表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴン転生  作者: 附箋
1章 新たな世界
12/16

鬼2

にゅっと忘れたころに投稿

「あの鬼では少し微妙だったかしら?……そんなことないわね。昔のあの子ならまだしも今は死者の加護を受けてるんですもの大分弱ってる筈ね。しかもドランノヴァ様のモノなのだから余計に」


黒き羽根をたたみ静かに佇む女性の姿が山の中にあった。その光景はあまりにも不釣り合いで何故こんなところに?と言いたくなるほどだ。


 その女性の顔立ちは整っておりシミ一つない白い肌を持っている。髪の色は光を反射し眩しい銀色をしている。腰のあたりまであるその髪はただまっすぐに伸びている。そしてその頭の上には黒く光る天使の輪が存在している。


 白い肌を白を基調とし所々に黒のラインの入ったドレスのようなものを着ている。


 その黒く光る輪と黒色の羽根はその彼女が堕天使である証拠。普通の堕天使は目の色が赤や黒になるが彼女は碧色をしていた。特殊個体である。特殊固体といっても大したことはない。


 同じ種の中でも時々違った性質を持って生まれてくる個体がある。


 例えば人間でいえばアルビノもそのうちに入るだろう。色素が生まれながらにしてなく髪の毛のみならず体の毛がすべて白色をしている。


 さらに言えばオッドアイも入るだろう。左右で目の色が違うあれだ。同じ人間として生まれたのにもかかわらず左右の目の色が違ったり色素が無かったりする事がある。それと同じ。


 さて、そんな彼女が山の中でポツンと立っていたらどうだろうか。見る人からしたら精霊かにかに見えるかもしれないが堕天使は基本山の中にこない。


 来るとしたらそれは。



 「おやおや、こんな所に堕天使さんがいらっしゃる」

 「!」


 誰も居ないと思っていたところに急に話しかけられ驚き声のするほうへと顔を向ける。そこには一人の人間が居た。特にすごい力を感じるわけでもないただの人間。


 だがその人間ははっきりと話しかけてきている。はっきりと堕天使と口にしていた。


 人間は臆病者で強気存在には基本近寄らない。それが彼女の中にある人間という種のイメージだ。確かに中には強きものを求めているものも居るが、それでも力の差があまりにもある堕天使に勝負を挑む事はおろか話しかけることなんて到底するとは思っていなかった。


 何が楽しいのか笑いながら話しかけてくるなんてことは絶対にあるはずがないと思っていた。というよりもそんな事をするなんて頭にも無かった。


 しかし現に目の前で笑いながら自分に話しかけてきている人間が居る。注意するべきかただの馬鹿か。


 「そう警戒なさんな。これ、あんたのでしょ?ウィルゴールさん」


 黒い羽を右手の親指と人差し指でくるくる回しながら聞いてきた。ウィルゴールと呼ばれた堕天使は目を細めて羽根を見て人間を見る。


 確かにあの羽根は自分のものだ。そして名前もあっている。だが何故そんな事をこの人間が知っている?それに何故私の羽根を普通に持っていられる?


 たった一つの質問と行動でいくつもの疑問がわきあがる。疑問だけでなく警戒心も。


 「そんなに睨まれたんじゃゆっくり話も出来やしない。まずは警戒を解きな、OK?」

 「・・・・・・」

 「ちっネタの通じないやつだ。ま、このネタ分かるわけもないか」


 ネタだと?ふざけるなと言いたい。この状況でよくそんなものを言える。仮にも上位種族であるウィルゴールが対峙しているのに全く物怖じしない。


 「確かに私の羽根で私の名前はウィルゴールだけれど、何故あなたが知っているの?」

 「お、よーやく声が聞けた。いいねぇ綺麗な声してる」

 「いいからさっさと答えなさい下等種族!」

 「短期は損気ってね。下等種族なのは確かだから反論しません。んで何で知ってるかってーとこの羽根に教えてもらったんさ」


 やはりこの人間は生かしておくわけには行かない。羽根一枚からどこまでの情報を持ち出しているかわからない。


 「知ってるのはあんたの名前と種族ぐらいなもんだ安心しな。それよりも聞きたい事があるんだ。今あんたは誰に仕えている?」

 「そんなものを知ってどうする気」

 「いやなに、ただの好奇心さ」

 「いいでしょう冥途の土産に教えてあげるわ。今も昔もドランノヴァ様だけ!」


言い終わると同時に魔法を発動する。カルマをすっぽりと覆うほどの大きな黒い球。その球体は超重力の塊で周りのすべてのものが吸い込まれていく。木や地面、空気さらには時までも吸い込んでしまうほどの超重力。


 グラビティーコア。名前の通り重力の核だ。カルマの元居た世界ではブラックホールと言われているものだ。


 それをこのウィルゴールは作ってしまえるほどに強力な存在である。そんな彼女をもってしてカルマは危険であると思わせ息つく間もなく存在そのものを消しにかかった。


 だがそれは失敗に終わる。


 「いきなり攻撃とはこの世界は怖いねぇ。それにしてもその言い方じゃドランノヴァが生きてるみたいな言い方だな?」

 「な!?」

 「何かいろいろ裏で渦巻いてそうで面白くなってきたね」


 グラビティーコアが消えた後は何も残らないはずだ。それも思いっきり中心点として食らったものが存在して言い訳がない。なのにカルマは存在している。生きている。


 その事実がウィルゴールをさらなる危機感へと追いやる。


 一方のカルマはと言うと。


 「いい話を聞かせてもらったよ。んじゃ俺行くところあるから」


 気軽に何事もなかったかのようにそう言い姿を消した。目を疑った。今の今まで目の前にいたカルマが急に消えたのだ。認識していた。なのに瞬きをした瞬間そこには最初から誰もいなかったかのように。


 「あの人間、次に会った時こそ消さねば」


 そうしなければあのお方の命令を遂行できなる可能性がある。あのお方ドランノヴァ様。今は憎き神との戦いの末敗れてしまい力を失って体も小さくなられてしまったが。

 だからこそすぐにでも昔のあの大きく逞しいお姿に戻して差し上げなければならない。ドランノヴァ様のメイドとして、この身を創造してくださった恩を返すために。







 ドランノヴァに仕えてるねぇ。そのドランノヴぁはここにいるんだけど一体どうなってるんでしょうね。もしかして俺が偽物?ドランノヴァじゃない?


 だからドラゴンの姿になれないんじゃ?……だとしたら辻褄が合う事には合うがじゃあ俺は一体何なんだって話になる。


 それに死者の加護を受けてるって言ってたな。つまり俺になる前のドランの加護を受けてるって事か。しかしそれの何に問題がある?とも思ったが多分死者の加護受けてると弱るんだな。ウィルゴールが言ってたし。


 おっとそろそろ村に着くな。足早くて助かるぜ。


 ん?メリナ先輩たちが居ない?まだついてないのか。遅いな。


 あれはクローラか?一人で戦っているのか。参戦した方がいいかな。でもなかなかいい感じに均衡保ってるんじゃない?胸が熱くなる戦いしてやがる。


 はえーあのラッシュを避けるかよそのまま反撃とかなんなんあの二人。それともあれができて当然なの?


 あれは居合の構え?この世界にもそんな構えが。どこから教えられたのか気になるな。


 うぇグロイな。首が地面を転がってる。あ、首から血が出るときってやっぱりあんな風に噴水みたいに出るんだ。ただの表現としてやってるだけかと思ったけど。ま、首には血が一杯通ってるから当たり前と言えば当たり前なのか?


 なんにせよ俺が出るまでもなく終わってよかったよ。天狗族なだけあってクローラは強いな。この村を任せているのも分かる。ここは労いの一つで……も?


 体が起き上がった?……!?顔が9つに!?


 っ!クローラが吹き飛ばされた。流石にありゃクローラには無理か?今すぐに助けに行かないといけないのに俺の足が動かない。いくら体や能力がドランであっても心は人間田橋京谷なのだから恐怖で体が動かなくなる。


 ……クローラが鬼にフルボッコにされている光景を見て体が動かなくなってしまっていた。恐怖からではない。何故だかこの光景に似たものを見たころがある気がして。


 この光景が決して初めてではない気がして。……ああ、これはドランの昔の記憶。クローラと初めて会った時の記憶。


 あの時もクローラは死んだ大天狗の加護を受けっぱなしで弱って攻撃を受けていたんだっけ。そしてあの時も後悔をしている目をしていた。


 命令を守れなかったその悔しさ。


 なんだやっぱり俺がドランノヴァなんじゃないか。こんな記憶があるんだ。記憶の中のクローラも俺の事をドランノヴァと呼んでいる。


 その事が解った瞬間、俺はいつの間にか体が動いていて鬼を吹き飛ばしていた。拳に伝わる顔を殴った感触。しかしながらその手は全く痛くなくいつもと同じ。ドラゴンだから頑丈に出来ているからだろう。


 なんだこんなにも脆く弱い相手に俺は恐怖を感じていたのか。力を込めていないただのじゃれあいの様なパンチであんなにも吹き飛ぶ存在に俺は。


 そう思うと自然に口の端が上がりニヤッとする。骨が砕かれたままなのは可哀想なので回復してあげることにした。そしてその顔のまま俺はクローラに対して。


 「これで2回目だな?クローラ」


 いきなりこんなことを言われたクローラは顔を顰めて何を言っているんだと言いたげな顔をしている。それもそうだろう。


 ここの記憶は昔の死んだドランのモノ。クローラが知っているのは、以前の生きていたドランとの記憶であって、こうして田橋京谷の演じる姿かたちが変わっているドランノヴァとの記憶ではないのだから。


 クローラからしたら出会ってまだ間もなくこんな戦闘での記憶なんてものはない。なのに2回目と言われる。


 カルマ頭大丈夫か?


  大丈夫です問題ありません。問題があるとすればクローラが俺の事を人間のカルマだと思っていること。間違いではないのだけれど間違いでもある。


 「む!カルマ殿もうお着きで?」

 「カルマ!?何であんたの方が先にいるのよ!おかしいじゃない!」


 一気に騒がしくなりました。主にメリナ先輩が騒がしくしているような気がする。正直今は無視してもいいけどあんまり無視してたら後で五月蠅そうなので答えてあげるのが世の情け。


 「この羽根を持った時にテレポートの仕方も思い出したんだよ」

 「ほう」

 「はあ!?あんたバカ?テレポートってのはとても高度な魔法なのよ?それを簡単に思い出したなんて」


 どこかで聞いたことのあるようなセリフをメリナ先輩がぶつくさと言っていますがそんなことよりカイマンの方が気になる気になる。


 何であんなに目を細めているの?何を察しているの?怖いんですけどこのリザードマン。実はリザードマンじゃなくて妖怪のサトリの様な存在なんじゃ。


味方なのに恐ろしく感じる。これは是が非でも味方になってもらっておくとしよう。敵になんてなったら冷や冷やしてしょうがない。


 実は何も察していないとかなら嬉しいけど。長年の勘ってやつですかね。


 「ま、俺の事より少しあっちの相手をしててくれない?」


 俺が吹き飛ばした鬼を指さすと、よろよろと立ち上がるところだった。立てるって事はまだまだ元気だって事だよね。


 俺は今からクローラにお説教しなきゃいけないから邪魔されたくないんだよね。それにこいつらの戦闘能力ってやつを見ることができる。


 自分で言うのもなんだが俺の攻撃で結構体力を削れたはずだ。今のアイツならカイマンやメリナ先輩でも十分だろう。


 「解りました。それでは我々は時間稼ぎでも致しましょう」

 「本当、どこまで分かってるんだ?」

 「なに、長く生きているとちょっとした事なら察せますよ。さ、メリナ様行きますよ」

 「私は行くとは言ってないわよ!?それにカルマに言いたいことがまだ」

 「行 き ま す よ」


 メリナ先輩は騒いでいたがカイマンの笑顔の中にある凄みに屈してしぶしぶと言った感じで戦闘に向かった。


 流石ドライアドなだけはある。風や自然を操る魔法を繰り出している。何もない地面から木が生えたらそのまま生きているかのようにうねり鬼へと絡みつく。鬼は全く抵抗せずに受けていた。避けなかったのか避けれなかったのかそれは分からないが、どちらにせよしばらく動きは止められている。


 その隙にカイマンたちも攻撃をしている。なかなかチームプレイができているが所々で足を引っ張っているのも見て取れる。攻撃のタイミングが合い過ぎてぶつかってしまったり逆にタイミングが合わなくて外してしまったり。


 こればかりは経験を積んでいくしかないだろうな。これから先、そんな経験があるとは限らないが極めておくことに無駄は無いだろう。


 とりあえずあっちの事はおいておいて。


 「クローラさんや。あんたは一体どんな命令を受けてこの村に来たんだっけ」

 「……」


 クローラは口を開かずにじっとこっちを見ている。命令を忘れたわけではないだろう。昨日の今日で忘れるわけも無いだろ。今までだって覚えていたのだから。


 答えれないのでなく答えないのだ。いじわるとかじゃい。クローラの心情は今混乱の中にあるだろう。


 だからこそ答えないことに対して俺は何も言わない。怒らないし怒る気もない。ただじっとこっちを見るクローラ。


 なんだかその状態がとても懐かしくかつ心地よく感じてしまった。戻ってきたという感じに似ている。実際戻ってきたでも間違いではないのだからこっちも混乱してしまう。


 「確かどんな事をしてでも守りぬけっだったか?多少言葉は違うが内容は一緒だろ。さてさてここで質問なのですが」


 ここで一拍置いてまじめな顔になり少し低めの声で。


 「お前はこれをどう理解している」

 「どうって……そんなもの一つしかないでしょ。私の命を落としてでも守り抜く!それ以外に何があるの」


 一瞬たじろぎはしたものの直ぐに平静を取りもどしさらに、睨みつけながら言い返してきた。さもそれが当たり前のように。それ以外最初から選択肢がない。


 おかしいなこれで2回目のはずなのに何故その答えしか持っていないのか。忘れてしまったのか?それとも魔物の本能とでもいべきなのかな。


 静かに睨み付ける二人。視線だけで気の弱いやつは気絶でもしてしまうのではないだろうかと思うほどだ。


 俺はふいっと視線を空へと背けた。


 どうしようもない現実。どうしようもない考え方。強要するのは好きじゃない。けど俺は死んでほしくもない。


 我儘なのはわかってるけれどこの位の我儘は聞いてほしいものだ。


 空を見上げれば何か思いつくかとも思ったが思いつかないな。何も考えず空を見ればふと思いつけば楽なのに俺の脳みそはそこまで優しくないらしい。


 だから考えよう。


 ま、最初から答えは決まってる。


 「なぁ、クローラお前は……」

 「クローラ!カルマ!」


 俺がクローラに話しかけた時2人の名前を呼ぶ声がした。声の正体はソフィアちゃんだった。


 「ソフィアさん何故こんなところに来てしまったんですか!」

 「そんなのクローラが心配だったからに決まってるでしょ!」

 「でも危ないですよ」

 「分かってるわよそんなこと!それにカルマの事も心配したんだからね!!」

 「あー……えと……ごめんなさい」

 「ふんす」


 ソフィアちゃんマジ切れです。起こりすぎてふんすとか言っちゃってる。可愛い。


 違う、そうじゃない。


 「それより早く逃げてください!ここは危険です」

 「確かに危険ね。でも」

 「どうしました?どこか」

 「ねぇカルマ。あの鬼を復活させたのはカルマなの?信じたくはないけど、カルマがこの村に来てからあの鬼は目を覚ました。もっと言えばカルマがリザードマンの所に行ってるときにあの鬼が攻めてきた。

天狗族の人から聞いたの。鬼の本当の話。リザードマンの集落の近くにある祠に封印したって。


ねぇカルマ。カルマがあの鬼の封印を解いたの?」


 「違う!俺は封印なんざ解いちゃいない!」

 「じゃあ誰が解いたっていうのよ!」

 「それは―――――」

 「ウィルゴール様よ」

 「え?」

 

 俺がウィルゴールと答えようとした時鬼が既に近くまで近寄ってきていた。こっちに集中してしまったため接近を感知できなかった。


 鬼はソフィアちゃんに向かって複数ある手をすべて振り下ろしている最中だった。

キーボード変えたり、戦国時代に行って無双したり、ディスプレイ変えたり、変えたディスプレに合う解像度が無かったり。諦めたりしてましたが私は元気です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ