3ー5
色々ありまして更新遅れました。
たぶん、次の更新も遅れると思います。
物語も、もうクライマックスを迎えつつあります。さあ、伏線回収開始です。
「ちょっと待って。」
勢いよく飛び出そうとした俺のことを八重が引き止めた。
「なんだよ、せっかく格好つけてたのに。」
俺は少しふてくされる。
「これを見て。」
八重がオーブを操作する。石のようなものが映し出された。
「これは?」
「魔石よ。前に言ったと思うけど、もう一度説明するわ
魔石とは魔法を詰めこんだ石のことよ。そして、その石を持って、念じると石に封じ込められた魔法が発動する。
そして、このオーブの情報によると、私たちの魔法が封じ込められた魔石があるみたいなの。
場所はあそこよ。」
八重が指し示した場所には大きな棚があった。そして、その棚にはたくさんの魔石があった。
魔石には俺たちの名前が書いてあった。どうやら、本当に俺たちの魔石があるみたいだ。
「せっかくだから、これを持っていきましょう。何かの役にたつはずよ。」
そう言って八重が魔石をポケットにつめ始めた。俺たちも真似してつめる。
突然、風が手をあげた。
「そういえば~私の魔法がレベルマックスになったんですよ。」
「えっ、レベルマックスになったの!?すごっ!」
金田が驚きの表情を見せる。それは俺も同じだった。レベルマックスなんて…そこまで達するのにどれ程かかるのか。
「今までは~風を操っていたけど、今度からは空気を操れるようになったんですよ~
実際に目で見てもらえば分かりますよね~」
風が前に向かって跳んだ。そして、本来は地面に落ちるはずの風の体は宙に浮いていた。
そのまま、前に向かって歩き続けた。そして、また跳んで地面に落ちた。
「今のは~固定した空気の上を歩いたんですよ~」
「すごっ!めちゃくちゃ良い能力じゃん。」
金田が羨ましそうな顔で風を見る。正直、俺も羨ましい。
「そういえば僕もレベルマックスになっていました。」
ノウが淡々と言う。
「僕のレベルマックスの魔法の能力は、どんな質問にも答えられると言うものです。
今までは、まるばつ問題だったのが、今度は記述問題ですよ!
試しにやってみますね。」
ノウがそこら辺に落ちていた紙を拾う。
「トラベルさんの持っている物は?」
ノウの質問に呼応して、紙の上の文字が動き出す。そして、紙面には魔石と現れた。
「じゃあ、今度はトラベルさん、魔石を手放してください。」
俺は魔石を手放した。すると、紙の文字が再び動きだして…
何も持っていないと言う表示に変わった。
「ねっ。答えが状況に応じて変化するんですよ。便利でしょ。」
俺は素直に感心した。これで少しはGODを破壊出来る確率は上がっただろうか。
「さて、準備も整ったし行きましょう!私についてきて!」
八重が走り出した。俺たちもついていく。
不思議なことに走っても走っても誰にも出会わなかった。普通に考えて誰かには遭遇するはず。
まあ、誰にも逢わないのが一番なんだけども、不安だ。何かありそうで。
そして、走り続けること20分くらいだろうか、目的地に着いた。
扉を開け、中に入ると中はとても広く、巨大なマシンが山積みされていた。
そして、天井がなく、上には青空が広がっていた。
「よく来たね。歓迎するよ。」
声のした方を向くと、ボルトがいた。
「まさかっ、あなたがここにいるということは…」
八重が手で口を押さえる。
「ご察しの通り、彼女は死んだ。そして、次は君たちの番だ。
理想としてはトラベル君の魔法が覚醒してここに来てほしかったが、仕方あるまい。
さて、せっかくだGODの威力を見てもらおうか。」
ボルトが指を鳴らした。一瞬のタイムラグの後に光の柱が落ちてきた。半径は1メートルぐらいだろうか。
そして、光の柱が落ちたところには跡形もなく全ての物がなくなっていた。
「これで分かったろう。これを用いれば我々の目的はいとも容易く達成できる。」
「目的って、何ですか~」
風が手をあげて質問する。緊迫感ぶち壊しだ…
「目的か…良いだろう。ここまで来たのだ、全てを君たちに話そう。
我々、魔法連合国家は魔法能力による選民思想を持っている。
しかし、れっきとした理由があるのだよ。一般公開はされていないが、我々の魔法の源、魔力が年々減りつつあるのだ。
そして、このままいけば後30年後、世界から魔力はなくなる。
そして、この方法には1つだけ解決法がある。
それは、一年以内に世界人口を半分にするというものだ。
問題は、どうやって人口を減らすかだ。が、答えはこれも1つしかない。
殺すしかないだろ。自然に死ぬのなんて待っていられない。
じゃあ、誰を殺すのか、答えは簡単。魔法の力が無いものを殺せば良い。
生きるに値する者は、未来の人類の発展に貢献する者だ。
となると、魔法の力が強い者になる。そうだよな。
しかし、突然、世界の為に死ねと言っても死ぬものはいないだろう。
だから、秘密にかつ確実に殺さなければいけない。
では、どおすれば良いのか。その答えがGODだ。こいつは魔法能力を推し測るマシンを搭載している。
こいつを使えば、あっという間に魔法の力が無い者を抹殺出来る。
ただ、さすがに、おおっぴらにGODを使ったのではばれてしまう。
だから、戦争を起こすのだよ。戦争中なら公に人を殺せるからな。
まあ、お前らの所の大統領を暗殺したのは俺の部下だから、多くの国民は大統領暗殺犯人は魔法連合国家だとは思っていないけどな。
知っているのは、俺と部下だけだ。国民はもちろん、軍人だって知らない。
そして、互いの主張はこじれて戦争に突入する。全て俺の予想通り。
おっと、私としたことが口調が悪かったですね。ついつい興奮しちゃって。
だが、まだGODは完成ではないのですよ。トラベル君の魔法の力がないとね。
そもそも、GODは宇宙空間にいるわけですが、そのため衛生軌道上にあるのですよ。
となると、必然的に攻撃できる場所が制限されますよね。
だから、トラベル君の魔法が必要なんですよ。トラベル君の魔法は覚醒すると、移動範囲が無限になるのです。
この魔法を魔石にしてGODに設置すると、GODはいかなる場所にいても、瞬時に目標の真上に移動出来ます。
本当は、他の皆さんのレベルマックスの魔法も魔石かしたかったのですが…
さて、ここまで話せば分かってもらえたでしょうか?人類のためにもトラベル君を渡してください。
もし、トラベル君が大人しくこちら側についてくれればお仲間には手は出しませんよ。
さあ、こちらへ来なさいトラベル君。」
ボルトが俺に近づいて来る。俺はゆっくりと後退りする。
「トラベルは渡さない!こいつは俺の大事な友達だっ!」
金田が俺の前に立ちはだかる。
「金田のくせに良いカッコしないの。私が守るわ。」
八重が俺の前に立ちはだかる。
「私もお手伝いしますよ~。」
風が俺の前に立ちはだかる。
「僕も、ボルトさんの考えは不正解だと思います。」
ノウが俺の前に立ちはだかる。
「邪魔をするのか…ならば!」
ボルトが懐から銃を取り出す。そして、すぐさま発砲した。
しかし、弾丸は俺たちにはかなかった。空中で急に失速し、落ちた。
「エアクッション。私の魔法を使って周りの空気をクッションにしたんですよ~
これで、あらゆる物理攻撃は効きませんよ~私たちの勝ちですね~」
風が得意顔で笑う。しかし、ボルトは失笑しただけだった。
「その程度のこと…想定ないだよ。別にGODを使えばいいだけだよ。」
ボルトが指をパチンと鳴らした。
「皆さん!後ろに跳んでください!」
ノウの声に反応して、俺たちは後ろに跳ぶ。
そして、俺たちがいた場所にレールガンが落ちた。もう少し遅ければ俺たちは死んでいた。
「なぜ分かった?」
「さて、何ででしょうか?自分で考えてみてください。それがクイズと言うものです。」
ノウがいたずらっ子のように笑う。
「さあ、これで僕たちの勝ちですね。」