怪しい神父
俺リーン・ルノエスはアン・クルトというおばさんのお手伝いの合間に獣人族の少女を探していた。
その少女を町の中で見つけるも、白い服を着た男に強引にどこかへ連れて行かれてしまった。
白い服の男を追跡すると、アンおばさんが危険だと言っていた教会に到着したのであった。
俺は今ヴェルと共に教会へ来ていた。
「ここ、教会だよな…」
「そう見たいですね!」
俺達は白い服の男についていくと、男が教会の中に入って行くのを見た。
「中の様子がわかんないな…」
「それなら、あれを使えばいいんですよ!」
「確かに!」
俺達はシャドーダイブを使い教会の中を影の世界から覗くことにした。
「この教会、見た目とサイズが全然合ってないですね」
「本当に…」
「チュ!いましたよ!さっきの男!」
先ほどの白い服を着た男は獣人族の少女を修道女に渡し、別の部屋へと入っていった。
あの男は何者なんだ…
俺とヴェルは二手に分かれることにした。
ヴェルは、獣人族の少女の方へ、俺は白い服の男に着いていくことにした。
「ここは…」
先程の男が入って行ったのは、神父の部屋と思われる部屋であった。
そこで男は着ていた服を脱ぎ、神父の服装に着替えていた。
「やっぱりこいつが噂の神父だったのか…」
町中で子供を苦しませるようなことを平気でやっているこいつが本当に神父であることがわかり、俺は少し驚いていた。
「あの娘は本当に手がかかる…」
神父はそう言うとため息をついていた。
手がかかるからと、あのようなことをしていい理由にはならないがな…
俺がそんなことを考えているとヴェルがやってきた。
「ご主人様!獣人族の娘の連れて行かれた場所がわかりました!」
「そうか!なら連れてってくれ!」
俺はヴェルに獣人族の少女がいるところまで連れて行ってもらった。
「これは…」
そこには薄暗い地下に柵で囲われた部屋があった。
獣人族の少女はそこに捨てられたように倒れている。
また、その少女とは別に5人ほどの子供が痩せ細った姿で横になっていた。
なんて酷い環境だ…
俺はすぐさまその部屋の影から出て、子供達を確認した。
「酷い、何日も食事ができていないのか衰弱しかけてる…」
「でもご主人様!これなら、まだ助けることができます」
「そうだな…」
俺とヴェルは回復魔法を使い、その子供達の身体にある傷や怪我を治してあげた。
「これで一旦大丈夫だと思います!」
「そうだな…でも、ご飯を食べないことには根本的な改善はできてない…」
「ゔ…うぅ…」
俺がヴェルが話していると獣人族の少女の意識が戻っていた。
「おはよう。君が一番怪我が多かったけど大丈夫そうかい?」
「うわぁ!」
「しっ!しっ!静かに!」
…
どうやら外の奴らにはバレていないようだ。
「あんた昨日の…」
「あぁ、俺はリーン!リーン・ルノエスだ!」
「…」
「ごめんね驚かせちゃって。君の後をこっそり着いてきちゃったんだ」
「あんた馬鹿なの?!こんなところに来たら死ぬか売り飛ばされるかの2択しかないのよ!」
やはりこの少女は売られそうになっていたのか。
「そのことで相談があるんだ」
「何よ…」
「俺は君たちを助けたいと思っているんだ!」
俺はその獣人族の少女に話をした。




