ホームレス魔王ジジイ
ボケ「なあ、お前ホームレス魔王ジジイって知ってる?」
ツッコミ「はあ、何それ?」
ボ「ウチの近所の河川敷に魔王ジジイってのが住んでるんだ」
ツ「マジかよ…」
ボ「そのジジイさ、かなりヤベーんだ。人殺した事ある様な顔で、いつもフード付きの真っ黒なコート着てて杖突いてるんだ」
ツ「まあまあ普通のジジイな事ないかそれ?」
ボ「んでこの前さ、そのジジイ河原で枯れ木に火を点けて、デカいファイヤーを作ってたんだぜ?」
ツ「それ…、焚き火、だよな」
ボ「しかもジジイ、そのファイヤーに手をかざしてなんかブツブツと呪文を唱え始めるし!」
ツ「それは単に寒かっただけだろ、そしてジジイは独り言を言うもんなの!。お年寄りは寂しいんだよ!。
つーか、今の所そのジジイの魔王要素少なすぎねえか?」
ボ「え、だけどその魔王ジジイ、犬を三頭も従えてるぞ…」
ツ「犬三匹飼ってるんだな?」
ボ「ね、猫もいちひき居るし…」
ツ「いっぴきな!、日本語ちょっとおかしいぞ」
ボ「くっ、お前見た事ねえからそんな事言えるんだよ。何しろそのジジイ、ヤンキーだってビビって道避けるくらいなんだぜ?」
ツ「へ、へぇ、ホントならスゴいな…」
ボ「ちょっと前、ヤンキー集団が堤防歩いてたらさ、たまたま前からその魔王ジジイが歩いて来たんだ。
そして両者がぶつかるってなった時、突然ヤンキー共が声を上げて逃げて行ったんだ。これヤバくない?」
ツ「う〜む…」
ボ「たぶん、かなりヤベー魔王のオーラとか威圧感出てたんだろうな」
ツ「…もしかして、それ単にジジイが臭かっただけとかじゃないよな?」
ボ「………」
ツ「おい、どうした?、どうなんだよそこんところは。ホントにオーラとか出てたのか?、それとももしかしてしょっちゅう近所から臭いって苦情が出たりはしてなかったか?」
ボ「し、しらない。おれ、なにもきいてないし、なにもわからないよ…」
ツ「お〜い、なんかカタコトになってるぞ、しっかりしろ!」
ボ「いやいやいや、でも魔王ジジイは他にもカラスの群れとエサの取り合いしたり、警察の職質を振り切ったり、結構やらかしたりしてるぜ!」
ツ「そ、そうなんだ…。でも、やっぱ聞く限りはどう考えてもそれ、ただのホームレスのジジイだぞ」
ボ「う…、マジか?。つーか、俺は一体なにが言いたかったんだ?」
ツ「知らねーよそんなの!」
ボ「う〜ん、結局ホームレス魔王ジジイってのは、みんなの心の中にいるんだろうな」
ツ「んな訳ねーだろ、完全にお前だけの妄想の産物だよ、間違いねーよ」