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10億円寄付したら優遇転生してもらえました。  作者: ブロッコリーは芯のほうがうまい
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黒魔法を知るもの

 アーサー・カリバーとの初めての魔法勉強会で、彼が基本の5属性に適性が薄いことを知り。代わりに俺リーン・ルナエスは白魔法に挑戦してもらうことにした。


 すると、唯一身体強化の魔法“ストロング”だけ、アーサーは使うことができた。


 相性が良すぎるのか、魔力の使う量が多くなってしまい、アーサーは魔力切れでぶっ倒れてしまった。


 しかし、大きな発見ができ俺たちはとても喜んでいた。

 アーサーがぶっ倒れたあと、俺たちはアーサーを家に届けてあげた。


「クララ今日はありがとう!」


「こちらこそ!面白いものが見れて楽しかったわ!」


「また、日曜日家で待ってるね」


「うん!」


 俺はクララともお別れをし、家に向かっていた。



 白魔法のストロングだけ相性がいいなんて、そんなことあるんだなぁ。もしかしたら黒魔法にも相性が良かったりして…


「ま!俺、黒魔法なんて知らないけどね!」



 俺はそんな独り言をしながら家に向かっていた。



「チュウ!」


「うわ!びっくりした!」



 ペットのヴェルが胸ポケットから肩に登ってきた。


 ヴェルはでかいデスオーソの一件から不用意に目のつくところには出ず、家では大人しく、外に出るときは俺の知らない間に胸ポケットに入っている。


 ほんとにいつ入ってるのやら…



「チュウ!」


「なんだヴェル、お腹でも空いたのか?」


「チュウチュウ!」


 ヴェルは首を横に張っている。


 俺の会話の何かに反応でもしていたのか?



「クララと挨拶したかったとか?」


「チュウチュウ!」



 これも首を横に振っている。


 一体何に反応したのだ?



「チュウ!」


「え?!」


 ヴェルは俺の肩から飛び降り、俺の影の中に入って行った。



「何それ!?すご!」



 ヴェルは俺の知らない魔法を知っているようだ…



 もしかして…



「ヴェル!それってもしかして黒魔法か!?」


「チュウ!」


 俺がそういうと、ヴェルは胸ポケットから出てきた!



「すごいすごい!何それ!教えて!」


「チュウ!」


「よし!早く家に帰ろう!」


 俺は走って家に帰った。


 ヴェルは元々聖獣だったこともあり、過去の記憶も持っているようだ!


 もしかしたら、もっと他にも魔法が使えるかもしれない!


 俺はそう思うと楽しくて仕方がなかった。




 家に着くとセンさんが出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ。無事にアーサーさんを送り届けることはできましたか?」


「うん!問題なかった!それよりすぐご飯食べたい!」


「では、先に食べられますか?」


「うん!」


 俺は晩御飯をいつもより早く食べ、身体を綺麗にし終えるとすぐに自分の部屋に駆け込んでいた。



「お待たせ!ヴェル!」


「チュウ!」


「ヴァルは黒魔法を色々使えるの?」


「チュウ!」



 ヴェルは大きく頷いていた!


 これはかなり期待できる!



「ヴェル!さっきの魔法をもう一度見せてくれ!」


「チュウ!」



 俺が頼むとヴェルは枕の影に入って行った。


「すごい!」


 俺は初めて見る魔法に興奮を隠さなかった。


「チュウ!」


 ヴェルが本棚の影から出てきた!


 本当にすごい!



「ヴェル!他には何か黒魔法知ってるか?」


「チュウ!」


 バンバン!



 ヴェルは窓を叩いて何かを言いたげだ。



「窓を開けて欲しいのか?」


「チュウ!」


「開けたけどどうするんだ?」



 ヴェルは窓の前に立ち外に飛んでいる1匹のハエを睨んでいた。


「チュウ!」



 ヴェルの手の間に紫色の塊ができ始めた!


「チュウ!」


 蝿と同じくらいになったその塊をヴェルは魔法で飛ばしていた!



「うわ!すごい!」


 飛ばした紫の塊は蝿に当たりヴェルの横に落ちてきた。


 それをよく見ると紫の液体を全身に浴びている蝿が段々と溶けていくのだ。


「これって強力な酸?!」


「チュウチュウ」


「違うのか…なら毒か!」


「チュウ!」


 どうやらこれは毒の魔法らしい。


 さすがもと毒のドラゴンだっただけある。


「チュウ」


「他にもあるのか?!」


「チュウ」


「じゃあ頼む!」



「チュウ!」


 何故かヴァルがお色気のようなポーズをしている。


 心なしか甘い匂いがしている気がする。


 それに何故かヴェルがピンク色のオーラをまとっている。



「あ、誘惑系の魔法か!」


「チュウ!」


 そんなことを話しているとヴェルの誘惑に誘われた1匹の鳥がこちらに向かって飛んできていた。



「チュウ!」



 ヴェルはすぐに誘惑の魔法を解除し大きく息を吸っていた。



「スーー、チュウ〜」



 ヴェルの口から紫色の煙が飛んでいった。


 煙の方向はある程度操作できるのかこちらには一切飛んでこない。


 紫色の煙は誘惑に引っかかった1匹の鳥の前を通過した。



 すると、鳥は苦しそうにし落下して行った。



「なるほど、これは毒霧みたいなものか…」


「チュウ!」


「本当にいろんな技があるんだな」


「チュウ!」


 俺はヴェルにいろんな魔法を教えてもらった。



「じゃあ、ヴェル!それ教えて」


「チュウ!」


「まずは、影に入る魔法を教えてくれ!」



「チュウ!」


 そう言うと、ヴェルはまた影の中に入っていった。



「チュウ!」


「わかったわかった!影の中に入るんだよな!それをどうやったらできるんだ?」


「チュウ!チュウチュウ、チュウチュウ、チュウチュチュウチュ」



「ちょちょちょ!ちょっと待って!」


 俺は気づくのが遅かった。



 ヴェルは人間の言葉を話せるわけではないことを…



「くそーー!せっかくの黒魔法がー!」


 俺は黒魔法を見るだけで、呪文を聞いても“チュウ”しか喋れないヴェルから魔法を教えてもらうことが不可能だと今気がついた。



「うぉーー!」



 俺はその夜悔しさで枕を濡らしたのであった。


「チュウ….」

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