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10億円寄付したら優遇転生してもらえました。  作者: ブロッコリーは芯のほうがうまい
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頑固者

 俺リーン・ルノエスは初めての友達クララ・ナーポに頼まれ、魔法を教えることになった。


俺はしっかりと魔法を教えることができるのだろうか…

 あの事件から2ヶ月ほど経ったある日曜日。


 今日はクララと約束していた魔法を教える日である。


 本当は俺が目覚めたすぐ次の日曜日から始めようと思っていたのだが、ヘアラとクーラスに大反対されてしまった。


 俺はピンピンしているが、親からするとまたすぐに危険なことをしたり、またスラム街なんかに出かけられては困るだろうからな。


理解できる。


 ということで2ヶ月ほどは安静に家で勉強をする日々が続いた…


 2ヶ月が経ちやっとの思いで久しぶりにクララと再会を果たした。


「長い間待たせちゃったね」


「大丈夫よ!むしろ教えるのがキツくなったら中断してもいいんだからね」


ん?


俺はかなりの違和感を感じていた。


「なんか、雰囲気変わったね」


「そうかな?でもそう言ってくれると嬉しい!ありがと!リーン」




誰これ。


こんなに可愛らしく、お話しもしっかりできるような美人な子、俺 知らないんですが。



 クララは会わないうちにとても明るく元気に、そして言葉の使い方が綺麗に変化していた。


 それを見た俺は当然のように動揺していた。


「あ、あの…今日は…よろしく…お願いします」


「なんでそんなに緊張してるの」


クララは笑顔でツッコミを入れてきた。


か…かわいい。


「しっかり教えてよね」


「うん」


バシン!

俺は自分の頬を両手で叩き気合いを入れた。



「そうだよね!ごめん!しっかり魔法を教えるね」


「う…うん」


 若干変な行動をした俺を見て引いていたが、俺は気にせず魔法の勉強会を始めた。


「まず最初に5属性の魔法をそれぞれ使ってもらうね」


「わかった!やってみるね」


クララはとても真剣に取り組んでくれた。


「じゃあまず最初に水魔法からやってみよう」


「うん!」


「頭の中で拳くらいの水をイメージして、手を伸ばし'ウォーターボール'と叫んでみて」


「やってみるね!」



「ウォーターボール!」


 クララは初めての挑戦で拳くらいの綺麗な水を作り出すことに成功した。


「すごいじゃないかクララ!」


「そうかな…リーンが教えるの上手いだけだよ」


「そんなことない!才能だよ!」


クララは恥ずかしそうにしながら喜んでいた。


じゃあ他にも色々やってみよう。


「うん!」



そして、5属性全ての魔法に挑戦をした。


「水魔法は完璧に使えていたのに…」


しかし、結果は意外なものとなった。


 火属性魔法は若干使うことができたものの、他3つの風/雷/土は魔法を唱えても発動することはなかった。


 これはティア先生の言っていた適正というものが関係しているのかもしれない。


「クララは水魔法と火魔法を使えるみたいだからその2つを中心に教えていくことにするね!」


 俺は適正のあるその二つを伸ばすべく、クララに提案をしていた。


「リーンお願いがあるの。回復魔法の魔法も教えて」


 クララは5属性魔法などどうでもよかったかのように真剣な眼差しで頼んできた。


 回復魔法は白魔法ということもあり魔力が多く、相性がとてもいい人でないと使えない魔法だ。


その為、使えるかどうかは全くわからないのである。


しかし、クララの本気の目を見た俺は唯一使える回復魔法’ヒール'を教えることにした。


「まず最初に怪我などの部分に手を伸ばす。そして、元の姿に戻れるように怪我が治っていく姿を想像しながらヒールと叫ぶんだ」


 俺はそういうと近くにあった木に風魔法で切り傷をつけた。


 クララは大きく深呼吸をしてその木の傷に手を伸ばして大きな声で唱えた。


「ヒール」




何も起きなかった。


クララには適性がなかったようだ。


「クララ残念だが適性がなかったようだ」


「いいのリーン。私これから毎週ヒールだけ練習しに来るから」


???


俺の頭は理解できていなかった。


「適性がなかったからクララにはこの魔法使えないんだよ?水と火の魔法は使えるんだしそこを伸ばそうよ!」


「水も火も人を傷つけてしまう魔法よ。でも、ヒールは傷を癒すためだけの魔法」


「そうだけど…」


「私はリーンみたいに誰かを助けたいの…」


そういうとクララは目に涙を浮かばせていた。


クララは本気だった。


目を見てわかった。


 クララには回復魔法以外の力は必要ないのだと…


「クララ…でもね、適性がないと魔法を使えない可能性の方が高いんだよ」


「それでもいい」


「これからきっと無駄な時間だったと後悔する可能性もあるんだよ?」


「それでもいい」


「そっか…」


俺はもうそれ以上言うことはなかった。


 彼女は人を助ける為に魔法を使いたいのだ、余計なことを言う必要はない。


そう思ったおれはヒールを毎週教えることにした。

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