天然?
俺リーン・ルノエスは無駄に元気でバカなアーサー・カリバーと友達になってしまった。
アーサーは友達と剣の稽古をするの以外の考えがないらしく、俺は朝から稽古を受ける羽目になっていた。
アーサーとの朝の稽古が終わった俺はやっとの思いで朝食にありつけていた。
「お、終わった…」
「リーン様お疲れ様でした」
「ありがとうセンさん」
朝の惨劇は俺とセンさんしかわかっておらず、お互いに疲れている表情を隠せていなかった。
「朝から騒がしかったけど、何かあったのか?」
父のクーラスが俺たちのなんともいえない顔を見て質問をしてきた。
「実は…」
俺はアーサーが朝から押しかけてきて、剣の稽古だなんだの騒がれて結局朝の6時から今までずっと稽古をしていたことを話した。
「リーン、それは聞き捨てならぬな」
なぜかクーラスは不満気である。
「何がですか?」
「なぜ俺も混ぜてくれなかったのだ!」
クーラスはアーサーに嫉妬していたようだ。
確かに今考えるとクーラスの方が剣の使い方は上手く、現在では王国騎士の指導役兼騎士団長をやっている。
自分の息子がやっているのであれば自ら指導したくなる気持ちもわからなくない。
「父さんは仕事で忙しいのに、時間を割いていただくのは申し訳ないです。後僕はそんなに剣に興味があるわけではないです!」
「そうか、パパのことを思ってくれてたんだな…なんていい息子だ」
俺は後半の部分の方が本音であったのだが、どうやらクーラスも都合の悪い部分は聞こえないタイプのようだ。
「でも安心してくれ!今日からそのアーサーって子がびっくりするくらいリーンを立派な剣士にしてやるからな!」
「いや、父さん…俺別に立派な剣士にはなろうと思ったいないんだよ…?」
「そうかそうか。立派な剣士に…か!これから頑張ろうな!」
やばい。
父がアーサーっぽくなってる。
かなりうざいぞ…
俺は若干鳥肌が立つのを感じていた。
朝ごはんを食べた後はティア先生との楽しい勉強タイムを過ごし、お昼ご飯を一緒に食べていた。
「リーンくんのお母さんから聞いたけど、新しい友達ができたんだって?」
「友達…まぁ一応そうなっちゃいましたね」
「一応?何か変な子なのかい?」
「変というか何というか、もはや先生に近いですね…」
「私に似てるってこと?」
「いや、そーゆー意味ではないんですが、剣の指導をしてくれるというか…勝手に受けさせられてるというか…」
「ん〜、よくわからないけど、楽しそうなことになってるんだね」
先生、俺全然楽しくないです。
俺はむしろティア先生とずっと魔法の勉強していたい気分です。
「そのお友達ってもしかしてさ…」
「はい、なんでしょう?」
「あの窓の外でこちらを向きながら素振りをしている子かい?」
先生は笑いながら外を指さしていた。
「あぁ…あいつです」
アーサーはお昼が終わったあたりから家に着いていたらしく、俺がご飯を食べ終わるのをずっと素振りをしながら待っていたらしい…
恐ろしきアーサーの体力!
リーンルノエスは4歳になった頃からママ、パパ呼びは流石に恥ずかしいような気がしてしまい、父さん母さんと呼ぶようになっている。




