クララ
洗礼の儀式を終えたリーンは、教会近くの所でいじめられている少女クララと出会う。
しかし、いじめていたのはクララの方だった。
そんなクララに女神の前髪をあげるとかで、リーンはクララと友達になっていた。
俺に初めての友達ができた。
彼女はクララというらしい。
あまり考えていなかったが髪は綺麗な赤髪で、瞳の色も同じで綺麗な宝石のような綺麗な赤色であった。
今日はそんな友達1号クララと仲良くなるべく、教会近くの広場に遊びにきていた。
前に馬車で来た時は15分くらいの距離だった為、そんなに遠くないと思っていたが、歩くとかな40分ほどかかってしまい少し疲れていた。
しかし、疲れなどどうでも良い!
クララと遊ぶぞ!
そう思いキョロキョロしていると、土をひたすらに掘っている少女がいた。
そう、クララである。
「なにしてるの?」
近くに行きクララに質問してみた。
「ミミズを取ってるのよ。あんた誰」
返事はしているのにこちらを見ずに、ひたすら穴を掘り続けるクララ。
「覚えてないかな?この前あったリーンだよ」
「リーン...は!」
そう言うとクララはすごい勢いで振り向いた。
「久しぶり!会いたかったよクララ」
「あ...え...あ...」
クララは顔を真っ赤にして言葉が詰まっているようだ。
「この前は...ありがとう」
クララはわかりやすいツンデレのようだ。
「むしろもらってくれて助かったよ!」
「...」
少し困らせてしまったらしい。
なにが困る要因かわからないが、一旦他の話をすることにした。
「そのミミズはなにに使うの?」
「これで魚を釣る...」
「そっかそっか僕も手伝うよ」
緊張しているのか単語だけの会話っぽくなっているのはさておき、クララと一緒に魚釣りをするため近くの川に向かっていた。
「こっちに川があるがるんだね」
「うん...」
どうやら俺の家の方向に一本横道に入ると、川があったみたいだ。
急いでいたのもあって全く気が付かなかった。
「すごーい!透き通った綺麗な水!」
「はいこれ!」
お手製の釣竿を渡してくれた。
釣竿は拾ってきたであろうしっかりとした枝に、植物の皮で作ったであろう糸をくくりつけ、糸の先には釘をU字に曲げたものをつけていた。
「すごい!これ作ったの?」
「うん...」
クララは顔を赤くして答えてくれた。
かわいい。
この前殴られたのが嘘のようにおとなしいじゃないか!
なんなんだこの生き物は!
甘えん坊時期の猫か!
猫なのか!
そんなことを考えていると竿が動いた
..ビク...ビク...
「おっ!来た!」
そう思い、勢いよく竿をあげた!
しかし、餌だけを取られ魚は釣れなかった。
「くっそー!惜しい!」
クララがこちらを睨んでいる
「あ、ごめん」
クララが怖い顔をして俺に近づいてくる。
彼女にとっては今日のご飯が食べれるかどうかがかかった大切な釣りなんだ。
遊び感覚でやってはいけなかった。
俺はクララから一発くらうことを覚悟し、静かに目を瞑った。
「これ、もっと引っ張られてから引かないとダメ」
「あ、そうなんだ...ありがとう」
普通に指導された。
うぉぉぉ!!
びびったーー!
その後、俺は'ギフト幸運'のおかげなのか3回ヒットし3匹魚が釣れた。
一方でクララの方は1匹も釣れていなかった。
「もう暗くなってきたし帰ろうか」
「うん」
どこか悲しげなクララを連れて大通りに戻る。
「じゃ!この魚あげるね」
「え...いいの...?」
クララは驚いた顔をしてこちらを見ている。
「もしお腹が空いたらいつでも釣りを手伝ってあげるからね」
クララはうるうるとした瞳で俺を見て一言だけ
「ありがとう」
そう言って立ち去っていった。
俺の魚を取ってやろうという素振りもなく、俺から渡されたことにもちゃんと感謝ができていた。
彼女なりに成長しているようだ!
「って言っても俺もまだ3歳だった」
そんなひとりごとを言いながら俺は急いで家に帰ったのであった。




