ディナー
「僕は料理が得意なんだ」りゅうはそう言って顔を少し赤らめた。
「ごめん、嘘、この機械が料理が得意なんだ」
そう言って彼はキッチンの横にある良くわからない自動販売機のような機械の方を向いた。
「一緒に料理をしよう」
りゅうはそう言うと私の手を取って機械の前へ移動した。
「簡単だよ、食べたいものを考えながらボタンを押すんだ」
その機械には結構な数のボタンがついていた。レバーやダイヤルもある。
「このレバーやダイヤルは飾りみたいなもんだよ、使うとおいしくなることもあるけど使わなくてもおいしいものを作れる、いっぱい押しても一つ押してもそんなに変らない。これもみいが作ったんだ。みい、おいで!」みいは目を瞑ったままこちらへやってきた。
「食べ物のことは覚えてる?」
「うん、なんとなく」私はハンバーグを思い浮かべた。
おそるおそるボタンを押すと機械がブルブル振動し、カタンと音を立てた、下口部の扉を開くとプレートにおいしそうなハンバーグとパンとオニオンスープが載っているものが入っていた。
「魔法みたい!」
「よくできたね」彼はまた微笑んだ。
りゅうはボタンを数個押してオムライスを出した。
みいはジャンプしながら一番上のボタンを押し、レバーも引いたり押したりダイヤルも回しまくり、しまいには気づかなかったけれどテンキーでも入力して、私と変わらないようなステーキを出した。
みいはとても満足そうだった。その姿が愛おしかった。
最後にりゅうは一つボタンを押して哺乳瓶に入ったミルクをだした。
「コジトの分、彼はこんなの飲まないし来ないだろうけどね」
彼はまたやさしく微笑んだ。