首輪の少女
俺リーン・ルノエスはボルス・ポルスとパール・ペリアを引き連れ、レインフォレストという町に来ていた。
お金に困っていた俺たちはこの町で出会ったアン・クルトというおばさんに助けてもらい、少しの間おばさんのお手伝いをすることが決まった。
そして、そのお手伝いの時間までの休憩中、俺は猫のような耳の生えた、首輪を付けた少女に出会っていた。
俺がフードを引っ張ると猫耳の黒い首輪をつけている少女が姿を現した。
「君は魔族…てか、そのの首輪…」
俺がそう言うとその少女は走って逃げて行ってしまった。
「どうしたのリーン!」
「急にあの子を追いかけようって、走り出してびっくりしたよ…」
パールとボルスが俺に追いついてきた。
「あの子、あのお店のりんごを取ってたんだ…」
「そうだったのね」
「あの子もきっと大変なんだよ…あの耳たぶん獣人族だと思うし」
ボルスはあの子の種族について何か知っているようだった。
「ボルス…獣人族ってなんだ?」
「さっきの子みたいに獣の耳が生えてる種族のことだよ」
そう言うとボルスは説明をしてくれた。
獣人族は人間に耳と尻尾を生やしたような種族で、知能があんまり高くない分、身体能力が高く、動物とも心を交わすことができるらしい。
元々は魔王軍側についていたが、奴隷魔法の実験に使われたり酷いことをされ続けた結果、逃げ出すように魔王軍から脱退したらしい。
また、過去のことから人間側にもあまり好かれておらず、山の奥でひっそりと過ごしていると言われている。
「そんな種族がいるんだね…全く知らなかった」
「僕もそんなに知らないんだけど、昔お父さんがその獣人族の人に助けてもらったことがあるって話してくれたことがあったんだ」
獣人族についてはわかったが、何故こんなところの獣人族のしかも子供が1人でいたのか…
俺は不思議でならない。
そして、あの首輪だ。
あれはティア先生に教えてもらった、禁止とされている奴隷魔法の一種のような気がした。
奴隷魔法は国によっては使うことを固く禁じられているはずだか、もしかしたらこの町では奴隷魔法を禁止していないのかもしれない。
俺はあの子のことが気になってしまい、モヤモヤしていた。
「リーンあの子、まだ追いかける?」
あの子のことは確かに気になるが、俺たちの今の目標は無事にビート・ウッド王国に帰ることだ…
「いや、いいよ。見たいものをある程度見たら帰ろう」
俺たちはその後、食べ物や水を入れる為の容器などの値段を調べてから、アンおばさんの家に帰って行った。
「早かったわね!」
「見たかったものも大体見て来れたので!」
「あら?遊んできたんじゃないの?」
そういえば家を出る時にそんなことを言われていた気がする。
「必要なものの値段を調べてるために町の中心に行ってました」
「そう!変な人には会わなかったかい?」
「変な人というか、変な子には会いました」
「変な子?」
俺達は先ほど出会った獣人族の少女について話した。
「そうだったのかい。獣人族の子供なんて聞いたことなかったけど、物騒なもんだね…」
「あんた達も気をつけるんだよ!」
「はい」
俺たちはその後ギルドの食堂をお手伝いを開始した。




