人類皆殺し the genocides トマス・ディッシュ作 人類滅亡の序曲 SF小説の金字塔1965年刊行 ブックレビュー
巻頭言 私のブックレビューはネタバレ全開ですのでご注意ください
ある日突然
地球人類滅亡の序曲が始まった、、
それは突然だった
宇宙のどこからか
「播種者」がやってきたのだ。
それがだれなのか?
どこから来たのか?
何の目的で?
一切が不明なのだ。
ある時、突然、地球上に緑いろの謎の植物の胞子が宇宙からばらまかれる、
謎の播種者が、種まきしたのだ、
しかも地球全土に、、広範囲に、、
いたるところに、、くまなく。。。
その胞子は
それは瞬く間に全地球を覆いつくし、
あっという間に成長し、、600フィートの大木にまで巨大化して
地球の既成生物をすべて覆いつくし、滅ぼして、
驚異的なスピードで繁茂し、全地球を覆いつくすのだった。
この謎の植物により地球上のほぼすべての生物は覆いつくされ、そして。絶滅する。
動物たちもこの植物は覆いつくして滅亡へと追いやる。
人類の耕作地もあっという間に覆いつくし農耕は絶滅する。
放棄された都市はこの謎の播種者が派遣したと思われる「火炎放射球」によって
次々に焼き尽くされてゆく。
やがて
全地球はこの謎の植物が覆い尽くしていた。
かろうじて生き残った人類は。世界各地に点在する小さな集落でやっと生き延びていたが、そこへも謎の植物がじりじりと迫っていた。
ここタッセルの町もそんな残存人類の小さな拠点だった。
町長のアンダーソンの支配のもと
わずか200人ばかりの住民が細々とわずかな土地にトウモロコシを栽培しそれでやっと食いつないでいたのだ。食糧の飢渇は深刻だった。餓死は確実に迫っていた。
時折、
街に入れない放浪の略奪者が食料を奪いに来ると、住民はそれをとらえて処刑し、
死体は食用に処理されて、、今や人肉食が
半ば公然化されてたのだった。
街を飛び出して新たな新天地を求めてゆくものもいた、
町長のむすこバディもそんな一人だった、
そして略奪者は今日もまた襲ってくるのだ。
とらえた略奪者の中には、有用な技術を持った者もいてそういう人物は許されて町民として生きられた、略奪者の、もと鉱山技師オービルもそれで生き残れたのだった。
が、、、何も技術のない略奪者は
処刑されて処理されて、、人肉食料と化すのだった。
だがそうした内にも
都市を焼き尽くした「火炎放射球」が次第に農村にまでもその攻撃を向けてきたのだ、
ある寒い冬の夜明けだった、
とつぜんタッセルの町にそいつはやってきた。
3機の「害虫駆除機」がタッセルの町を焼き払いかろうじて逃げ延びたのは
たった30人だけだった。
生き残った町長の娘ブロッサムの導きで30人は
町はずれの洞窟目指して雪道を進んだ。
やっと洞窟の中に逃れた一行を追尾していた
「火炎放射球」が焼き尽くそうと攻撃してくる。
一行を窮地から救ったのは鉱山技師のオービルだった。
洞窟の壁を突き破って伸びているあの謎の繁茂植物の巨大な根が
中空になっていることに気づくと、
斧で巨大な根に穴をあけてその中に入りこむのだった。
根の中は真っ暗であったが海綿状の繊維で満たされていて
それが食用出来るとわかったのだ。
一校はそれで食いつなぎまるでリンゴの芯を食って生きてるあの蛆虫みたいに
かろうじて生きるのだった。
そのころ地上では謎の繁茂植物は
実りのシーズンを迎えて
謎の播種者たちが派遣した
「刈り入れ機」が地球に舞い降りつつあったのだった。
そして、、地中深く巨大植物の根に寄生してやっと生き延びた30人にも
病気がはやり
鼠の襲来で壊疽になり
生存人数はどんどん減ってゆくのだ
刈り入れの終わった巨大植物の根は枯れてもはや食料として食べられなくなり、
やむなく
最後に生き残った
オービルとブロッサムは
ある日地上に這い出て
人類の絶滅しかかっている
光景を目の当たりに見る
二人は
最後の
おそらくは
逆説の
アダムとイヴになるのだろう、
そうして、、刈り入れの終わった「播種者」は新たな胞子の
種まきを、今、始めようとしているのだった。
最後のアダムとイヴはその光景を呆然と眺めるしかなかったのだった。
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この地球人類の滅亡を描きつくしたトマスディッシュのSF小説
「人類皆殺し」は
正に実存文学ともいえる手法で
絶滅の過程を描き切っているのである。
もはやここにはハッピーエンドもなければ
神の救済もない。
あるのは絶望と破滅だけなのである。
注意事項
あらすじについては私の記憶のみ、で書いていますので細部については「記憶違い」もあり得ますことをご了承ください。
あるいは、もっと言いきってしまうと、、、
私が勝手に深読みしすぎてしまった結果、原作とは大違いの、虚構のあらすじであったりする可能性すらありうるということです。その点は悪しからずご了承くださいませ。