カツ丼のない事情聴取
俺リーン・ルノエスは初めての友達クララ・ナーポを失ったと思い嘆いていた。
しかし、目を覚ました俺のお見舞いに来てくれたのは綺麗な髪をしたクララであった。
俺はクララが生きていたことを心から喜び泣き叫んだ。
クララも俺が生きていることを確認でき、安心して泣いてくれていた。
その後、父クーラスも騎士団の仕事をほっぽって帰ってきてくれた。
クーラスが帰ってくる頃には俺の涙は枯れ果てていた。
わんわん泣いている父親を何故か宥めている3歳の息子という謎の光景が生まれた。
そのほかにも家庭教師のティア先生や神父のアボットさんも来てくれてみんなほっとして泣いてくれていた。
本当にいい人たちばかりだ。
ある程度みんなと挨拶した所で母ヘアラからの事情聴取が始まった。
「なんでスラム街になんかいったの!?」
かなり怒っている。
そりゃそうだ、こんな大事になってるんだ怒られて当然だ。
「初めての友達、クララが父親に殺されると思ったら居ても立っても居られなくなって...」
この件はどう考えても俺が悪い。
「リーンは自分が殺されるとは思わなかったの?!」
「殺されるかもって思ったよ!でも、助けたかったんだ!」
「はぁ!ほんとに悪いところが似ちゃうんだから!」
ヘアラは怒っているもののどこか誇らしげな顔をしている。
「でもね、リーンあなたはまだ3歳なの!どんなに魔法を使えても、どんなに剣が上手くなろうと、まだ3歳なのよ」
「はい...」
なにも言い返せない。
言い返すつもりなどないが、本当にぐうの音も出ないとはこのことだ。
「それでそのあとはどうしたの?」
「その後クララが血だらけになってるのを見てヒールをしたんだけど...意識が戻らなくて...」
俺は思い出してちょっと泣きそうになっていた。
まだ本当にクララが生きているのか心配になってしまうくらいのトラウマだ...
「わかったわ。その後雷が落ちてきて奇跡的にクララのお父さんに落ちたのね」
「う...うん...」
「あとは覚えてないや!」
都合のいいように理解してくれているんだ、それに便乗する他ないだろう。
「もう!本当にびっくりして、私が死ぬかと思ったわよ!」
「ごめんね...でも、なんでクララは生還したの?」
「それはアボさんのおかげよ」
「神父の?」
「そうよ!」
その後の話を聞いた。
アボさんは俺たちが倒れているのを見つけてヒールをかけてくれそうだ。
しかし、意識どころか魂まで消え掛かっているクララに気づいたアボさんはヒールのさらに上の魔法"ハイ・ヒール"を使い、なんとかクララの一命を取り留めることができたようだ。
「すごい...」
「アボさん周りには黙っているけど、元々パパとパーティーを組んでいた人なのよ」
「強いの?」
「相当強いみたいよ!今は冒険に興味がないとかで、私達とも他人のふりしてるけどね」
そうだったのか、なら最初からアボさんに頼んで助けて貰えばよかったな...
そんな後悔をしながらヘアラの事情聴取は終わった。
しかし、1週間も寝ていたのか。
もったいないことをしたな。
クララが元気なら1週間クララをスラム街に戻してしまったのは良くなかった。
早くクーラスを言いくるめて、うちの養子になりなんならしてもらわねば...
そう思い下に行くとクララがいた
クララは真剣な顔をしてこちらを見て言った。
「話したいことがある」
きっと告白されるだろう。
次回:クララからの告白!
というタイトルになっているであろう。
※リーンの妄想であり実際にはそのようなタイトルはつけません。
お楽しみに!




