1.運命の始まり
野田は少し戸惑っている。
今日の彼は上機嫌だった。騎士団の友達と一緒に「風囁きの牧場」に「黒風豹」をいっぱい狩りて、中々いい素材をいくつ手に入った。持ち帰ればそれなり儲かるはずだ。しかしその帰還の途中に、一人見覚えのある少年が目の前に現れた。
彼がじっと少年を見つめて、ようやく覚えだした。昨日の城外の咆哮林地のやつじゃん。
「よー小僧。ケンカを売りに来たか?」野田が精鋼の剣を持ち遊んで笑った。昨日はこいつと一緒に色が珍しい夜光石を発見したから、奪い合うような流れになった。勝ったのは当たり前だが、報復に来るとは思わなかった。
ボロボロの皮革製の防具に地味なソードを装備している少年と比べて、こっちの装備はどれも上物だ。鎧は関節まで守れるお騎士様の鎧セットで、剣は派手の外見と相応しい攻撃力を持つものだ。少年の装備では、この剣の一撃を凌ぐことすらできないと思われる。
そのうえ、彼が今仲間3人と一緒だ。無論奔狼騎士団の一員として、こんなガキにやられるはずがないが、念のため周囲の状況をよく観察して、やはり伏兵もいない。
「っち、貴志のやつ、敵の数がこんなに多いとは聞いていないぞ。」少年が舌打ちして、眉を軽く顰めた。「昨日お前に取られた夜光石、あれは俺のもんだ。返してくれたら許してやる。」
「何?怖い怖い。」野田が大笑いした。「昨日俺様にボコボコされた小僧じゃないか。なんだそのくちふり、何様のつもりのか?」
「パっ」という音で、野田の笑い声が止められた。
彼の顔面に石が当てられたからだ。かすり傷しか残っていないが、気分的には最悪。
「この体......ちょっと大変だな。」少年が手のひらを見て、先の一投げは思った以上力が入らなかった。
「てぇーめー!」野田がぶち切れた。彼が抜剣して、疾風迅雷の動きで切り掛かる。彼のイメージではこの一撃で十分だ、少年の反応はついてこれないだろう。
だが少年は横へ飛び込んで、ぎりぎりに躱した。そしてまたぶつぶつと言う:「速度もダメか、これはマジやばくね?」
「フン、運がいいか。」野田がスキルの余韻で「前方へ切る」という動作を堅苦しく続いた。理論的には反撃されるが、二人の速度の差が大きすぎてほぼありえないことだ。こういう確実の実力差が、野田の自信自負の源である。
スキルが一旦終わったら、野田がすぐに身を転じて、又切りかかってくる。少年は同じ方法で躱したが、三回目の襲撃の間隔はより短くなるので、少年は地面に伏せているまま、足ではなく腕で自分を後ろの方へ押し飛ばすことで躱した。
すると野田の剣が少年の居た空間を切り裂いた。
「やるな。」野田はやっと相手の変化を気づいた。しかし人は間違っていない、属性も変わっていない。反応速度が一段早くなっただけで、たぶん昨日の対戦で自分の動きを慣れたと、野田は思った。しかし昨日の表現が野田のすべてだと思っていたら、今日も勝てない。
「「大斬り」だけではなく、魔狼三段斬りも学んだな。これは面倒だ。」少年の文句が又終わっていないうち、野田が又目の前にやってきて、今度は下から上への攻撃だ。
少年が目を丸くして、体を少々傾いて、剣を胸の前に横に構っていた。
そう、彼は今度こそ躱すことができなくなった。野田の口元が歪んだ。この技は彼が秘密に取ったスキルで、「剣極者」の一般技に勘違いしたら痛い目にあうので。
「うわっ」
運がいいなのか、横に構っている剣は野田の裏技の一撃を凌いて、少年はぶっ飛ばされたが、大怪我は負われなかった。剣も折れなかった。
少年は頑張って立ち直って、自分の剣の剣身に罅が入ったことを気づいた。そして皮革製の防具もあちこち破れている。勝負はついた。次の一撃で仕留める。
「「圓月昇竜斬」か......この碌にならない装備で十分だと大口をたたくべきではなかった。」少年は口元につける血を拭いて、「少なくとも頑丈な剣が欲しい。」
「後悔したか?」野田が又大笑いして彼に接近した。「今跪いて命乞えば許してやってもいいぞ。」
少年はその墨黒い瞳で軽蔑の意思を伝えた。「口はそう言うげど、本当は人の醜態晒させてから殺すつもりだろう。」彼は皮肉に笑って煽る。「やれるもんならやってみろよ。」
「てぇーめー!」野田が煽られて、剣を持ってまっすぐに突き刺していく。
しかし少年は身軽く飛んで避けた。すぐに、野田が異様を感じた。林の中では、平地での闘いと全く違う。攻撃の線路が木の枝に邪魔されて、移動するときは葛藤や棘に注意しなければならない。ここでは、野田の戦力は半分以下に落ちた。
少年の方は逆だ。
自由自在に樹木の間に通り抜けて、林に彼にとっての障害物は存在しないようだ。そして攻撃すると全部野田の弱点を狙う。最初はて、次は足、それからは腹、一番危なかったのは首。地味な剣でも切っ先で首を掠ったら、冷汗をかくのだ。
彼はまさに、森に潜む幽霊のようだ。自分のあの一撃は予想していたが、あえて引かがった振りをして、自分を森の中に誘い込んだってことだ。野田の方がまんま相手の罠に引かがった。
だが野田にもプライドがある。彼は自分がこんなところで負けるわけがないと信じた。
「調子に乗るんじゃねー!」野田が吠えて、本当の裏技を出し始めた。そう、自分と対等する敵のために用意した裏技が、彼はちゃんと持っている。
野田が自分の親指を血が出るまで噛んで、そしてその血を剣身に塗った。
すると、彼の力が数倍上がって、恐ろしい勢いで剣をひと振りしたら、少年の居た空間の一片が巨大な樹木もまとめて切断された!
しかし少年はとっくにそこから離れた。
野田もそれを承知したうえで、冷笑して後ろのほうへ又ひと振りした!
後ろから襲ってくる人影がこの一撃に切断されて、戦いがもう終わったって野田がそう思ったばかりに、彼に腹が強く蹴られた。
蒼龍尾!
強い衝撃にが鎧の隙間に当たって、野田が飛ばされた。彼が先切ったのは少年の鎧の上着だと気づいた。そして少年の剣は今彼の首に当ててる。
「征服者の「圓月昇竜斬」だけではなく、血狂者の「逆反斬り」や「血の狂暴」までよくまなんだな、君が。」少年が冷淡に言う:「しかしそれより、剣極者としてのスキルを先に磨いきったほうがいいと思わないのか?」
「なぜ君の速度が俺を上回っているが、ずっと俺に当てないのか、知ってる?」少年が足を揚げて、「それはお前らが手出しする瞬間に――」
隣の木に蹴って彼に刺してくる槍を避けた。野田が仲間がやってきたのを喜んだ。
「こっちはその動きを読み切ったんだよ。」
先の一蹴りで彼はすぐ隣にあるもう一本の木の上に登った。同時に野田に何かを投げた。
「だから君らの速度は……」少年が冷たく言い続けて、まるで死神の呟きだ。野田の仲間のもう一人が戦斧を振って少年が投げてくるものを斬った。
一人だけではなく、野田の仲間は全部来た。野田は局面が逆転されたと思った。
彼一人を倒すのにも結構ギリギリな感じだし、4人揃えば問題なしだと、危機が去って思わずに笑いたくなる。
しかし少年が自分の鞄から、弓と矢先に赤い光を光っている矢を持ち出した。その冷静の動きに、野田がなぜだか不安になって来た。
「あくまでも俺たちの間の距離を縮んだが――」
先、野田に切断した樹木が今ようやく全部地面に転がった。そして斧に切られた少年が投げてくる「何か」から液体が弾けて、四人を含める辺にばら撒いた。
特製の油だ!
「追い越せない。」
呟きが終わって、少年も矢を油に撃った。矢先が爆発して、油を一気に燃え上がった。火の舌が周囲の木まですぐに蔓延して、視界の中には炎しかなくなって、まるで業火地獄の中だと思われる。
大量の油に、乾燥している天気、そして燃やせる材料が沢山あって、この森の中に火災が起こされやすいのだ。
自分の力が足りないなら、どこから力を借りればいいって話だ。
「ちゃんと覚えておけよ。」少年が冷笑して言う:「又戦う機会があればね。」
金色の光が光って、「You Win——Break the fate」の文字が少年の後ろの空気から浮かんでくる。