始まり
俺リーン・ルノエスは聖獣のヴェルからノアと言う神について色々聞いていた。
ヴェルはノアと仲がいいらしく、いろんなことを一緒にしていたようだ。
そんなある日、俺は大事件に巻き込まれることになるのであった。
俺はいつものように剣の稽古をし、ティア先生との勉強を終え、午後のティータイムを過ごしていた。
「最近は変わらない生活をずっと続けてるなぁ…」
「チュウ!」
ヴェルが何か言いたそうだったので俺は“トランスレーション”を使った。
「どうしたんだ?ヴェル」
「ご主人様は冒険とかがしたいんですか?」
「そうだねぇ、危険な冒険とかしてみたいかもね!」
「でも、冒険で命を落とすことだってあるんですよ?」
「この世界のことをもっと知りたいからね、命をかける価値もあるよ!」
俺はこの世界に生まれてから毎日剣の修行と魔法の勉強はしているものの実際に役に立っていると感じる時は少ない。
「なんか、ダンジョンに行ったり旅とかしてみたいかもね!」
「僕はご主人様と一緒ならなんでもいいです!」
「そうか、ありがとな!」
そんなことを話していると、誰かが扉をノックする音が聞こえた。
センさんが相手をしているようだが、どこか聞き覚えのある声だな…
「はい、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「私は王国の騎士エザルアと申します。こちらにいらっしゃるリーンさんをクーラス先生がお呼び出して…」
「そうですか、少々お待ちください」
どうやらこの前、俺を助けてくれた3人組の1人エザルアさんが俺を迎えに来てくれたようだ。
しかし、急に俺を呼び出すなんてクーラスも珍しいことをするもんだ。
俺はセンさんに呼ばれ玄関まで向かった。
「エザルアさん先日は助けていただきありがとうございました」
「あれは騎士として当然のことをしたまでです」
エザルアさんは今日もクールだった。
「それでなんで、父さんは俺を呼び出したの?」
「それは馬車の中でお話ししますね」
馬車を用意して俺を呼び出すなんて、結構大型なのかもしれない。
「母さんは呼ばなくて大丈夫?」
「はい、リーン様だけ急ぎで呼ぶように言われてまして」
「そうなんですね!なら急いで向かいましょう!」
俺は急いで馬車に乗り込んだ。
「それで、クーラスはなんで僕を呼び出していたんですか?」
「それがですね、今日は剣の稽古をしてる姿を見せてやりたいれとのことで連れてくるように言われたんです」
「そうなんですか?でもなんで急に?」
「リーンさんはそろそろお誕生日なのでは?」
俺はすっかり忘れていたが2日後に俺は5歳になるのだった。
「確かにそうですね!」
「きっとそれに関係してますよ」
「そう…なん…ですね…フワァ」
「どうかされましたか?」
「すみません、ちょっと…眠く…なって…」
「大丈夫ですよ。ついたら起こしてあげますから」
「すみません…」
俺は馬車の揺れのせいなのか、とてつもない眠気に襲われ、気絶をするように眠ってしまっていた。
「おやおや、眠ってしまいましたね。よかったら毛布をお使いください」
瞳を閉じているとエザルアさんが優しく毛布をかけてくれた。
「では…だ…」
なら前に一瞬何かを話していたがよく聞き取れなかった。
「ご主人様…」
「ご主人様…」
夢の中でヴェルが俺に声をかけてきているようだ。
すっかり忘れていたが、トランスレーションを使ったままだった。
あれは一度使うと4時間は続くからな…
でも、これ夢だからそもそも関係ないか…
「ご主人様起きてください」
しかし、ヴェルの声はどうも夢ではないような聞こえ方をしていた。
「なんだなんだ、ヴァルもうついたのか…」
「大変ですよ!ここどこですか!」
俺はやっと目を覚ました。
さっきまでエザルアさんに馬車に乗っていたのだが…
「あれ?!」
何これ…
「俺は両手を鎖で繋がれていた」
てか!ここどこ!?
目を覚ますと俺は全く未覚えのない、明日ぐらい牢屋のような場所に鎖で繋がれていた。
「え…まじで?!」
俺はどうやら誘拐されてしまったようだ…




