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11-7 アリーシアの心変わり

凛としたその背中を、アリーシアは思わず目で追っていると。


「…はて。クライン辺境伯家のご令息が、何故王宮に」


「えっ…!?」


父の言葉に、アリーシアは弾かれた様に顔を上げる。


「く、クライン辺境伯家って…前に私に縁談を申し込んできた、あの…!?」


「ああ、そうだよ…アリーシア、お前、貧血は大丈夫なのかい?」


今しがたの眩暈も脱力感もどこへやら。衝撃の事実に、アリーシアはしっかと床を踏みしめ、セレスティンが歩いていった回廊の先を、じっと見据える。


しかし、そこにはもう、セレスティンの姿はなかった。


「…お父様。私、思い違いをしていたみたい」


「何だって?」


ぽつり、とアリーシアが呟き、ロイズ伯爵が首を傾げる。


(今度こそ見つけたわ。本当に、私を守ってくれる王子様を…!)



☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆



セレスティンが王宮を訪ねたのは、例によってレアンドルから、調査結果の報告を受けるためだった。


部屋に入ると、レアンドルは満面の笑みでセレスティンを迎え入れる。


「やあ、セレン!待ってたよ」


「レアンドル。この度は、ご婚約おめでとう」


開口一番、セレスティンがそう言うと、レアンドルは面食らったように口を噤んだ。


「期待の王太子殿下の婚約者とあらば、さぞ優秀な令嬢なんだろうな」


そう、建国祭の式典では、婚約と同時にレアンドルの立太子も発表され、式典はめでたい事尽くしで幕を降ろした。


王子から晴れて王太子となったレアンドルは、苦笑しながら頭を掻くと。


「…参ったな、ただの政略結婚だよ。王宮が勝手に選んで、勝手に決めただけだ」


「と、言う割には、まんざらでもなさそうな顔をしているが」


セレスティンがにやりと口の端を持ち上げ、レアンドルは苦笑を深める。


「そんなんじゃ無いって。…ただ、話してみると案外面白い子でさ」


「ほう。どんな令嬢なんだ?」


聞かれて、レアンドルは一瞬、思案に暮れると。


「そうだなあ…良く言えば、『研究熱心な文学少女』かな」


「…?」


レアンドルの言葉に、首を傾げるセレスティン。


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