第6話ー瞬く星々の煌めきを、記憶に刻む
目が覚めた。
昨日翼の隣で歩いた時深刻に感じた何らかの不安を、未だに抱えている。
透き通るような淡い水色の空から、肌を刺すような冷たい風が窓の隙間から吹き込み、少しめまいがした後、僕は布団からゆっくりと起き上がって、グーグルマップを開け、手は言うことを聞かない頑固な子供のように、無自覚のまま「台湾」というキーワードを打ち込んだ。
「うーわ、なにこれ素敵やん!」小さな島なのに、見晴らしの良い雄大な景色、見渡す限りの青々とした新緑、光が彩る油絵のような広い海。サイトに整然と並んでいる風景写真を見るだけで行きたくなっちゃった。
僕は思わず彼女に電話をかけ、
「もしもし?」電話の向こうから、聞き慣れた声がいつもより耳元で優しく響く。
「老公(lǎo gōng)〜(主人〜)」
「どうした?」ただ反応が気になるから一応試してみたんやけど、風の吹くままに返してくれた相手であるたくに、実際の意味を理解してもらわなくても、甘い気持ちは心の内にはなんとなく。
「あのう、台湾人でしょうね?」
「ええ、どうした?」
「台湾のおすすすめの場所なんかある?」
「いっぱいあるよ!」夢を持ってる旅人のような希望が満ちる笑顔で、たくに返した。
「わかるって!特にどこか一度は行かなあかん場所はあんの?」
「んーむずいなぁ〜」
「もういい、中国語やろうか!」
「え?いや、ちょっと待ってて!」手が慌ててチャット画面から離れ、アルバムのとこに今まで旅行しに行った時撮った山ほどの写真の中から、まぶしいほど輝いてる街並みの写真を選んで、チャットルームに送った。
それはフランスの美しい街並みや可愛らしさを表現した建築物、真ん中ではまるで夢を見るかのようにロマンチックなバラシャンパン広場が目の前に広がり、穏やかで気品のある美人みたいに立っている。
「え?なにそれ?すごすぎるやろ」
「こちらは『心の芳庭』、半分の敷地は遊びとかデート用、隣の半分はあのう......」
「あのう?」
プツンと会話が途切れ、沈黙が世界を支配するようで周囲はシーンと静まり、頭の中から離れないメロディーみたいに繰り返させるあのキーワード:老公(lǎo gōng)〜(主人〜)
いや、私はきっと酔ったから......自分の頬を一度叩く、気にせんで、気にせんで......繰り返し続けるキーワードから抜き出し、意識を戻させ、息が震えながらも落ち着いたふりして、言う。
「ガーデンウェディング。」
突然、湧き上がるようにして感嘆の声が向こうから耳の奥まですうっと届いてくれた。
「そうなんやー!」
「いやあのう......」「凄い!行きたい!」まだ言い終わらないうちに、彼のテンションが上がって、写真を睨みつけながら、台湾の旅行予算はいくらとか、なにを用意すべきとか、ひいては旅行の日数は何日で行くのがいいとか残らず好奇心旺盛な子のように、ゆりに聞いてみた。
台湾の特色じゃないのに......シワがゆりの眉間にそえ、聞き取りがうまい宅に聞かせないように、心が小さく囁いた。
「えっと!中国語は何ページまでやったっけ?」
「忘れがちだね!82ページじゃね?」
「ああ〜そっか、ここは単語集だね、じゃ前回と一緒、私が一回読んだら復唱してね」
「はーい」まるで整然とした教室の中で、先生1人や学生1人が向き合って授業するように、真面目な塾の生徒めいた声で、彼は返した。
「禮物(lǐ wù)(プレゼント)」「禮物(lǐ wù)」
「いいね、次、慶祝(qìng zhù)(祝う)」「慶祝(qìng zhù)」発音正しくしたい気持ちを持って、たくは注意深く言い出した。
「いいじゃん、次からもっと自信を持って言ってみよう!朋友(péng yǒu)(友達)」自信を持たせるため、ゆりはより明るく元気な声を出した。太陽のような活気のある声を、たくは一度出してみる。「朋友(péng yǒu)」
「すごい!じゃ次!生日(shēng rì)(誕生日)」 「生日(shēng rì)......日、r、r、rì......ああ〜難しすぎ」
「たくはずっと発音を正しくしたいよね?」
「もちろん!中国語を勉強する時1番大事なのは発音を正しくするじゃね?」
やっぱりそう感じたのか!彼の気持ちが当たった私はかすかに微笑む。
「1番大事なのは正しく発音することじゃない。1番大事なのは楽しく自信を持って話すこと。いいか?気が小さく、自分に自信が持てなければ、きれいな発音のコツを理解して習得しても、人の前で絶対話せない、発音を正しくすることができない!」深い静謐な青い空を2つに引き裂いたほど、部屋中に響き渡る声をゆりが出た。空気までが震えて、耳や心に確実に届いたと強く感じたたくの身体はまるでスマホの通知が来たかのように、ブルっと震える。
たくの目が見開くまま、ゆりの話や焦った声を耳に澄ませて、聞く。
「だから諦めないでくれ、どんなことがあっても、そばに支えるから!」
彼女の励ましは、突如差し込んできた強い日差しが顔に当たるみたいに、恍惚から覚めた。
中国語勉強に対すること、ひいては彼女に対することも、彼は頭の中に入ってきた実感を持ち、心の底から定義し直した。
「なんか、できれば、もう一度言ってみたい」こんな返事を生きてるうちに聞こえたなんて、本当に......本当に......
ゆりの目は思わず潤んできた。涙があふれ出そうに、彼女は言う。
「いいよ、どうぞ」束の間の沈黙が支配したら、胸を張り、声を上げ、全ては瞬く刹那の煌めきのために、たくは言う。
「生、日!生日!」透き通る雫がキラッと輝いて、スッとゆりの頬を流れていく。
「なんと素晴らしい発音だ!本当に台湾人にそっくりで感動しましたあああー!」
そんなに?!まあ、確かに、胸を張って言ってみると、全ての文字が口の中からはっきり出せるようになり、発音もなんだかきれいで正しくされた気がする。そう思っていたら、たくは頬を赤らめつつ、愛嬌のある微笑を口元に湛えていた。
一方、YouTuberじゃなく、本当の生徒に中国語を教える先生の夢も叶えた彼女も、心ともなく幸せを浸っている。
こんな夢のような美しい日々を2人に当たり前の日常だと見なされ、大切にすべきことは一瞬たりとも意識していなかった。薄曇りの空にはスプレーで吹いたような、ぼんやりした雲が浮いていた。弱気の風が窓から吹き込んで、誰の身に何か起きようと、水色だった淡い空にはモヤモヤしはじめた。
* * *
「冬休みでもちゃんと勉強してや!もうすぐ共通テストやな!」担任の先生が最終回の模試の解答用紙をじっくり握って、心配させんといてな!と言わんばかりの顔で黒板の前に立って心配げに言った。
「はーい」「わかるー」「逆にわからんやつはおらんやん」「冬休みサイコー!」「また来年!」
毎日テスト勉強ばっかりやって、これまで積み重ねた日々の努力は報われると生徒たちは実感し、教室の中でどよめきが起こった。
テンションの高い生徒たちを見て、こんなにも盛り上がるんやなとと思った担任の先生は深いため息をつき、周りには聞こえないくらい小さな声で囁く。
「ーわからんくせに......」
「キーンコーンカーンコーン」今年最後の鐘が塞きとめるように鳴り響く。3階にあるこの教室は、授業から解放された生徒らは喋りはじめ、間も無くの年明けに臨んで、心を躍らせたざわめきに満ちている。毎年も同じ感じで、もはや見慣れた僕はランドセルを持ち上げ、よし!帰ろ!、僕はここまで一年の思い出やストレスや知識を詰め込まれた亀を背負って、教室から歩き出した。
「おい、たく!」後ろから誰かが僕の肩をポンポンと叩いた気がして、足を止め、ゆっくりと振り向く。
「あ、ツバサか」親友である彼だと気づいて、なんとなくほっとした。
「よし!また来年!」
「もうここで別れるみたいになってるよ?!」ツバサはにっこり笑って、また僕の肩を3回力を込めて叩いた。
「勝手に惚れるなよ僕の肩」
「いやこれは今年聞いた一番面白い笑い話や!」
「おい!」
「ごめんー!」ツバサは顔を綻ばせ、普段は簡単に笑えないやつを笑わせるのは彼の趣味だ。「で、来年もさめきと『引き続き読む』?」
「いや、多分勉強に集中かなーで、なぜ知ってる?!」ころりと切り替わるように、 突然異状を気づいた僕は問う。
「彼女が教えてくれたの」
夕暮れの光の束が、茜色に染まった雲の隙間からほのかに照らし、夕映えの街で歩いてる人たちの中では、退勤して早速家に向くサラリーマンがいるし、仲のいい女子大生2人のふさけあった帰り道もよく見える、誰かと待ち合わせしそうな様子で何度も腕時計に目を落とす人でもいる。僕はなにげなく見上げ、空は異常に明るいオレンジ色に色濃く染められ、風に流された楓色の雲は夕陽の近くから尾をたなびかせ、キラキラ輝いているサファイアブルーと相まって、見事に彩っている空がますます明るい。
「このやつ......」頬を夕焼け色に染まっても気づかず、ツバサに手を振って別れてからずっと不平な顔をしたまま、街路樹に沿ってそよ風に吹かせ、駅前の人混みを縫うように進む。静謐な雰囲気が漂っている狭い横町を曲がる。色褪せて見える一軒家に着く。鍵をポケットから取り出した僕は不意に隣の駐輪場を睨みつけ、須臾の間、僕は気づい、目をカッと開く。
「やばい!僕の自転車!」
門を開けて、玄関で靴をぬいて入るなり、聞き飽きたアプリ通話の着信音が大きく響き始めた。僕は無意識的に押す。無言のままスマホを握って部屋に戻る。
「......」
「死んだ?」冗談半分で、何かに取り憑かれたようにゆりは無表情な声で僕に訊いた。
「死んだ。」不満な気持ちが限界まで満ちていて、ストレスになり、耳を塞いてくれたような、彼女から何を言われたか、何をしようと思うか全く聞こえなくなってしまった。僕は少しイライラする。彼女とは本当に話したいのか、話せるのか、今日は話すのか一瞬わからなくなった。
「ねえねえ、聞こえてる?!」
「ねえって!」
「授業終わったから中国語でもやろうかって!」
「あっ......いい」たっぷり我慢したからこそ、理性では抑えられない状態になろうとした僕は、できるだけ自分に落ち着かせたり、冷静な態度を強いて装ったりした。ゆりはおそらく僕の胸に秘めた怒りを感じ、あるいは感じてないけど、そっちも何かあったみたいに、投げつけるような口調で鋭く言う。
「じゃ132ページをめくって一つ目の会話読んで!」
「いやだ!」ハリに耳を刺されたかのような話が耳に鋭くこだまって、心の底から不快な感じが起こった。自分は自分らしくなくなると実感した瞬間、今まで蓄積されていたストレスが潰れた堤防のごとく、止まらなく湧いてきた。
僕にきっぱりと断られたゆりは頭が下げて沈黙。涙を堪えてイライラしたりさせたりしているとこから見て、彼女のストレスもずいぶん溜まったような気がする。
「中国語を勉強したくない?!」
「したくねえよ!」
「もういいよ!勝手にしな!」
カチャッ。電話は、唐突に切れた。一方的に切られたあと、耳に残る音は死にたいほどつらくていやだと私は思う。
部屋の中はシーンと静まりかえり、心は氷のように冷え切った。こんな彼はいや、もう2度と話すわけじゃ、と自分に言い聞かせ、寂しさが心に重くのしかかり、今まで感じたことのない切なさや悲しさが同時に襲ってきて、胸の奥で余震めいた心臓の拍動は未だに細かく震え、乱れたリズムはわがままな子になぞらえて振舞っている。
* * *
冬休みの1日目、僕らは学校の図書館で向き合って勉強した。僕はツバサに目を凝らす。こいつは本気を出せば誰よりも真面目やなと思いつつ、教科書で遮った漫画表紙を気づいた。僕はひっそりと彼のじっと睨みつけている教科書を自分へ倒せ、あまりにも驚いた彼の丸くした目を見つめて、ニヤついた。
終わった後、僕らは近くのコンビニに寄り、自分より高い眩しい商品棚に沿いながら、のんびりと話したり、新商品を探したり笑ったりした。
「ツバサの言う通りだ。」僕は腰を曲げ、コンビニの冷蔵商品棚から大好物であるコーヒーを取り、彼に話しかけた。
「え?俺は何を言った?」純粋で無垢な表情を顔に浮かぶ。知ってるくせに。僕より背が高いのに。知らないふりをする様子を見れば見るほどムカついた。
「まあいいか!とにかくゆりとはもう話さん、今日一緒にカラオケ行こ?ゆうしも連れて」
気にしたくない感情はそっけない顔に溢れたことをツバサに見られ、眉間に皺を寄せて、気まずい顔を彼はよっぽどした。
「え......まあ、いいけどな......」決まり悪そうに蚊の鳴るような声を出しながら、小さく頷いた。僕は納得できなくツバサに目を留める。不安げな顔に、滝のような汗を彼はかく。こりゃいったいなんやねんと僕は思いたくなり、ポケットに入っているスマホを取り出し、歩きながらゆうしの連絡先を探す。
「いや、何か誤解でもあったかい?」と彼は唐突に訊く。無色の重い石を投げつけられたかのように、僕は足を止め、緩やかに後ろを振り返って、怪訝な目つきで眉をひそめる。
「え?」
静寂に包まれた太い横町に私は歩く。冬になって以来、夜空はなにか深刻な秘密を隠されていたように、光っている星が1つさえも見当たらない。空はしだいに暗くなっていく様子を私は睨み、淡い悲しみを心の上に浮かべる。
ふと、仄かな光に照らされた居酒屋さんを私は見る。こんなところに居酒屋があったなんて......それはともかく、ここは台湾でしょ?!
気づいたら、この町と全く合わないあったかい雰囲気が漂っている居酒屋の目立つ玄関扉に近づいて覗くと、謎めいた微光につつまれている店内で美味しそうに見えるおかずやゆったりとしているお客さんは眩しく。壁一面にずらっと並べられていた日本酒も本格的に。中のバーに立ちながら、一心不乱に長い刺身包丁でお刺身を切って、シャリの上に優しく乗せる店主さんも玄人に見える。それぞれまだ大人の社会に出てない未熟な自分の目に映り、エレガントで美しいと深く感じた。
星空というテーマで施されたカラオケ館のロビーに僕ら3人入った。僕は辺りを見回し、おしゃれな壁飾りや天井に美しくかけられていた華々しいシャンデリアはキラキラと煌びやかな明りが広がり、ロビー全体、ひいては僕たちの視線を眩しく輝いている。
こういうのがあんま慣れないツバサはなるべく避けたいと思っているらしいで、少し乱れた足取りでレジに歩く。慌てて5時間の料金を払うが早いか、ボーとした僕の手を少し強引に引っ張って、指定された部屋に進んだ。
バーカウンターの向こうにはくつろぎながら呑める広いたたみの和空間だ。机の周りにあった座布団は気品のある着物姿のお祖母さんみたいにひっそりと置かれている。辺りをキョロキョロしていた私は自分に落ち着かせるため、急須をそっと持ち上げ、ゆっくりと揺らし、そしてじっくりと茶碗に淹れながら、1分前の自分を思い出す。
「鶏モモ、1本ー50元?!冷やしうどんー200元ー?!」お品書きをめくりめくった私は見たことのない値段に呆れながら、安くて満腹感が得るかもと思えるおかずを探している。
「ポテトサラダー180ー?!」
「あ、これうまいよ」と、何分でも席の前に立っていた居酒屋のアルバイトさんはおそらく目の前に何分でもメニューの中で彷徨ったお客に早く注文してもらうべく、いきなりオススメしてくれた。
「当店自慢の一品。......といえばこちらの冷やしうどんもぜひ試して欲しいんだ、自家製のですから」
私は目をアルバイトさんの自慢げな顔に移す、落ち着いて考えてみたら、こんな値段は他の居酒屋よりもう安くてコスパがいいんだろうと冷静に理性の判断にしたがって、しかも日本のより安いんで......という考えが頭に浮かんだら、
「じゃこれとこれとこれにしよう!」
「はい!かしこまりました!」
今の自分に戻ったとたん、さっきと同じのバイトさんが最後の料理を運んできた。
「野菜炒めー特別サービス。ごゆっくりどうぞ。」
「あ、ちょっと待って!」私は手を伸ばし、上目遣いで少し酔ったような口調で、言う。
「お茶、お代わりしてもー」
「かしこまりました。」バイドさんが目を細めてニコッと笑い、従容たる後ろを振り返ると、キッチンに向かった。
私は冷めたお茶を飲み干す。それぞれおしゃれな器で盛られた料理に目を凝らし、返事が来ないままのチャットルーム画面を私は留め、たくとのその日のことを思い出し始め、視界がぼやけて、なぜかしんみりとした気持ちになってしまい、みるみる涙が溢れて頬を伝った。
辛い......ほんまに息詰まるほど辛いんだ......
机に顔を伏せ、潤んだ瞳から水漏れする蛇口めいて涙が止まらなくあふれ出した。蓄積されたマイナスな気持ちが一気に解放されるような、深い絶望に襲われた自分はつい感情がコントロールできなくなり、涙もろくなってしまう。
「僕の世界は君を中心に〜回っていると言っても過言じゃない〜」
ツバサは声を張り上げて人目を気にせず楽しそうに歌っている。隣に座っているゆうしはにっこりしたり、歌に合わせて手拍子を取ったりしている。カラオケルームの隅っこで静かにしている僕は上目遣いでツバサを覗き込む。何も思わずゆったりできることは僕にとってカラオケのメリットだ。彼らにとってはカラオケのあるあるやろと、僕は心の中でひそかに思う。
咄嗟に、前に映ってる歌詞を見ながら歌っているツバサはテーブルに置いてある僕のスマホを軽く僕の方まで推してくる。午後に言ってくれた話を僕は妙に思い出す。
「いや、何か誤解でもあったかい?」と彼は唐突に訊く。
「え?」僕は眉間にシワを寄せ、「何を言っても信じらんないよ?」
「なんで?」
「信じがたいやん!」
「せやけど最初の話は信じれるー」ツバサは足を止め、真剣な目つきで僕を睨みつける。須臾、彼はぐっと顔を近づけて、訊く。「ってこと?」
僕は何かがわかっていた気がして、瞬時に失語症になったかのように一言も話すことができなくなった。いや、全て、全てをまとめて全体をくっきり見えるようになった感じが、僕はした。
笑顔や笑い声が途絶えないこの賑やかな雰囲気に包まれた部屋に戻り、自分のスマホを自分の方に推してくれたってことはー
スマホを手に取り、ロック画面を解除し、彼女のチャットルームに僕は入る。
「やばーっ!」驚きのあまり、思わず瞠目した僕はすっとソファーから立ち上がり、さっさと扉を開けて走り出す。