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16-11 灰色少女の真実

刹那、ふっと瞬きして薄く笑うと。


「…それじゃ、もう一つ教えてあげようか。レティーシア嬢の曾祖母に当たるフローリア姫だけど、彼女には年の離れた末弟がいた。姫は結婚して王宮を出るまで、母代わりのように弟の面倒を見ていたそうだ。そしてその弟はやがて、成人して領地を賜り――『オルレアン公爵家』を名乗るようになった」


「オルレアン…!?」


アリーシアを始め、ロイズ家一同の視線が、コーネリスに注がれる。


コーネリスは再び、静かに口を開いた。


「…初代オルレアン公爵は、私の祖父にあたります。祖父からは、フローリア様が如何に素晴らしいお人柄であったか、幼少の頃からよく聞かされておりました。勿論、現当主である私の父も。…そして先日、オルレアン公爵家は、フローリア様の子孫であるレティーシア様と、正式に養子縁組を結んだのです」


実は、裁判が開かれる数日前。ティーはセルジオ、セレスティンと共にオルレアン公爵家を訪ねていた。


コーネリスの祖父は高齢でありながらも、今も元気に余生を満喫している。ティーと対面するや、彼は大切な姉の姿を思い出し、「まるで生き写しのようだ」と懐かしんだ。


ティーは公爵家の他の面々ともすぐに打ち解け、その日のうちに公爵家の養子となった。


公爵令嬢の身分があれば、クライン辺境伯家の妻となっても、誰も文句は言わないだろう。ティーを無用な誹謗中傷から守るための、セレスティンの計らいだった。


「つまり、今のレティーシア嬢は伯爵令嬢の君よりも、ずっと格上の存在ってことだよ。…ああ、失礼。君はもう、伯爵令嬢ですらなかったね」


レアンドルは、アリーシアを冷ややかに見降ろして。


「君は、ただの犯罪者だ。リリー・プログラムでの不正で国を欺き、何の罪もないレティーシア嬢を傷付け、陥れようとした。当分は王宮の地下牢から出てこられないだろう」


「……」


頭の中が真っ暗になる。アリーシアは黙ったまま、ただ床にぺたりと座り込んだ。


一体この人は何を言っているの?…犯罪者?地下牢――…私が?この私が…


目の前で起こっているはずの現実が、アリーシアにはぼんやりと霞がかった夢のようにしか感じられないのであった。


そして、レアンドルは次に、エレノアに視線を送ると。


「エレノア夫人。レティーシア嬢への暴行の件は、貴女も同罪です。しっかりと罪を償ってもらいますよ」


エレノアもとうとう、よろけて椅子に崩れ落ちた。力の入らない手は扇子を取り落とし、唇は小刻みに震えている。


レアンドルは最後に、ロイズ伯爵へと目を向けた。


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