目立つ奴
月日が流れ、俺リーン・ルノエスは4歳になりクララ・ナーポは6歳になっていた。
今日はそんなクララの2回目となる洗礼の儀式の日だ。
俺の時とは違いクララは集団で行われる儀式の方に参加する。
今日はそのお祝いのため、お小遣いで買ったチョコレートのプレゼントを持ってヘアラと教会に来ていた。
「教会の前、凄いいっぱい人がいるね」
「3歳と6歳と10歳の誕生日を迎えた子が来てるのと、その両親が来てるからね」
それぞれの年の子がいっぺんに洗礼の儀式を受けるというのは知らなかった。勝手なイメージ、別々に行うと思っていた。
「クララ見当たらないね」
「教会の孤児院に住んでるし、そのまま引っ込んじゃったのかしら」
「そうだね…」
俺は少し危惧していた。
クララは5歳にして魔法を使えるようになった天才少女だ。
もしかしたら誘拐などされる可能性がある。
そう思っているとクララを見つけ、一安心した。
「よかったぁ…おぉーいクララー」
クララがこちらに走ってきたくれた。
「リーンこれ!いつかのお返し!」
そう言うとクララは'女神の前髪'を一本渡してくれた。
「クララ、これ一番好きなんじゃなかったっけ?」
「大好きなお菓子だからよ!受け取ってリーン!」
俺は別に好きではない女神の前髪というお菓子をもらった。
クララにあげた時は本当にいらないと思っていたからあげたんだけど…
そう思いながら、クララの言う「大好きなお菓子だから」というワードに少し浮かれていた。
「忘れてた!クララ、これは僕からのお祝いだよ!」
俺は用意していたチョコをプレゼントした。
「本当に!?ありがとう!」
クララは俺のプレゼントをとても喜んでくれた。
…
話は変わって、今日のことを聞いていた。
「今日の洗礼の儀式でクララ目立たなかった?」
「ちょっとだけね…でも私より他の子が1人かなり目立ってたかな」
「そうなんだ、その子には何があったの?」
俺が聞くとクララは話してくれた。
どうやらその子は6歳の男の子らしく魔法の才能が今回発現していたらしい。
やはり6歳で発現するのは珍しかったこともあり、目立っていたようだ。
あと、目立っているのにはその子自身の問題があったようだ。
「でもそんなに目立つような子なの?」
「うん、なんか、儀式云々の前から目立ってたから余計に…」
この世界にも変な奴はいるんだな。
「クララが変な意味で目立っていないようでよかったよ」
変な奴はどうでもいいがクララは大切な友達だ。
無事でいてもらわないと困る。
「あ、あの子だよ!さっき話してたの!」
どうやらあいつが噂の人物らしい…
遠くてよく見えないがうるさそうな奴だ。
「ガハハハ!俺は魔法をもう使えるようになった天才だぞ〜!」
本当にバカ丸出しだ
「攫われたりしないのかな…」
そう思っていると、明らかに悪い顔をしたスキンヘッドの男と鼻と口がとんがった薄目の男が現れた。
「ま、まさかねぇ…」
そう思っていると、その2人はその少年近づき…
少年を袋に詰めて走り出した。
「本当にあるんだな…
少年は攫われていた…




