君にまた会いたかった...
俺リーン・ルノエスは初めての友達クララ・ナーポが危険なことを知り、助けに向かった。
しかし、もう手遅れだった。
俺は悔しい気持ちを全力でぶつけ、なんとかクララをこんな目に合わせたダス・ナーポを倒したのであった。
俺は死後の世界にいた。
一面のお花畑にどこまでも続く青い空。
「あぁ死んじゃったんだな...」
死後の世界ではクララも一緒にいた。
今はお花畑でお花の冠を作っている。
「なんて幸せなんだろうか...」
こんな時間が一生続けばいいのに。
「ここは...」
見覚えのある天井だ。
俺はどうやら死んでいなかったらしい。
隣を見ると椅子に座っているヘアラがいる。
徹夜で看病してくれていたのか眠ってしまっていた。
「いててて...」
俺は魔力の使いすぎなのか頭痛がする。
「違うか...」
俺は初めての友達
クララを失ってしまったことが受け入れられず泣きながら気を失った。
「きっとこの頭痛は泣きすぎて起きてるんだな...」
俺はそう口にするとまた涙が止まらなくなっていた。
「っう...っうぅ...」
俺が泣いていると眠っていたヘアラが目を覚ました。
「はっ!はっ!はーーーー!!!リーーーン!!!
よかった!よかった!やっと目を覚ましてくれたのね」
ヘアラは大粒の涙を流して泣いていた。
「僕どうやってここに?」
「それはね..シクッ」
ヘアラはその後のことを教えてくれた。
スラム街に走って向かった俺を心配に思った神父のアボさんが、あの後追いかけて探してくれていたそうだ。
しかし、追いかけては見たものの、すごい速さで走る俺についていけず、アボさんは俺を見失ってしまったらしい。
そんな時、爆発音と共に凄い光がスラム街を包んでいるのを見て、急いでそこに向かってくれたところ、地面に倒れている俺とクララ、そしてクララの父ダスを見つけたそうだ。
アボさんは雷がダスに落ちたと思ったらしく、近くにいた俺たちはそれの二次被害に遭ったと勘違いしてくれていた。
その後は回復魔法で俺を回復させたが、まだ意識が戻らないため、家まで運んでくれたそうだ。
「そっか...」
そう言うと俺はまた泣き出してしまった。
「怖かったわね。もう大丈夫よ」
ヘアラが俺を優しく慰めてくれている。
しかし、この涙は雷が怖かったからではない。
クララを失ったことへの涙だ。
なんなら雷に関して言えば俺が主犯格である。
コンコンコン
「お客様がお見舞いに来てくださいました」
執事のセンさんが誰かを案内してくれた。
「セン!リーンが目を覚ましたわ!早くクーラスを呼び戻して」
「かしこまりました!」
扉を少し開けたところで、センさんはヘアラの命令に従い、走ってクーラスを呼び戻しに行ってしまった。
少し開いた扉はゆっくりと開いていき、ポツンと置いていかれた1人のお客様を映してくれた。
ヘアラはそのお客さんに向けて一言だけ言った。
「ほらね、やっぱり起きてくれたよ」
するとそのお客さんはわんわんと泣き出した。
俺はそのお客さんが涙で良く見えていなかった。
しかし、気づいたのだ。
とても小さな体に
とっても綺麗な赤い髪で
綺麗な赤い瞳を持った少女
「リーンごめんねーーー」
少女は大きな声で俺に謝罪をしていた。
俺はまた大粒の涙を流し、ベットから飛び出して、そのお客さんを抱きしめていた!
「よかった!」
「本当によかった!」
「生きててくれてありがとう」
そうこれは夢なんかじゃなかった。
俺は大きな声で泣き出したい気持ちを、グッと堪えてやっと口にした。
「おかえり...クララ」




