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鬼餅 (ムーチー)  作者: 仲本秀謙
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鬼が来た村のその後

母と兄と一緒に暮らしていた春は山に山菜採りに行っている時に鬼になった兄が村を襲っていた。しかしそれはもう兄の顔をしていない鬼であり、母を殺していた。春も殺されると悟った時、そのまま気を失った。

「…るちゃん。は…ちゃん。春ちゃん!!」その言葉にハッとするように目を覚ました。

「は、。、あ、あれ。私。。」あれ、私、生きてる。隣には友達の君子(きみこ)がいた。

「春ちゃん。よかった生きててよかったよぉぉぉ!!」

「ね、ねぇ、私たちって、鬼に襲われたはずじゃ。。」私はあの時死んだと思った。けど、生きている。

「村の半分以上は殺されたわ。けど、生き残っている人もいる。で、でも。。」君子は口が愚もるように少し下を向いた。

「そ、そういえば、君子ちゃんのお母さんは…?」すると、君子は私の顔を見つめ涙目になった。その時悟った。君子のお母さんも鬼に殺されたのだ。

「ご、ごめん。辛かったよね。ごめん。」私は君子肩を撫でるように摩ってあげた。すると君子は、

「春ちゃんのお母さんも殺されていたよね。そういえば、あきにーにーは、どうしたの?」君子は兄弟がいなかったので私の兄を本当の兄のようにしたっていた。だから私と同じようにあきにーにーと呼ぶ。

「それがさ、、あきにーにーが。鬼になってて。。」私は、私の家で起きた事を話した。その話を聞くと口を塞ぎながら声を上げ「嘘でしょ。。あの、優しかった。あきにーにーが。。じゃー、春ちゃんのお母さんを殺したのも、村もみんなを殺したのも?」それは私でも考えたくはなかったが、誰もがそう行きつく結論だろう。

「そうだったら。。ごめん。本当にごめんね。でも、私は、あきにーにーを救いたい。辛くて苦しい未来があるなら、笑っていられる未来に連れ出したい。できる。なんて簡単に言えないけど、きっと方法はあるはず。もし、君子がいいならさ、一緒に手伝ってくれない。村のみんなも辛い思いをして、これからどんな気持ちでみんなに会っていいかなんてわからないけど、今バラバラになっていたら、今度鬼に会った時に今度はみんな殺される。」その言葉を聞いて君子は顔つきが変わった。それは覚悟が決まったような顔だった。

「わかった。2人で、あきにーにーを救おう。みんなに無理だとか言われても、私はずっと、春ちゃんの味方だよ。」君子は私の手を握りそう言ってくれた、すると

「あげ!君子と春、生きてた。はぁ〜っさ、良かったさぁ。やしが、アンマーたーはくるされて、大変だったやぁ。。」

そう言って家に入って来たのは村長の幸三(こうぞう)。私たちは幸三おじーと呼んでいる。

「幸三おじー!生きてたの?良かった。そういえばこの家よく見れば幸三おじーの家ね?」私が気絶して寝ていた家はどうやら幸三おじーの家だった。

「だからよぉ。君子が春を見つけたって言うからこのやーまで運んだわけよ。して、まる2日、ずっと寝てたんだよアンタ。はっさ、マブヤー落としたのかねぇ〜って思ったけど本当、よかったさぁ。」そう言って幸三おじーは私にマブイグミをしてくれた。

「マブヤーマブヤー、ウーティクーヨー。マブヤーマブヤー。」背中をポンポンと軽く叩いて、

「よし、これでしむさー!やーさしてるだろ?外でヒージャー汁炊いてるからおいで。」君子と話していたせいか、お腹が空いてることを忘れていた。気づいたら突然お腹が空いてきた。

「まずは、クンチつけてからに、話はその後やさ。」

私たちは外に出て、幸三おじーの話を聞いて耳を疑った。


「つまり、あきにーにーは呪われたってこと?」

「簡単に言うとそうだねぇ。」

私たちは、なぜあきにーにーが鬼になったかを聞いた。人が鬼になるにはある条件があるらしい。それは、鬼になる人は必ず誰かから強い恨みを受けている。つまり、あきにーにーは、あの日、強い恨みによる呪いで鬼なった。。私が下を向き黙っていると、

「でも、あきにーにーは誰にでも優しかったし、みんなにしたわれてたさー!それがなんで恨まれんといけんわけ?」と、君子が幸三おじーに言った。

「問題はそこだばーて。秋はあんなはたらちゃーで、あんなにーせーたーどこ探してもいないよや。やしが、そんなあれを気に食わない人もいたんだはずね。。」

「はっし、たーよその人。君子が見つけたらその人たっぴらかすのに!!」君子はあきにーにーの悪口を聞いたらすぐこう熱くなって語り出す時がある。熱く語り出す時は方言が出てしまう癖もある(笑)

「でも、鬼はいったいどこに行ったんだろ?行くなら山かな?それとも海?」

「鬼が行くなら山じゃない?でも、怖くて行けないよォ。。今からいったら夜になるし、ハブもでるさ。」

「たしかに。明日の朝、改めて少し山に行ってもいいかな。」と、私が言うと

「2人で、しむさーな?」と幸三おじーは聞いてきた。私たちはあきにーにーを助けるって決めた。

「大丈夫だよ!幸三おじー!絶対にあきにーにー、救ってみせるから!」

それを聞いた幸三おじーはニコッと笑い、

「やさやー、あんちちゅーばーなってから、おじーなだぐるぐるーすっさー。」

「はっさー、泣かんでさ〜。」明日、あきにーにーに会いに行く。会えるかなんてわかんないけど、私は決めたんだ。絶対に救ってみせる。


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