5.死闘の結局
橋にある切られた柱が倒れて、神田をぶつかった。神田は思わね一撃で動きが止められた。
「先の『流風斬』!」神田が思い出した。彼に狙って放っただけではなく、この柱が特定の方向に倒れるために仕掛けたのだ。彼が橋を崩す計画も、最初から予測した。
しかし今分かっていても、現状を打破することはできない。彼のHPが一気に減っていく。確かに、神田の直接戦力は谷崎を上回り、ほぼ現世代のトップと思われる。しかしチームのリーダは谷崎だった理由は、戦いの結果はいつも直接の戦力だけで決められるものではない。
谷崎は毎回環境を利用して、最大限の優勢を占める。こういう優勢の効果は、ただのスキルの把握度だけで埋められるものではない。神田が橋を崩すような策を考え始めたのも、彼から学んだものだ。
プロの剣極者の連撃は、止めることない。始まったら、相手が死ぬまで続くだ。けど、今回神田の運がよかった。谷崎の連撃はまだ終わってない内に、二人が地面に落ちた。衝撃のため両方もちょっと硬直になり、神田はこの機に谷崎の攻撃範囲から脱出した。
谷崎はもちろん追撃したいが、画面に何か変化があった。「Myth Mode」という文字が出てきた。
谷崎のキャラは剣から蒼い光が光って、背中から大きい水柱がたって、「水神の祝福」がバフ欄に追加した。
神田のキャラは緑の光を光って、周りの地面から怨霊が出ているようになった。
「なるほど。これが戦神川か。」谷崎が少し理解した。
伝説地図で、何か条件を満たせば、「伝説モード(Myth Mode)」が触发されるという話も本当のようだ。お互いのキャラが伝説の中のキャラから祝福を受け、戦闘を未知なる結果へ導く。
そしてどうやら谷崎が水を操れる方の祝福を受けた。戦神川が現れるのと周囲の環境を変えた理由がこの方のはずだ。
「しっかしこの状態は俺たちに似合いすぎる。」谷崎が策を練るのが得意で、水が操られると色々便利だ。神田は操作が得意で、亡霊をうまく戦力にするのだろう。
谷崎が画面中の亡霊を見て、そいつらは緑が光る目で人を怖がらせる。そして画面の尽きに、移動するだけで地面を揺るがす存在がある。もしその超大型亡霊は神田の操り人形なら、まずいだ。
「もしそうだったらやばいな。」谷崎が剣を握って、疾風のように突進した。
亡霊が周りに来て彼を囲もうと来たが、彼の後ろに付く水柱から水の矢に貫いて倒され続ける。神田と谷崎が接近戦を始めた。
「破局の方法は……」谷崎が頭を回して、『Fate Breaker』の物語を思い出して、そこから手がかりを見つけ出そうとする。神話や伝説は既に結果を持っているので、この「伝説モード(Myth Mode)」も同じように仕掛けたはずだ。設計者が仕掛けたこの局を打破すれば「Break the Fate」というドン勝ちが手に入る。それを求めたくても、局の結果だけ知れば情報的に優勢を占めると思われる。
だが今回は物語自身の結末は明白だが、谷崎はそこから「局」の全貌を把握できない。元の伝説によると、戦う二人は決着をつけなかった。そして偉大なる戦士がその後魔族の国へ向けた。しかし今は決闘、きっちりと決着をつけなければいけない。
つまり「局」の流れは伝説と相違っている。
――冷静に戻れ、優勢は又ある。
谷崎が自分の焦りを緩めた。HPは自分のほうが多い、「伝説モード(Myth Mode)」になっても結局相手のほうが先にHPが尽きるのだ。
「いかん、あいつが着く。」近づく超大型亡霊を見て、谷崎が一旦引こうと思うが、後ろの水柱がいつの間に巨大な水壁になって、そして未だ蓄えている。
「これは!そっか!やっと結局がわかったが、最悪だ。」
恐らくこの「局」の結末は二人が一緒にここに死ぬということ。能力暴走によって召喚された巨大亡霊と恐ろしい洪水。
今はもうこの「局」を破るのに時間がない。
亡霊が着くまでと洪水が爆発するまでの時間は後1分しかないに見える。
谷崎が神田を睨んで、最後のとどめをさそうとする。
「破局」は無理なら、勝つ方法は相手を倒すしかない。
神田はマントで自分の体を隠して、相手に自分の動きの予兆を見せないため。これは谷崎の「蒼龍尾」、二人が昔によく使っている技。
谷崎が剣を鞘に収め、居合の構えを取った。
水の壁が崩し始めて、亡霊は次の一歩でここに着く。
もう、時間がない。
谷崎が抜剣して、雷のように突進した。
残月龍吟・断空!
神田がマントを投げ出して、谷崎の視野を阻害する。
谷崎が冷笑した。この技は元々自分のものから、効くわけがない。彼は身を縮んで、より早めに剣が届くように体勢を調整した。例え同時に相手の攻撃を受けても、神田のキャラの死が一歩早い。
しかしマントの後ろに、人がいない。
神田が既に彼の一撃を躱して(かわして)、剣で洪水の衝撃を軽減するつもりだ。それでもやがて死ぬだろうが、
しかし先に死ぬのが谷崎になる。
マントの後ろに、亡霊の巨大の手が叩いてくる。
谷崎の注意がマントに惹かれて、亡霊の動きを粗忽にした。確かに二人の能力は暴走したが、全然効いていないではない、神田は最後までその能力を活かして、無差別に攻撃する亡霊の動きを調整した。
神田がそのまま罠に踏み込んで、攻撃を受けて先にHPがゼロになった。
次の瞬間に、一秒も経っていないが神田も洪水に当てられて即死した。しかし、もう遅い。一秒だけ遅くても、神田の勝ちだ。
谷崎は、負けた。
谷崎は足から寒さを感じて、そしてその寒さはだんだん全身に染み渡る。何かが目の前に砕かれたようだ。
久峰の口元が揚げて、勝利の宣言を告げようとする。
この一瞬で、何もかも終わった。と、谷崎は思う。
だが、その死を告げる言葉は、久峰の口から出てこない。
赤い羽根がひらひらと舞い落ちて、視界を満ちてゆく。
なぜ、赤い羽根?
谷崎が頭を揚げて見れば、周りの全てが凍結されたように、全然動かくなった。
その時、緋色の少女が突然空から現れて、艶やかに笑って机の上に立った。
「言ったでしょ?君は受け取るって。」