スラム
俺リーン・ルノエスは洗礼の儀式の後出会ったクララ・ナーポと出会った。
リーンはクララとお友達になるべく一緒に魚釣りをしてより仲がよくなっていた。
今日もクララに会えるかな...
今日も俺はクララに会うべく教会近くの広場に走って向かっていた。
「クッキーも持たされたし、クララにあげよ」
広場に着いた俺はクララを探していた。
しかし、どこを探してもクララは見つからない。
「今日は来ないのかな...」
そう思っていると神父のアボットさんに声をかけられた。
「誰か探してるのかい?」
「実は友達を探してて...」
「なんて名前の子かい?」
「クララ。クララ・ナーポって子です」
「クララ・ナーポ...ダス・ナーポの娘か!彼女の家は...」
アボさんの話を聞いた俺は走りだしていた。
クララの住んでいる場所はどうやらスラム街らしい。
それはいい!
いいのだがアボさんが話してくれたことを聞き俺は最悪の天才を想像していた。
「もし、そのクララという子のお父さんらしき人がいたら逃げなさい。そして、決して近づいては行けないよ」
「なんでですか?」
「クララのお父さんダス・ナーポは子供だろうと気に食わない人間を死ぬまで殴り続けるようなやつで、スラム街の人間からも嫌われているんだ...」
「それって自分の娘にも...?」
「わからないが可能性は高いかもしれない」
もしかしたら
クララが危ないかもしれない。
まだ俺とそんな年も変わらないようなクララが、そんな危険な父親を持ってるとは...
早く助けないと!
スラム街にはすぐに着いた。
そしてクララの家がわからない俺は手当たり次第スラム街にいる人間に聞いて回った。
しかし、スラム街の人間は話をしてくれる人がそもそも少なすぎる。
やっとの思いで会話をしてくれる人と出会った。
「すみません!このあたりでクララ・ナーポと言う子の家を知りませんか」
「クララ?よくわかんねぇけど、ナーポの家ならあそこを右に曲がったところにあるよ...お前ダスの知り合いか!?」
「違うよ!その娘の友達だ」
「娘の方ね。あぁ〜...お前たぶん行かねぇ方がいいぞ。ダスの野郎今日は相当荒れてたし、ダスの娘もたぶんもう...」
俺は走り出していた。
さっき言われた場所を右に曲がった。
「あそこがクララの家か!」
しかし、俺の足はクララの家を前にして止まっていた。
家の横にあるものを見つけてしまったからだ。
そこには真っ赤に染まった子供がいた...
「クララ?...」
顔を何度も殴られたのか、原型が無いほど腫れ上がっているその子は右手に小さな袋を持っていた。
それは'女神の前髪'と書かれていた袋だ。
「俺があげた千歳飴...」
そして、この綺麗な赤い髪...
間違いなくクララだ。
「クララなのか...」
「リーン...」
「クララ!」
ドクドクドク
俺の心臓は破裂する勢いで動いていた。
「クララ!クララ!」
涙が止まらない。
「誰か...誰か助けて...」
「嘘だと言ってくれ...クソ...クソ...」
「クララ...」
俺は絶望していた。
この世界に産まれ最初に出会った友達がこんな目にあわないといけないなんて...
その時、俺は思い出した。
それは両親に絶対してはいけないと言われていこと。
しかし、今俺がしなければクララは間違いなく死んでしまう。
もう手遅れなんじゃないか?
俺の力でどうにかなるのか...
ここで使うのは危険すぎる。
そんな葛藤が頭の中でよぎっていた。
「ヒール」
俺は無意識のうちに魔法を使っていた。
実はクララはあの’女神の前髪'というお菓子が大好きだった。
そして、リーンからもらった物は特別美味しく食べ終わった後もリーンのことが忘れられず、女神の前髪が入っていた袋をずっと隠して持っていた。
それを見るたびにクララはリーンのことを思い出すため、寝る前には絶対握りしめて寝ていた。




