6-2 ルーの杞憂
その横で浮かない顔をしているセレスティンを見やり、セルジオはふと笑みを浮かべて。
「まあ、調べてみて疑わしいところが無ければ、それで済む話だ。…それに、ティーが一体どうやってあれだけの教養を身に着けたのか、単純に興味があるしねぇ」
「それは確かに、俺も気になってはいましたが…」
まだ納得いかない様子のセレスティンに、セルジオは笑い皺を深めながら、頷いて見せた。
「うんうん、それでよろしい。お前はこのまま、ティーを信じてやりなさい。ティーと一番心を通わせているのは、他ならぬセレンだからね」
「…は?父上、今の言葉には少し語弊が」
「さあさあ、僕はもう疲れた。早く寝たいから君たちはさっさと出て行ってくれたまえ」
「いや、父…」
「かしこまりました。さ、セレン様、参りましょうか」
口を開きかけたセレスティンを、ルーが腕を引っ張って部屋から出て行くのだった。
☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩*✯☪︎⋆。˚✩☪︎⋆
翌朝。
朝食後に公爵家一行を送り出してから、セレスティンはいつも通り書斎で机に向かう。
しかし、先ほどからその表情は、どこか虚ろなままだ。
(…ティーが、ロイズ家が寄越した間者…?)
昨夜のルーたちとの会話を思い出しながら、頭の中で何度も自問自答を繰り返す。
(…まさか。そんなはずがない。何せ彼女は…)
「…あの、セレン様」
ティーの声に、セレスティンはハッとして顔を上げた。
いつの間にか、仕事机の目の前に立っていたティーは、おずおずと俯きながら。
「私事で、申し訳ないのですが…封筒を一枚いただけないでしょうか」
「封筒?それは、構わないが…」
首を傾げながら、セレスティンは引き出しから封筒を一枚取り出し、ティーに差し出す。ティーはぱっと顔を輝かせて、笑顔で受け取った。
「ありがとうございます」




