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10億円寄付したら優遇転生してもらえました。  作者: ブロッコリーは芯のほうがうまい
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ヴェルは知っている

 俺リーン・ルノエスは無事動物と会話ができる魔法“テンプレーション”を使うことができ、ヴェルからいろんな話を聞いていた。


 話を聞いていく中で、“ノアの夜明け”のモデルとなっていたノアが、動物の神様になっていたことを知る。


 俺はそのノアについて詳しく聞こうとしていた。

 それじゃあ聞かせてくれノア様について!



「チュウ、ノア様は元々他の世界の魂を持たれている方でした…」



 ノアは元々別の世界の魂だった。


 つまり俺と同じ異世界転生者であったのだ。



 ノアは異世界転生をする際に動物に愛されるギフトを授かっていた。



 元々の世界では動物に癒されることを夢に見ていたが、動物アレルギーがあり、動物と関わることがあまりできていなかったらしい。


 その悔しい記憶から、動物に癒されたいと思っていたのかもしれない。



 また、当時の転生を担当していた女神からは動物達の力を借りつつ、人間の仲間を引き連れ、世界を壊しかねない魔王を倒してくれるように頼まれていた。


 しかし、彼は転生してからというもの人間の友達を作ることはせず、ほぼ全ての時間を動物と過ごしていたこともあり、魔王のことなどすっかり忘れていたらしい。



 ノアのこの奇行は両親も見ていたが、ノアを産んだ時、既にだいぶ高齢であったことから、両親共にノアに対して強く何かを言うこともなく、ノアはのびのびと自由に育ってしまったのだ。




 そんなとき、ノアが住んでいた国で戦争が起きてしまった。



 戦争はお互いの土地を取り合うためのしょうもないただの喧嘩だとノアは思っていた。


 しかし、自分が可愛がっていた動物たちが住んでいる森に食料調達という名目で敵の兵士が入ってきた。



 ノアは敵兵士がいるその森に走っていくと…


 そこには無惨に殺された動物たちが倒れていた。



 ノアが悲しみから動けなくなっていると1匹の大きなフェンリルに遭遇した。


 そのフェンリルはノアをじっと見つめていた。



 ノアは何か話したがっていることを感じ、1回しか使えないギフトで動物と話すことができる“テンプレーション”を作り出した。


 本当ならそのギフトで魔王を倒すために必要な魔法を手に入れるべきだったのだろうが、ノアは魔王のことなんて微塵も覚えているわけもなく、むしろこの魔法を作り出したことを誇りに思っていた。


 フェンリルと話をすると、この森はもう危ないから逃げなければいけないと言われてしまった。


 ノアは自分の魔力の量には自信があり、何とかして動物達を助けたいと伝えると、フェンリルはある魔法を教えてくれた。



 それは“シャドーダイブ”であった。



 この魔法は魔力さえあれば一度にたくさんの動物達を影の世界に連れ込むことができる。



 フェンリルはノアの魔力の量が本物だと知ると、敵兵士にバレないように動物たちを1箇所に集めた。



 ノアはシャドーダイブを使い自分含め森にいた動物達を全て影の中に入れた。


 その後、影の中を移動し全く人のいない土地で動物たちと2年ほどのんびりと過ごした。



 風の噂で戦争が終わったことが動物たちに広まると、ノアはまたシャドーダイブを使い動物たちを元の森へ戻してあげた。



 ヴェルの話は大まかに“ノアの夜明け”に近いものがあったが、ほぼ一緒の内容だった。



「その後も色々大変大変だったんですよ!」


「そうなのか、てかヴェルはそれを生で見てきたのか?」


「生で見てましたよ!てか、今話に出てきたフェンリルって俺ですよ?」



「え?!…」



「出会った時子供の姿じゃなかったか?」


 俺はこの話に登場するフェンリルがヴェルだということに全く気がついていなかった。


 話を聞くと、ヴェルは聖獣として世界を動かす人に興味を待つらしく、ノアの勇者になれる素質に惹かれていたそうだ。


 また、ヴェルが俺と会った時に小さかった理由は100年に一回身体を燃やし、体をゼロから作り直す影響で子供の姿になっていたそうだ。



 まるで不死鳥だな…



「でも、元々ドラゴンだったんだよね?なんでフェンリルになってたの?」


「ドラゴンの時に結構痛い目にあったんですよ。だから、動物の方がいいかなって」


「動物の方が安全なのは間違いないな」



 ドラゴンの時は毒を使えるということでかなり人間から危険視されていたからな。


 フェンリルになれば、かなり可愛く見えるだろうな。



「それで、今はハムスターだけど大丈夫なのか?」



「そう!この姿なんすけど!あのノアに俺言ったんですよ!」




 リーンが見ていた後、ヴェルとノアの会話はまだ続いていた。



「こっこれは!」


「アレルギー問題はこれで問題ないよ。君はこれであの子と一緒にいられる」



「そうかやったー!」



「…」



「やってからネズミじゃないですか!?!」



「特に希望がなかったようだから可愛いのにしといたよ」


「いやいや!ネズミはさすがにかっこ悪いよ!」


「大丈夫、大丈夫」


「何も大丈夫じゃないですよ!」



「ネズミじゃないから大丈夫」


「いや、どう見てもネズミじゃないですか!」


「いや、それね…ハムスターだから」



 …



「ってな感じで、ノア様に誤魔化されてしまったんですよ!」


「そうだったのか…」


 なんかノアって神様は自由人なんだな。



「それにノア様ボケてるのかわざとなのか俺のこと若干忘れてたし!君って呼ばれてびっくりしましたよ!」


「まぁそれは仕方ないよ…」



 神様が歳をとるのかはわからないがとりあえず、ヴェルを宥めていた。




「また、魔法おしえてね!ヴェル!」


「ハムハム!!!」

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