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14-2 クライン家の反転攻勢

「やったー!もうお腹ぺこぺこ!」


目の前で湯気を立てるリゾットを装ってもらい、嬉々として両腕を上げるマリナ。


「夕食会の準備で大変だったのに…ありがとうございます」


ティーもリゾットを受け取りつつ、そう言って頭を下げる。ジョゼフはカラカラと苦笑してみせ。


「いーや全く、天災みてぇな夜だったな。ようやく落ち着いて飯が食える」


言いながら、ジョゼフは自分の分も椀に装うと、ティーの隣の椅子に腰掛けて食べ始めた。


「ほら、ティーも冷めないうちに食え。お代わりもあるからな」


「はいっ!私、お代わり!」


ぴっと右手を伸ばすマリナの器は、綺麗に空になっている。


「おいおい、もう食っちまったのか?マリナの胃袋は底なしだな」


驚きつつも、空の椀にお代わりを装ってやるジョゼフに、満面の笑みで受け取るマリナ。


温かいリゾットと、仲間たちのいつもと変わらぬ笑顔に、ティーの冷え切った身体も少しずつ、解れていくようだった。


すると、部屋に再びノックの音が響き。


「ティー、入ってもいいか?」


「セレン様?」


一拍置いて扉が開き、その向こうからセレスティンが入って来る。そしてその後ろには。


「アンヌさん、ノエラさん!」


クライン家最強の侍女コンビが、セレスティンに連れられて部屋に入って来た。


「マリナ、ティーの手当て、ありがとうね。薬作り、随分上達したじゃないの」


アンヌはマリナと目が合うや、そう言ってウィンクを投げる。


照れ笑いを浮かべるマリナを見つめながら、ティーは。


「そう言えば、私も聞こうと思ってたの。マリナ、いつの間に薬の作り方を?」


そう、ティーの傷の手当てのために使った薬は、全てマリナが調合したものだったのだ。


「えへへ…実は、ちょっと前から、ノエラさんに教えてもらって、勉強してたんだ」


マリナの言葉に、ノエラも笑みを浮かべて頷く。


「前に、ティーが子供の頃から一生懸命勉強してたって聞いて、私も見習わなきゃって思って。なんか、自分の技術が誰かの役に立てるって、嬉しいね!」


いつも通りの天真爛漫な笑顔が今はどこか、自信に満ちて輝いている。何だかティーまで嬉しくなって、笑みを深めつつ、頷いた。


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