家庭教師になってくれ
母ヘアラに魔法を教えてもらうことになったリーン。
しかし、ヘアラは教えることが本当に下手くそだった。
リーンは家庭教師が欲しいと嘆いていた。そんな時、1人の男?が家に現れたのであった...
母ヘアラは家に入ってきたボロボロのマントに身を包んだ1人の少年に問いかけた。
「あなたは何故この家に?」
「実は...旅をしていたのですが...」
彼の名前は'ティア・サウザント'男とは思えないような可愛い声で話し始めた。
どうやら彼は元々魔法学院の出身のようだ!
卒業したあと冒険者として様々なダンジョンに挑戦していたのだが、仲間に裏切られ身包み剥がされてしまったらしい。
その後はいろんな国を回りつつ、教会や孤児院で子供達に勉強を教えながら小銭を稼いでギリギリ生きていたらしい。
「いろんなところで魔法を教えるのは楽しかったのですが...」
どうやら孤児院などでは無料で魔法を教えるなどしていた結果、自分の生活ができなくなってしまうほどお金が無くなっていたそうだ...
管理能力なさすぎだろ!
俺は心でそう思っていた。
しかし、悪い人では俺は無さそうだ!
ヘアラはその話を聞くと自分の部屋に急いで向かってコップに何かを入れて持ってきた。
「そうだったのね、疲れているでしょう。お水でもお飲みなさい」
「あ、ありがとう...ございます」
ティアは受け入れてもらえたと思い涙をしていた。
しかし、ヘアラそのコップと水らしき物...
キッチンとかからじゃなく
部屋からでてきたよね!?!
そう思っているとコップの中身を飲み干したティアが感謝を述べていた。
ヘアラはにっこりと笑い、先程の話をもう一度させていた。
本で読んだことがある。
魔法薬のなかには嘘をつけなくさせる'トゥルーウォーター'という物があるらしい。
ヘアラはたぶんそれを飲ませていた。
さすがヘアラ...
抜けがない。
「僕はいろんな子供達に魔法を教えてきました!もしよろしければ将来のために今から基礎を教えておくこともできます」
「そうね...悪くないわ」
「いいわ!ここで働いてください」
「あ、ありがとうございます」
同じ話を一生懸命話しているティアを見てヘアラも認めてくれたようだ。
「僕は女として、しっかりとご子息様が成人なさるまで教育させていただきます」
「え?!」
「え?」
「えっ...えーーー」
ティアは女であった。
「いや、あの、僕は女で...あれ!?え!男って言えない!?!...嘘がつけない!」
「は!!!」
ティアはすべてを理解してしまった。
今雇ってくれたヘアラが全く信用してくれていなかったこと。
そして、不敵な笑みを浮かべてこちらをみていることを...
「あの...先程の水って...」
「なにかしら?!」
「もしかしてトゥルー...」
「なに!?」
「なんでもないです」
何はともあれ、俺は家庭教師を手に入れたのであった!
ティア・サウザントは魔法学校時代に絶世の美女として名を馳せていた。
しかし、ソロ冒険者として活動していく中で女性だとバレると危険だと感じ、自らを男性であるとして生きていた。




