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10億円寄付したら優遇転生してもらえました。  作者: ブロッコリーは芯のほうがうまい
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いい人、悪い人

 俺リーン・ルノエスはティア先生から教えてもらった。動物と話す為の魔法が記載されている“ノアの夜明け”を探していた。


 商店街に行くと偶然来ていた本屋の店主から、奇跡的に本を1冊もらうことができた。


 貰った本には表紙がついていなかったが、読んでみるとその本が俺の探していた“ノアの夜明け”であることがわかった。

 俺はとうとう動物と話すようになれる魔法が記載されている【ノアの夜明け】を手に入れたい。





「よっしゃーーー!!」


 俺は嬉しさのあまり叫んでいた。



 とりあえずヘアラが来るまでの時間この本を読むことにした。


 本は若干読みづらい部分もあるが、大まかには間違いなさそうだ。




 俺は本を読み進めていった。



「なるほど、これを読んでいると先生の話にはなかった部分が記載されているな」


 この本は絵本より詳しい内容が書いてある。


 ノアという少年は当時、森の長であるフェンリルに力を借りていたことや、魔法生成ができた理由はノアの生まれ持っていたギフトが関係していたことなど、いろんなことが書かれていた。


「なかなか、面白いな…」



 俺は本に夢中になっていた。



「ちょっといいか?!そこの少年」



 俺が1本を読んでいると金髪の爽やかイケメンと黒髪のクールボーイ、そしてメガネをかけたおかっぱくんの3人組が声をかけてきた。




「なんですか?」


「最近危ないやつが増えているからな、子供1人だと危ないぞ!」



 真ん中にいる金髪爽やかくんが心配をしてくれた。


 騎士団の服を着ているところを見ると、見回りか何かをしてるのか…



「気をつけます…」


「お母さんかお父さんはいないのかい?」



 黒髪クールボーイがなかなか怖い口調で聞いてきた。


 しかし、俺は中身が成人してることもあり、全く怖いとは思わない。



「あっちの方で絨毯見てるって言ってました」


「そうかそうか、しっかり答えれて偉いね!エザルア、そんな言い方したらこの子が怖がっちゃうだろ」



 おかっぱメガネが間抜けそうな声で褒めてくれた。


 たぶんこいつはいいやつだな。



「危ないなら母さんの方に行きます」


 俺はそう言うと絨毯のお店の方へ走っていった。



「ありがとうー!騎士の人達!」


「おぉ!気をつけてな!」


 一応お礼も言っておいた。


 たぶんあの人達はクーラスの部下だと思うし、またどこかで会うかもしれないからな、印象を良くしないと。





「おい!ガキ!いいもん持ってるな」



 3人の騎士と別れた直後のことだった。


 俺が前を見ると前歯が何本かない男が前に立っていた。



 これが先ほど話に出ていた悪い人か…?



「あ!ちょっと!」



 こいつは俺の持っていた本を奪いやがった。


「子供が本なんて読まねぇだろ!俺がもらってやるよ」



「は?」


 何言ってんだこいつ。


 さっきまで読んでたわ!



 そんなことを思っていると、男はさっさと逃げようとしていた。


「ちょっと!おい!泥棒!」


「誰が泥棒だ!ガキ!」


 男は俺の胸ぐらを掴んできた。


 逆ギレにも程があるだろ…




 俺は仕方なく、魔法で懲らしめてやろうと思っていた。




 その時…



 光の速さでさっきの黒髪のクールボーイが飛んできた。



「おい、お前、今すぐその子から手を離せ!」



 この人は怖い雰囲気だが、根は優しいんだな…



 俺は呑気にそんなことを考えていた。



「このガキが俺を泥棒呼ばわりするからだ!」


「お前の持っているその本はさっきまでこの子が持っていた本だ。俺にはお前の方が泥棒に見えるぞ」


「これは俺のもんだ!そいつが勝手にとったんだろ」



「何言ってんだ!あんたが勝手に取ったんだろ!」


「なんだとクソガキ!」



 さすがの俺も聞き捨てならない!


 こいつこの後に及んで嘘をつきやがった。



「わかった。お前は嘘をついていないというんだな?!」


「なら今からお前に質問をする。嘘をついていないというなら“はい”とだけ答えろ」


「なんだよめんどくせぇな」


「今すぐお前の首を飛ばしてもいいんだぞ?!」


「わかったよ…」



 この男は自分の嘘がバレないとたかを括っているようだ。



 黒髪クールボーイはそういうと、小さい声で何か魔法を唱えていた。



「ついでに言うが、お前が嘘をついていた場合腕がなくなるからな?!」


「は?!なんでそれ聞いてないぞ?!」



 黒髪クールボーイはこの泥棒男の言うことなど何も聞いていなかった。


「ではお前に質問をする。この本は本当にお前の本なんだな?」


「…」


 男は黙ってしまった。


「これはお前のなんだよな?」


 俺は一瞬黒髪クールボーイの手から黒いモヤが見え気がした。



「どうなんだ!さっさと答えろ!」



 やっぱこの人怖いかも…

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