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苦悩と覚醒

お待たせいたしました(-_-;)

 天井を、見ていた。

白色灯の眩しさに目を細め、俺は首を傾ける。

時計の針は既に午前の1時を指していた。

嗚呼、時間ですらもまた無駄にしてしまったのか。

掛け布団を剥いで、俺は再び脱力する。


―――結局、俺は何も出来なかった。


 あの後、放たれた三鶴の一球は俺の腹を深く抉りそのまま後方へと吹き飛ばした。

体育館の壁に叩きつけられた俺をそのまま気を失い、こうして保健室で目覚める羽目になったというワケ。

その後の試合運びは見舞いに来た三鶴からの見聞でしかないが、結果は奇数チーム1人、偶数チーム1人という有り得ないまでの引き分けだった。

俺がやられてから暫くは三鶴の猛攻を相入が【反転者オルタナティヴァ】をもって反射させ凌いでいたという。

それどころか反射角の微調整だけで複数人を同時に撃破していく、正に破竹の勢いも宛らか。

しかしその状況も長くは続かず、キエルが光の屈折を【神の代行ソル・クオーツ】と併用したことで反射能力は突破されてしまう。

時間操作と速度添加、空間圧縮から破壊光線までもが飛び交いその果てに1人対1人、この手の競技に不得手な能力者が残されたという話だ。


圧倒的かつ現実離れした話は俺の意識をどこか遠くへと追いやってしまっていた。

競技である以上三鶴に恨み節のような感情は無い。

しかし手も足も出なかった、その事実だけで既に息絶えそうになっていた俺の自尊心は打ちのめされてしまったのだ。

そうして、明日の試験という事実が遅れてやってくる。


「......いや、今日なのか」



 どうやらそのまま寝てしまっていたらしい。

布団の温かさは保健の先生様様といったところか。

兎に角今は起きるべきだろうと俺は重たい瞼を開く。

「......」

この時の光景を、俺は何と形容すべきかは分からない。

強いて言えばそれは「飛び交う粒」と「揺らぐ線」の世界だった。

1次元的と言うべきか、これに聞き及ぶものがあるとすればそれは正しく―――


「............原子、か?」


目の異常だろうか、心配に襲われた俺は咄嗟に瞼を閉じた。

何なんだアレは!? 見てはいけないような景色、俺のSAN値は果たして大事無いのか。

不安な数分が経った。

改めて、恐る恐る目を開く。

そこには見慣れた天井が朝日に照らされている、いつも通りの世界があった。


 一体俺の身に何があったというのか。

そこはかとない不安を拭えないままに、俺は運命の日を迎えるのであった。


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