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1-2 ロイズ伯爵の葛藤

「お父様、お母様!いやよ、私、辺境伯との縁談なんて!」


「アリーシア!」


夫妻が顔を上げると、いつの間にやら目の前に、縁談を申し込まれた張本人が立っていた。


透き通る湖面のようなブルーの瞳に、プラチナブロンドの見事な巻き毛――その髪には、虹色を帯びた不思議な光を帯びている。


「私は特別な“精霊色”を生まれ持つ、選ばれた人間なのよ!辺境伯家なんてとても釣り合わないわ」


“精霊色”。それは、この地に宿る精霊の加護を受けた人間に現れる、特別な髪色のことだ。


山間の小さな国ながら、コルベンヌがここまで発展してきた理由は、精霊の加護に他ならない。


この世界には太古から、土地を潤す不思議なエネルギーを持つ鉱石――“精霊石”が存在する。


“精霊石”はそのほとんどが地中の奥深くに眠っており、その力は未解明の部分が大半だが、その加護のお陰でコルベンヌは大きな天災に見舞われることもなく、建国以来豊かな実りが続いていると言われている。


そして、その“精霊石”は、その地に生まれる人間たちにも、時に不思議な力を宿す。


それが、人々の『髪』に現れる、“精霊色”だ。


色とりどりの輝きを放つ精霊石と同様、精霊色にも実に多彩な色合いが存在する。例えば、ロイズ伯爵の髪色は“アッシュ・サファイア”、エレノア夫人は“ガーネット・ブラウン”という具合に。しかしその全てに共通するのは、普通の髪には無い独特の輝きが宿る点だ。


精霊色が発現する理由や条件ははっきりしていないが、王族や貴族など、高貴な人間ほど持って生まれる確率は高い。そして精霊色が発現した者は同時に、美貌や才能を併せ持つことが大半だ。


とは言え、それらの因果関係が実際に証明されているわけではない。しかしコルベンヌ国において、特に王侯貴族の間では、精霊色がやがてひとつのステータスとなっていった。


そしてその精霊色の中でも、特に稀少と言われる髪色の一つ――“ダイアモンド・プラチナブロンド”。


王家でも数十年に一度、発現するかしないかというこの精霊色を、アリーシアは持って生まれて来たのだ。


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