ギリセーフ
俺リーン・ルナエスは動物と話せる魔法が記載されている“ノアの夜明け”という本をやっとの思いで手に入れた。
しかし、その本を変なおっさんに取られてしまった。
俺がそのおじさんに胸ぐらを掴まれた時
1人の黒髪クールボーイが助けに来てくれた。
今俺の目の前ではかなりグロいことが起きようとしている。
黒髪クールボーイは大人しそうな見た目とは裏腹に“お前が嘘をついていた場合腕がなくなるからな?!”と泥棒のおっさんを脅迫していた。
「どうなんだ!さっさと答えろ!」
本当に嘘をついたら腕が飛んでしまうのだろうか…
というかそんな魔法があるなら確実に…
俺は最悪の場合を想定していた。
「さあ!どうなんだ!これはお前の本なのか?!」
「ち…違えよ…」
とうとう泥棒のおっさんが白状をした。
「俺に嘘をついたな?!」
「お前には罰が必要だな…」
黒髪クールボーイが拳を上げていた。
かなり強い魔力を感じるているが、泥棒のおっさんは生きていられるのであろうか…
さすがに人が死ぬのは良くないし、俺が止めるべきか?!
あ…でも、俺は止めれるような年齢じゃないからな!
諦めろおっさん!
「や!やめてくれーー!」
おっさんは先程の威勢など忘れるくらい泣き叫んでいた。
「許さん!」
しかし、やはり罪人は罰せられるものだな。
俺の本を取ったのが悪い!
俺はおっさんが助からないことを確信しながら黙って見ていた。
ガシッ!
金髪爽やかくんが黒髪クールボーイの腕を掴み、止めていた。
「おい、エザルア!それくらいにしとけ」
金髪爽やかくんがそういうと、黒髪クールボーイから怒りのオーラがだんだんと消えていった。
「アラスか!すまん。少し熱くなってしまった」
黒髪クールボーイが落ち着いてくれ、この事件は幕を閉じた。
「怖がらせてしまってごめんね」
「はいこれ。君のだよね」
メガネおかっぱくんが俺の本を渡してくれた。
やはりこいつは優しい良いやつだな。
「ありがとうございます」
「怖がらせちまったな」
金髪爽やかが一番仕事をしたような顔をしてきたのが、すこし鼻についた。
「いえ、大丈夫です!」
「そうかよ!また困ったことがあったら頼ってくれていいからな!」
「はい…」
困った時に助けてくれたのは黒髪クールボーイだけどな!
俺は心の中でツッコミでおいた。
「なんだその信用してないような目は」
「あなた方の名前も知らないですからね…」
「たしかに!!!」
この金髪は天然なのか、喋り方がなんか鼻につくタイプだ。
「俺の名前はアラス・ペリアだ!こっちのクールに決めてるやつがエザルア・サンタ、そこのメガネがポルス・パーシルだ!よろしくな!」
「アラスさん、エザルアさん、ポルスさんですね」
「もう、覚えたのか!?」
「すごいですね」
「…」
エザルア以外の2人はリアクションがかなりいいな。
「次困ったら、助けてーって叫ぶんで飛んできてくださいね」
「まかせとけ!かっこよく登場してやるよ!」
「…」
「なんか言えよ!」
「すみません、言葉が出てきませんでした」
そんな会話をしていると母ヘアラが買い物を終えて俺を迎えにきた。
「リーンお待たせ!あら!アラス達じゃない!」
ヘアラはすでに3人と面識があったようだ。
騎士団長の奥さんなのだから挨拶したことくらいはあるか!
「え!ルノエス団長の奥さんじゃないですか!いつもお世話になってます…って、え?!」
「あ!そうそう!この子が私の可愛い一人息子リーンよ!」
「えーーー!」
「えーーー!
「…」
3人は俺がクーラスの息子だということを知ってしまった。
めんどくさいと思っていて隠していたが、こんなにもリアクションがいいとは思わなかった。
「そうか、お前団長の…」
「おい!アラス!」
「おぉ…そうだった。ルノエス先生にはいつも剣の稽古をしてもらってるんだ!本当にすごい人だよ」
こいつ団長って言ったことをなかったことにしようとしてるな!
俺は笑いを堪えるのに必死だった。
「父さんにそう言ってたと伝えておきますね!」
「あぁ!よろしく伝えてくれ!」
俺はアラス達3人と少しだけ仲良くなれた気がした。




