新たな生活
「起きて」
俺の頭の中にけど直接呼びかけてくる。
そして起き上がり目を開けてみると辺りは暗闇でろくに見えない。
「目が覚めた?起きたなら私のところまで来てくれる?」
「その前に暗くて何も見えないのですが?」
何も見えないのではどこに向かったらいいのかが全くわからない。
「そういえばそうだったね、少し待ってて」
少しの間待っていると地面が光輝いて一本の道が出来上がった。
「その光る道にそって歩いていけば私の所までこれるので、それでは待ってる」
不安ではあるが、このままじっとしていても仕方ないし
言われるがまま光る道に従い歩き進んでいく。
しばらく歩いていると一軒の家が見えた。
光の道はどうやらこの家のところで終わったいる。
「どうやらここのようだな」
俺は家の扉の横にあったインターホンを鳴らし待つことにした。
インターホンを鳴らした数秒後、いきなり扉が勢いよく開かれた。
俺は急な出来事で避けられるはずもなく扉にぶつかり家の壁と扉に見事に挟まれる事になった。
「やっほー!いらっしゃい!ってあれ?誰もいない、変だな?インターホン鳴っていたのにな。とりあえず、寒いし部屋に戻って待っていよう」
少女のような声の者はまた家の中に戻っていった。
「痛った〜、まさかいきなり開けてくるとはな。なんか戻っていっちゃったみたいだしもう一度呼ぶか」
今度は扉から距離をとりインターホンを鳴らすことにする。
流石に二度もくらいたくはないので。
また勢いよく扉が開いた。幸い扉から距離をとっていたので当たらないで済んだ。
中から先ほどの声の主と思われる中高年くらいの銀色の髪と青い瞳が特徴的な少女が出て来た。
「来るの遅いよ!待ってたんだから」
そう言いながら少女頰を膨らませプンプンしている。
「いや、あの?一度あなたが最初に扉開けた時にいたんですけどね」
「え?そうなの?扉開けたときは誰もいなかったよ?」
少女は不思議そうな顔をしていた。
「だってその時は扉がいきなり勢いよく開いたせいでぶつかって扉と家の壁に挟まっていましたからね」
「ありゃ、そうだったんだね。ごめんね」
少女は意外と素直に謝ってくれた。
「ホント次から気をつけてください、怖いです、トラウマ抱えちゃいますから」
「ごめんね、次から気をつけるよ」
どうやら反省してくれているようなので許しておくことにしよう。これでも俺は女の子には優しいからな、可愛い女の子限定だけど。
「えっと、とりあえず中に入って、話は中でするから」
少女は入って入ってと手招きして誘っている。
俺は彼女の誘われるとおりに家の中に入ることにした。
家の中に入ってみると家の中には特にこれといったものが何もなくとても殺風景だ。
「まずここがどこなのか、なぜあなたをここに呼んだのかを説明しようと思います」
「ここは生死の狭間の世界です。あなたは今はまだ死んではいませんが生と死の間をさまよっている状態にあります」
「あの今俺って死にかけてるんですか?俺はただ仕事で疲れたから睡眠をとっていただけのはずなんですが」
俺は疑問に思ったことを聞いた。
そもそもどうして俺が今死にかけているような状態になっているのかがわからない。
「あなたは確かに眠りにつきました。ですが、その数分後に何者かあなたの家に入られています。」
「その何者かはあなたの部屋に侵入し、あなたに何か薬のような物を飲ませ、金品を盗み逃走しました。きっとその薬は毒薬なんでしょうね、そしてあなたは今まさに死後の世界へといこうとして真っ最中でしてそこを私が呼び止めてここに来てもらったというわけです」
なんということだ、俺が寝た数分後にそんなことが起こっていたなんて思わなかった。
きっと俺に恨みを抱いていたやつが行なったやつだろう。
「一体だれが俺にそんなことをしたんですか?」
「それはあなたの仕事仲間の人ですよ、あなたを妬み嫌う人がいましたよね」
確かに思いあたる人間が一人いた、いつも仕事で何かあれば突っかかってくるやつ、他の人には人当たりがよく愛想よくしているが俺に対してだけ違う。はっきりとわかる程に。
「どうやらどなたがあなたを襲ったのかわかったようですね」
あぁ、ホントにこんな世界なんてクソくらいだ。
「それで俺はこのまま死ぬんですか?」
「いいえ、あなたにはいくつか選択肢があります。一つはこのまま死んであの世で暮らす事、二つ目はもう一度赤子からやり直す、そして三つ目なんですがあなた記憶はそのままに私と一緒に異世界にいく。私としては三つ目を選んでくれると大変嬉しいです!」
どうしたものだろう、このまま死ぬのは嫌だな。でも、赤子からもう一度やり直すにしてもまたあの世界で暮らすのはまっぴらごめんだな。
それなら俺が選ぶのは...。
「そうですね、違う世界にいくのはなんだか良さそうですね。あなたと一緒なら楽しそうだ」
「ホントですか?!嬉しいです!私の名前はリア、生と死の狭間の世界の番人的な者です」
少女はとても嬉しそうに笑って喜んでいる。
これが少女リアとの新たな生活の日々の幕開けになる。