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あの日の約束  作者: 桜井さめき
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プロローグ


「いらっしゃいませ!」

 昇ったばかりの朝日が優しく窓を照らし、空気が澄んでいて、ひんやりとした風がゆっくりと流れ込んできた。お客様を迎え、今日の始まりも心地よかった。

「んー何を注文しようかな...」

 白ロングスカートを着てる10代後半の少女、朝授業が早そうなので朝ごはんはいつもここで済むけど、注文に迷うこともいつもだ。

「冷やし中華はどう?体をスッキリさせて良い1日を過ごせる魔法の料理だぞ!」

「へーでも朝冷やし中華を食べるって、変じゃない?」彼女は信じらなさそうな眼差しで返し、本当にいいのかなと疑いながら、眉を顰めて見上げたら見るともなく壁にかけてある絵を見た。

 あの絵の中に、2つの海の波を包まれた少年がサッカーボールを持って、曲がる五線譜に2つの大きな音符があり、上にあるうたという名の音符を曲がれた巨大なひらがなにかけられ、下にある16分音符は別々で中や英を書かれ、ちゃんと説明しないと誰にもわかってもらえない謎すぎる絵だと、よくみんなに言われている。

「あの人は、、?」彼女の表情から、プライベートまで聞きたくないのに、どうしても気になるという気持ちをなんとなく感じた。

「あの人は、最初も君と同じ、朝食に冷やし中華は変だと思ったけれども、」

「え!?」彼女は驚いたように目を見開き、頬杖をついて耳を澄ませた。

「食べた時、彼は先言ったおすすめの言葉を口に出した。」

 視線がぼやけて、周りに全ての輪郭がぼんやりとしてきた。店に漂っている冷やし中華ならではの香りは外にある優しい風に吹かれる桜の木と相まって、美しい楽章となってきた。そしてあの日、口に出してしまった言葉を思い出した。

「”体をスッキリさせて、よい1日を過ごせる魔法の料理やん!”」

「じゃ今あの人はどこにいるの??」

「あと5秒。」

「え!?」

 煌めいた微かな光がドアから透き通って、うつろに響く足音がだんだん近づいて、ちょうど心臓が鼓動のスピードと同じ、いや、心臓の方がいつも何より早く。


「5、4、3、」


 ドアの方に振り向けたその顔は、口角が上がって、美しい声で囀る青い鳥が見えたようで、彼女は優しく微笑んだ。


「2、1。」

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