出会い
彼らは私に向かって歩いてきた。
私は半分に開いたカプセルに手をかけゆっくり立ち上がった。
カプセルの外に足を出すと濡れた砂浜が裸足に触れた。
すると波が少し押し寄せて少し前によろけた。
その拍子に水飛沫が上がり海の匂いが体に充満した。
彼らはとくとくと私の方に歩いていくる。
「やぁ、こんにちは」
男の子が私に話しかけた。
男の子は私より頭一個分くらい背が高く、金髪のような銀髪のような髪色をしていた。重たい前髪が風になびくと彼の丸い顔と栗色の目が見えた、少し可愛らしい印象の男の子だった。長袖の白い丸襟のリネンのシャツに同じく白いリネンのズボン、リネン独特の柔らかいシワがよっているが着心地が良さそうな服を着ていた。
女の子は私の腰のあたりくらいの身長で歩いてはいるが目を瞑っていて、眠っているように見えた。髪は鎖骨より下ほど伸びていてまっすぐの黒髪でとても綺麗だった。女の子が着ている服は私と全く同じ形と素材のようだった。コットンでできていてあまりシワがなかったが、スカートの端は少し泥で汚れていた。
男の子は何かを抱えていたがその正体はまだよく分からなかった。
「こんにちは」
私も彼に向かって話しかけた。
彼らに向かって歩き出すと波のせいもあってうまく歩けなかったが、それよりも歩くのがとても久しぶりだという感覚がした。
よろよろと歩き彼らの方へ近づくと男の子が抱えているのが赤ん坊だというのが分かった。赤ちゃんもすやすやと寝ていた。
「ここはどこ…かな?」
「無人島かな?僕たちは何年もここで暮らしているけどここにいる人間は僕たち以外に見たことはない。みんなカプセルでこの島に送られてきたんだよ」
男の子が目線を送った先には3つほど私と同じようなカプセルが泥を被って放置されていた。彼は少し物悲しそうな目をしていた。
女の子が目を瞑ったまま私のカプセルを指差して話した。
「手紙があるよ」
「えっ?」
「みいは目が見えなくて耳が聞こえないんだ、だけど、いろんなものが見えていろんなものが聞こえるんだよ」
目を瞑っている女の子はみいという名前らしかった。
私はカプセルのところまで戻ってみると管が閉まってあった箱の反対側に四角い切り込みがあり、上部分に取っ掛かりがあるものを見つけた。そこに人差し指をかけ下に下ろすとカタンと蓋が外れ、中から真っ白の封筒が出てきた。