人の優しさ
俺リーン・ルノエスは三銃士のアラス・ペリアの娘パール・ペリアとポルス・パーシルの息子ボルス・ポルスの2人を抱えアザゼルとの戦いからなんとか抜け出した。
なんとか逃げ切れたものの父を目の前で亡くしたボルスが落ち込んでしまい、前に進めなくなっていた。
ボルスを俺は励まし、なんとか次に進めることになった。
森の中で一晩過ごした次の日
俺たちはタマちゃんが安全だと言っていたルートに進んでいた。
「本当にこの道で帰れるの?」
「帰れるんだけど、全く見覚えもない場所だ」
パールは日差しの強さのせいか、かなり疲れているようだ。
しかし、この道は本当に合っているのだろうか。
俺はティア先生に自分の住んでいる町の地形をある程度教わっていたが、見覚えのあるような場所は一切見当たらなかった。
アザゼルに換金されていた場所はヴァルとの会話できていたことを考えると魔法効果の範囲内つまり、3時間程度馬車を使えば移動できる距離のはずだ。
それなら、そんなに遠くへは行っていないはず。
なのだが…
まったくどこを見ても見えない砂漠地帯が続いている。
「本当にこの道であってるのかな…」
俺はタマちゃんを少し疑い始めていた。
「あ!リーン!見てみて!町だよ!」
そんなことを考えて進んでいるとパールが町を見つけてくれた。
俺たちは急いでその町へと向かった。
「やっと…やっと人がいる」
俺はボルスとパール以外の人間に会えたことに感動していた。
「僕たちは人間じゃないってことですか?」
「リーン!酷い!」
「違う違う!そういう意味で、言ったんじゃないよ!」
「プッ!ハハハ!」
「冗談だよ!冗談」
ボルスが冗談を言えるくらい元気を取り戻していてよかった。
「それでこれからどうする?お金とか僕持ってないけど…」
「そうだね。ひとまず教会に向かおうか」
俺たちは教会を探すことにした。
教会では食べ物や飲み物などを恵んでくれることが多く、子供であれば尚更優遇してくれる場合がある。
俺はひとまず町の人に聞いて回ることにした。
「すみません、ここら辺で教会とかってありますか?」
「あぁ、あっちの方にあるけど、あんた達教会に何か用でもあるのかい?」
優しそうなおばさんが少し不思議そうな顔をしていた。
「実は僕達お父さん達と逸れてしまって…」
俺は若干嘘をつきつつ、子供だけで旅をしてあることを伝えた。
「そうか、ならあの教会へは行かないほうがいいよ」
「なんでですか?!」
「あそこの神父は人身売買をしているって噂があるからね。子供がよく連れて行かれては突然消えるなんてことがよく起きてるんだよ」
「そうなんですか…」
このおばさんが嘘をついているとも思えない。
しかし、木の実しか食べれていない俺たちは悩んでいた。
ぐぅぅ〜
「あ!え…今のは違くて」
パールはお腹が大きく鳴り響き、顔を真っ赤にしていた。
「あんた達、もしかしてお腹が空いて教会に行こうとしてるのかい?」
「実は…はい…」
「なんだ!そうだったのかい!ならうちで食べていきな!残り物でよければ食べさせてあげるよ!」
「本当ですか!?」
俺たちはこのおばさんの家に着いて行くことにした。
おばさんの家はギルドの隣にあった。
「ギルドが横だと騒がしそうですね」
「あいつらいつも喧嘩ばっかりしてるからね!でも、根はいい奴らばっかりよ!」
「そうなんですね」
「まぁなんか言われたら私に言いなさい!私はあそこのコック兼ウエイターだからね!」
どうやらこの人はギルドの中にある料理屋で働いているらしい。
素性もわかり一安心だ。
「好きな椅子に座って待ってな!すぐ用意してあげるからね!」
おばさんは俺たちを家に招くと、すぐに料理を準備してくれていた。
俺はその間に机に置いてある新聞を見つけていた。
「おばさん!この新聞読んでもいい?!」
「あぁ!どうせ旦那しか見ないし好きに読みな!」
「ありがとう」
俺は今日の日付が書いてある新聞を読んでいた。
「まじかよ…」
俺はそれを読み、悔しさでいっぱいになっていた。




