇の中で1人考えれば自分の愚かさも分かるだろ。
それじゃな!」
俺はボルトから手を離し地球へと瞬間移動した。そして、そこにはボルトだけ残った。
「ふざけるな~!!」
ボルトの叫び声が闇の中に響き渡る。
そして、俺は無事に地球へとたどり着いた。ノウが俺の姿を見て、駆け寄ってくる。
「無事だったんですね。良かった。心配しましたよ。急にいなくなったんですから。
いったい、何をしたんですか?」
「俺の能力を使ってボルトと宇宙の果てに行って、ボルトを置いてきたんだ。
もちろん、宇宙には空気がないから風の魔石を使って空気を身にまとってね。
ちなみに、宇宙は場所によって寒さが違うから、ちゃんと気をつけて瞬間移動したんだよね。
だから、正確には良い感じの温度の宇宙の果てにボルトを置いてきたんだ。
これであいつと二度と会わなくてすむよな。」
俺は笑う。ノウも大はしゃぎしながら騒ぐ。
「僕たちの勝ちだ!」
俺たちはしばらく喜びを抑えられず騒いでいたが、みんなが気絶したままのことを思い出して、みんなを起こし始めた。
そして、全員を起こし終えた後、このコントロールルームの部屋のドアを開ける音がした。
全員がドアの方を見た。もしかしたら静先生かもしれないと期待をこめて。
しかし、そこにいたのは静先生などではなかった。それはよりにもよって火向だった。
「火向!?何でここに…」
八重が驚きの声をあげる。俺も、いや、全員驚いた。
「今さら来ても遅いぞ!ボルトはもう倒したからな!」
金田が胸を張る。
「あんたが倒した訳じゃないでしょ。トラベルが倒したのよ。」
「うっ…まあいいじゃんか。ボルトが負けたのは事実なんだから。」
八重のツッコミに金田がしどろもどろする。
「そんな漫才を聞きに来たんじゃない。別に俺はボルトのことなど、どうでも良いんだよ。
あいつがお前たちに倒されるのは計算済みだった。いや、むしろ、そうならなければならなかった。」
俺は眉をひそめる。
「どうゆう意味だ?」
「ついに全てを話す時がきた。まずは、君たちに今までの非礼をお詫びしたい。
いくら世界の為とはいえ、失礼なことばかりをした。」
火向が頭を下げる。俺たちは、あまりにも意外な行動にたじろいた。
「いきなり何をするんだ!?何かの作戦か!?」
「違いますよトラベルさん。自分は本気です。今から真実を話すのです。だから、もう自分を偽らなくていい。
皆さんは今までのことをおかしいと思いになりませんでしたか?
まるで小説のように都合良く進みませんでしたか?
おかしいと思う点はいっぱいありましたよね。
例えば、魔法連合国家は全力でトラベルさんを探しているはずですよね?
なのに、実際に襲ってくるのは自分だけでした。なぜでしょうか?
他に、静先生が使っていたスパイはなぜ、GODの情報を簡単に入手出来たのでしょうか?
そして、先ほど自分を倒した時のトラベルさんの作戦。とっさにあれほどの作戦が思い付くでしょうか?
さらに、ボルトとの戦いの中でトラベルさんの魔法が覚醒したのはなぜでしょうか?
答えは…全ては仕組まれていたからですよ。全ては自分の計画です。
その事についてお話する前に1つ聞きたいことがあります。
皆さんは、この世界は平等であると思っていますか?」
俺たちは黙った。
「自分は不平等だと思っています。そして、それゆえに戦争や犯罪が起きると思います。
そう、不平等だから戦争や犯罪が起きるのです。他人に自分に無いものがあるから奪うのです。
だから、人類全てを平等にすれば世の中は平和になるはずです。
だから、自分は世界を平等にする計画をたてました。通称ユートピア計画です。
しかし、自分には世界を平等になど出来ません。真の平等というものを作り出すには力が足りません。
だから、真の平等を作り出すことが出来る者を生み出すことにしたんです。」
「ちょっと待て、真の平等って何だ?」
俺は話をさえぎった。
「真の平等とは肉体的、精神的な平等ということです。
例えば、ここに2人の子どもがいるとします。片方は親の愛を絶大に受けていますがとても貧乏です。
もう片方は、親の愛を一切受けていませんが、絶大な資産があります。
さて、どちらの子どもがより幸せでしょうか?それとも2人とも平等でしょうか?
これは難しい問題ですよね。しかし、答えは必ずあるはずです。
資産が全員同じなのが真の平和とは言いません。心が満たされているのかも重要なのです。
その答えを導きだすのが真の平等です。
しかし、これは我々人間には出来ません。なぜなら、人間には思想があるからです。
人はその思想のせいで判断を誤ります。だから、マシンに判断を任せるのです。
ただし、ただのマシンではいけません。人間の心を持ったマシンでなくてはいけません。
ただ計算して平等にするのではダメなのです。心も計算して判断する必要があります。
そして、そのマシンを造り上げるのがユートピア計画の目的です。
マシンの名はアダムです。
そして、心を造り上げることには成功しました。問題はそれを入れるマシンです。
マシンは別世界にあるのです。だから、取りに行けないのですよ。」
「別世界ってどうゆうことですか~」
風が質問する。
「では君たちはマシンをどう考えているんですか?」
「昔の人が作った便利な物てす~」
「やはり、そう考えていたのですか。それは違う。マシンは元々、別世界にあったんです。
今、自分たちの世界は魔法で繁栄していますが、別の可能性もあったわけですよね。
つまり、科学で繁栄した世界ですよ。世の中にマシンが溢れているね。
いわゆるパラレルワールドと言うものですよ。そこからマシンは来たのです。
何かの偶然でその世界と自分たちの世界はつながってしまった。
そして、マシンはこちらの世界にやって来た。しかし、昔の人たちはそれを使うことは出来たが、作ることはできなかった。
そのうえ、そのあまりにも強大な力を恐れてマシンはおろか、その文書まであまり残さなかったのです。
だから、現在はマシンについてあまり知られていないのです。
そして、パラレルワールドから来たのはマシンだけではなかった。
少数の人間もこちらの世界にやって来た。
そして、その人間たちはこちらの世界とパラレルワールドを行き来出来る魔法が使えるようになったのです。
始めは、その人間たちはマシンを持ってくることが出来る数少ない者として優遇されました。
しかし、次第に人々がマシンに恐怖を抱くようになると、その人間たちも迫害されるようになったのです。
そのまま、その人間たちの子孫は数を少なくしていき、今では世界に数人しかいなくなりました。
そして、その人間たちの数少ない生き残りが、トラベルさんのご両親なのですよ。」
俺は訳が分からず立ち尽くしていた。父さんや母さんが異世界から来た者の子孫だなんて考えられない。
「トラベルさん。これは事実なのですよ。そして、自分の母もその生き残りなのです。
だから、自分はパラレルワールドに行く魔法が使えていました。
それを使ってパラレルワールドに行き、必死にアダムを造り上げました。
また、こちらの世界では魔法で心を造り上げました。」
「心を造り上げるなんて可能なのか!?」
「可能です。魔法は万能ですから。それは日々の生活から分かるはずですよ。
しかし、造り上げてこちらの世界に心を取りに来て、また戻ろうとしたときに気づいたのです。
魔法が使えないと。元々、自分の父はこちらの世界の人間です。
だから、魔法がきちんと引き継がれなかったのでしょう。
魔法が使えなくなり、アダムに心を持っていくことは出来なくなりました。
だから、代わりに心を持っていってくれる人物を探したのです。
それは容易ではありませんでした。何しろ、生き残りの子孫は自分だけかもしれませんでしたから。
しかし、1人いたのです。それがトラベルさん、あなたですよ。
ただ問題がありました。トラベルさんの魔法は覚醒していなかったのです。
魔法が覚醒しなければパラレルワールドには行けません。
魔法が覚醒するには、よほどの思いがなければいけません。
その思いは簡単には出来ません。なので、それ相応の状況が必要だったのです。
その状況とは仲間を、世界を救うためにもっと力が欲しいと痛感する状況です。
つまりは先ほどのボルトとの戦いです。あの状況ならば魔法が覚醒するはずです。
あの時のトラベルさんは心の底から力が欲しいと思ったはずです。
今までのことは全て自分の計算通りと言うことですよ。
貴方たちがここまで来るのにしてきたことは全て自分が仕組んだものです。
ボルトが言っていたことも全て嘘ですし、GODも捨て駒です。
何より、貴方たちが自分自身で考えたと思っていたことも自分に操られた結果なのですよ。
自分は相手の潜在意識にイメージを刷り込む魔法を使えます。
それを使って、貴方たちの潜在意識に定期的にイメージを刷り込んでいました。
貴方たちの今までの閃きは自分が仕組んだイメージのおかげなのですよ。
貴方たちは自分の意思でここに来たのではないのです。自分に操られてここに来たのです。
さあ、ここからが本番ですよ。世界を救うのです。」