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27.魔女の行方

天文台に上がった時は深夜ので、頭頂はもう煌く星空になった。

ペトラは薄紫色のドレスを身に纏い、望遠鏡の隣に座り、時間が止まるほど美しさを感じさせる。

「傷、大丈夫のか?」

「心配ない。宮廷祭司の治療魔法のお蔭で、治るが早い。」イシェルは元気そうに笑い、前へ歩く。

「気分良さそうですね。」

「面倒くさいことはついに決まったから、すっきりした。」イシェルはペトラの傍の椅子に座って、夜空を貫いてる天の川を仰ぐ。

「レイタスのこと?」

イシェルは頷く:「うん。やっぱ彼女の思った通りにしよう。権力に酔うルイスを見た時、俺は思ってるだ。あの悪魔のような力は、そもそも俺たちが御するべきじゃないって。

でも今から見れば、力が無ければ、人間自身も世の中に生きていられないだ。俺たちに必要のは、もっと勇気を持つ心と、もっとの知恵だけかも。」

「だから鉄騎隊も司る?」

「うん。逃げるも解決にならないだ。一生逃げられるなら逃げていいと考えてるが、逃げられないなら直面したほうがいい。」

「なぜこんなに大きな変化ができた?」ペトラはちょっと不思議に問う。

「いろいろあったから。何もしないと、一歩の進みもできない気がした。」イシェルは軽く拳を握る。

「丁度いいタイミングね。ルイスもつい先に目覚めたみたい。」

イシェルは少し眉根を寄せる:「どうしてルイスが昏睡してる時に進軍しないのか?分かるだろう、時間が流れば流れるほど、新月軍が多く集まること。俺たちには不利だ。大将のルイスが意識不明の状態は千載一遇の好機だ。」

「相変わらずこんなところに短気ね、イシェル。最後の話を聞こう。お茶の会はすぐ始まるよ。」ペトラはイシェルに温かい紅茶を入れて、静かに語る。




あれは復讐成功の夜。

業火紅蓮が敵の屋敷の全てを呑み込んで、生き物を死骸にかえる。

しかし、この風景はもう少年の心に何の波も立てない。もし彼はまだ心があれば。

少年は無表情のままに黒い天馬を乗り、遠い夜空へ飛ぶ。

「……行かないで。」後ろは突然微細な声が届き、少年は振り返る。

あの瞬間、少年の萎れた心は僅かな痛みを感じた。まるで細い針に刺された。致命的じゃないが、消えない。

返る時、自分が何の表情も分からない。魔女は彼が何を見たことを気になるから、彼は話した:ドレスを穿いてる少女が夜道に彼の天馬を必死に追って、彼の名を呼んで、帰ってと叫んでる。


その少女の澄んだ瞳から、大きな涙がこぼれた。


魔女は沈黙した。顔に生まれつきのような冷淡と怠惰が消えた。錯覚かどうか知らないが、その時の少年は、魔女の目に自分と似たものを見た。


翌日、魔女は少年を連れて旅立つ。

城、都市、平原、河谷を越えた。

暗闇の町、深い森、険しい峡谷、綺麗な河原を渡る。

最後に辿り着く場所は意外に普通、名のない小町しかない。そして、あの夜に休む時、少年は門札にとある自分が聞いた名前を見た。

後は、後がない。

魔女と少年の物語はここまで終わった。結局は少々違うだけ。

「あの少年は死んでない、それに今の軍務郷になった。即ち、()()()。」

「あの魔女はどこへ行った?なぜルイスを見逃した?」イシェルは待ち切れずに質問する。これも最初彼はペトラの誘いにのる理由だ。彼女なら、あの事件の答えを知るかも、そう思ってる。

「こうして質問するは予想内だ。これもすべてを解くカギになる――」ペトラはイシェルの耳元に囁く。

イシェルは目を丸くした。




出撃の準備をする時、頭頂は相変わらず輝く星の川。

鉄騎隊は高効率的に集まり、新月軍団も動き始まった。

イシェルはプレートアーマーの身に着け、部屋を出る。銀色の月華が彼の身に落ち、キラキラに瞬き、まるで精霊の祝福のように。

先王からこのプレートアーマーをもらう時のことも、浮かんでくる。

その時の彼は若くて勇ましくて、自分の剣で世界を変えると信じる。

その時、兵士は彼のために忠誠を、妖精は祝福を、悪魔は力を捧げる。

彼の剣の至る場所は、必ず勝利が訪れる。例え冥府でも、彼の足を止められない。

そして今、彼は剣を握る理由を覚えてる。

「……我が運命を剣に。」イシェルは呪文を低吟しながら腰にかける剣を抜く。銀色の剣が徐々に黒くに染め、まだ漆黒から澄み切るようになり、夜空の下の綺麗な湖の光みたい。

魔剣が最初のように煌き、湖の妖精の言った通り。

「ルイスよ……」体が発揮できる力は普段の半分さえ及ばないが、力が絶えずに湧いてくる気がした。軽く跳びで馬に乗れる。

「この果て無き因果を……」魔剣を上げ、夜に一番目立つ旗になる。

彼の後ろに、三千鉄騎が整える。

「終わらせろ!」馬が疾走し、薄暗い街を越える。

鉄騎が走り、風翼(ふうえき)が開き、銀色の稲妻が王城を貫く。


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