ヘアラ過去編3
俺リーン・ルノエスの母、ヘアラ・ルノエスは洗礼の儀式の後攫われた少年を助けに向かっていた。
一方で俺とクララはアボさんから過去のヘアラについて話を聞いていた。
しかし、今の所母の話は全く進んでいない…
アボさんとクーラスはまず、ベルゼフライの眷属の可能性が高いハエを探すことにした。
トイレの中や、排水溝周り。生ゴミの処理場まで隅々まで探した。
しかし、コバエすらも見つからなかった。
2人は困り果てていた。
「全然見つからねぇ…」
「見つからなすぎです。ここまで見つからないということは、やはりベルゼフライの可能性が高いですね」
「そうなるな!よし!もう少し頑張ってみるか!」
クーラスがもう一踏ん張りしようと気合いを入れた時。
ヘアラが現れた。
「あんた達なにしてんのよ!?犯人捕まえる気がある?」
「…」
「探してはいるんですがね…」
「そうだ!ハエに囲まれた嬢ちゃんはあっちに…」
クーラスはあることに気がついた。
「なぁ、アボット。おかしくねぇか?」
「何がですか?」
「俺らがいくら探しても見つからなかったハエが、この嬢ちゃんの近くにあんなにいたことだよ」
「確かに!まるでヘアラさんを監視しているかのように…」
「…」
「な、なによ…」
一瞬にして空気が固まった。
「なぁ嬢ちゃん、最近はいつもハエがまとわりついてるのか?」
「私が臭いみたいな言い方しないでくれる!」
「すまんすまん、そーゆー意味で言いたいわけじゃないんだ…」
「そ、そうね最近はベットから起きると一匹以上は見るかしら。ベットの下とか布団周りは綺麗にしてるのに何故か部屋の中に現れるのよね」
「間違いなさそうだな、アボット」
「はい。ほぼ確定ですね…」
「もし、私たちの読みが当たっているなら…」
「神父さんたちが危ない!」
「そこへ連れてってくれないか?嬢ちゃん」
「連れて行くって言っても教会の中よ?」
俺たちはヘアラに事情を話し教会へと急いで戻った。
「あれ?…」
ヘアラが何か不思議そうな顔をしている。
「いつもなら誰かしらお出迎えしてくれるのに…」
「来る」
クーラスがそう言った瞬間だった。
「ブゥゥーーン」
大量のハエがこちらに飛んできた。
「ヘアラ伏せろ!ファイアーウォール」
クーラスは剣を抜き火魔法で壁を作った。
しかし、ハエたちはその壁を避け横からすごい勢いで襲ってくる。
「アボット!」
「任せろ!ウィンドカッター」
アボットの風魔法は通るもの全てを粉々に切り裂いていった。
「すげぇ数だ!気を抜くなよ!アボット」
「もちろんだ!」
「ふふふふ…」
「誰だ」
クーラスの出した火の壁でよく見えないがこの壁の奥てを誰かが笑っている。
「名乗るわけねぇだろゴミが」
「なんだと!」
クーラスはわかりやすい挑発にキレていた。
その一瞬の隙をつかれ、後ろから大量のハエが押し寄せてきた。
「きゃーー!」
「嬢ちゃん!」「ヘアラさん!」
ハエは俺たちの視界を塞ぎ、ヘアラを教会の上へと連れ去ってった。
「クソ!追いかけるぞアボット!」
「それは無理みたいだよ。クーラス」
俺らの目の前には悪魔のような翼を生やしたセクシーな女がいた。
「美味しそうな坊や達ね!」
「アイツはベルゼフライの眷属。リーリスだ」
アボさんとクーラスは戦闘体制に入っていた。




