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ドラゴン転生  作者: 附箋
1章 新たな世界
10/16

リザードマン

 エミール村は山と山の間峠の一番下にある。そこから山の上の方へと向かっていくとオークの集落があり海へ続く川の元に行けばリザードマンの集落がある。


 オークの集落へは門までは行けたが門番に邪魔されて入れなかった。腹いせに門番に魔法をぶちかましてやったので許すことにしてリザードマンの集落へ行く途中ドライアドのメリナ先輩に出会う。メリナ先輩は蜘蛛型モンスターのボスに食べられる寸前でマジで危ない1秒前だった。


 しかしメリナ先輩と出会えたことは俺にとってメリットであった。リザードマンの集落に入れることになったのだから。


 そしてリザードマンの集落に入り長の元へと案内してもらった。リザードマンの長はよぼよぼしていて今にもぽっくり逝ってしまいそうなほどだった。


 そんな長を見てメリナ先輩は悲しそうにしていた。長の興味が俺に向いたところで挨拶をし、挨拶もそこそこに野菜をプレゼントしてあげた。


 長ったらしく回想なんてしてみたけれど人はこれを現実逃避とでもいうのだろうか?先までよぼよぼでいつ死んでもおかしくなかった長が村で作った野菜食べたら元気盛盛になってめっちゃ動き回ってんだけど。


 さっきから集落のリザードマンに声かけまくってそのたびに声かけられたリザードマンたちは驚き涙して喜んでんだけど。挨拶して野菜あげただけでなんかやばいほど大事になってるんですけど。


 さっきからメリナ先輩もはしゃぎまくっておれの周りをくるくるしたりたまに威力のないこぶしが俺の足にダメージを与えてくるんですが。もちろん0ダメージだが。

 微笑ましい動作なのだがずっとされているのでいい加減にイラっと来ました。なのでついオデコにデコピンしちゃったけどショウガナイヨネ?


 涙目で抗議されたときにちょっとだけデコピンを追加して涙目で俺に抗議してくる姿をもっと見たいと思ってしまったのはここだけの話。好きなほ子どいじめたくなる的な?小学生男子かよ。


 しかしそんな抗議も早々に終わって涙の種類も痛みによるものではなく嬉しいものに変わっていく。誤解を招かないように言っておくがリザードマンの長が元気になった事に対して嬉しいのであって痛いことに対してではないことをここに強く言っておく。


 「カルマ殿!」


 長が集落を一通り回ってきたのだろう。その額にはうっすらと汗を浮かべていた。どうやらリザードマンも汗をかくらしい。


 「汗をかいてしまって大丈夫ですか?先まで寝っぱなしだったのでしょう?」

 「なぁに心配は無用です!あの野菜をいただいた時から体の内から元気がみなぎるようでして、今まで寝ていた分、否それ以上に動きたい気分でしてな」


 長がそういうならそうしておこう。とても楽しそうに言う長にそれ以上心配する言葉は不要だと察した。むしろこれ以上はお節介だろう。本人がいいというならいいのだろう。人間ではなくモンスターなのだから。


 「それにしても偉く元気になりましたね」

 「ほんとだよ!?私を驚かせるために嘘ついてんるんじゃ?」

 「メリナ様そのような事は致しませぬよ」


 メリナ先輩の言いたいこともよく分かるが流石にこれを嘘でやってのけることはできんだろうよ。代行をしている奴がいるなら分かるけど。


 「はっ」

 「どうしました?」

 「いえ、まだ名を名乗って降りませんでした。私はカイマンと申します」


 本当だ始めて名前聞いた!ってそりゃそうだよ。長ですとは言われたけど名前まで名乗ってもらってなかったな。名前を簡単に教えちゃいけないものなのかな?何て密かに思っちゃってたよ。 


 「ところでお二人にはぜひ今晩泊って行ってほしいのですが」

 「え、でも俺村の皆にオークの所に行くとしか言ってないしな」

 「あ、それなら大丈夫よ?私の姉妹たちに連絡させるから」


 なんだよメリナ先輩やっぱりただの幼女じゃない。働ける幼女だ。さらっと自分の姉妹を使うとか言っているけど大丈夫なのか?魔物なんてそんなものなのかな?


 人間だったらよほど仲が良くないとわざわざ家から出て伝言を伝えに行くような真似しないだろ。この世界には携帯がないからそこらへん不便だな。ん?待てよ?携帯がないと決まった訳ではないが通信手段ならいくらでもあるんじゃ?


 「メリナ先輩ちょっと待ってもらっていいですかね」

 「なに?」

 「試してみたいことがあるので」


 ゲームの中でプレイヤー同士のコミュニケーション手段はチャットもしくはスカイプだ。チャットで会話しながらだとかもっと簡単にスカイプで通話しながらなんてやり方があったがノンプレイキャラクターつまりNPCを呼んだり会話をしたりするときに使うものが有る。それは誰にでも使えて魔力等の消費もない。


 それもそのはずで、NPCと会話するだけなのにわざわざ魔力消費させるとかとんだ馬鹿野郎だ。最初は減るように設定しようとしていたらしいが普通に通らなかったらしい。あたり前だ。


 (コール、ソフィア)







 「ねぇ暗くなってきたけどまだ帰ってきてないよ!?」

 「心配するなあれでも男だ」

 「今日目を覚ましたばっかりです!」


 あれからオークの長は少し話をしてカルマが居ないと分かると伝言だけ伝えて帰って行った。門番がすまなかったと伝えてほしいと言っていた。


 だがその伝えるべき人間であるカルマが夜になっても一向に帰ってこない。どこに行ったのかと気が気でないソフィアはクローラに何度も何度も問いかける。


 クローラはまたかと思いながらちゃんと毎回答えている。何がきっかけだったかは覚えていないがクローラもソフィアもお互いに姉妹のように思っている。


 ソフィアからしたらボロボロの状態で村にきたクローラを見た瞬間保護対象に入っていたのだがクローラの知るところではない。


 ソフィアが心配し過ぎて倒れてしまうのではないだろうかとなったころ。


 (あーあーテステス)

 「カルマ!?」

 (あ、聞こえてる?今俺はあなたn)

 「いったい今何時だと思ってるの!?」


 カルマが何か言っている最中にもかかわらずそれを遮って怒鳴る形でカルマに問いかけた。


 (あ、えと、よくわからんですが夜になってます)


 お約束であるセリフを言っている途中で急に怒鳴られてびっくりしてしどろもどろになりながらも答えるカルマ。

 若干言葉もおかしくなっているが今はそんなことすらどうでもいい。


 「いったいどこにいるの!?あなた今日目が覚めたばかりでしょ!」

 (ア、ハイ)

 「それで?声は聞こえるけど姿が見えないわ」

 (えと、今リザードマンの集落に居まして。そこで長から今日は止まっていきなさいと言われましたはい)

 「リザードマン?何でそんなところにいるの?それにどうやって会話を」

 「きっとコールと言う魔法だろう」


 先まで黙ってみていたクローラが話に入ってくる。黙ってみていただと少々語弊があるかもしれない。ソフィアが急に叫んだと思ったら急にキレだした。


 はたから見れば完全に情緒不安定な人だ。ソフィアは普段しっかりしているが心配すると納得安心するまでずっと心配し続けるのでついにそこまで!?となってしまった。


 だが話を聞いている限りコールをカルマが使って会話をしているのだろうと推測した。魔物や盗賊など話を聞かれたら不味い人が使ったりする魔法。


 魔物がコールを使う理由は分かっていない。使っている本人たちもよく分かっていないのだ。だが昔から使っているため使う。


 (クローラさんも近くに?)

 「うん」

 (そか、じゃあ詳しい話はクローラさんに聞いといてね!) 

 「え?」

 (じゃ俺今日リザードマンの所に泊るから!)

 「カルマ?カルマ!」


 返事がないただの屍のようだ。


 カルマが親から逃げるかのようにコールを切り話を打ち切ったのだ。ソフィアはコールを使えないためカルマにかけることができない。使えたら最初から使っていた。


 「もう!何なのよ!」


 エミール村にソフィアの怒りの声が響いたという。







 ソフィアちゃんガチギレじゃないですか。せっかく今あなたの脳内に直接話しかけていますってやろうと思ったのに序盤で切られたよ。ぶった切られたよまったく。


 これあれだねキーンってする。怒鳴られると鼓膜がやばい。分かりやすく言えば携帯で電話するときに開口一番のもしもしが異常にでかかったり、電話に出たらいきなり怒鳴られた時みたいな感じ。


 大丈夫?鼓膜破れてない?


 しかしあれだな。ソフィアちゃんのあの心配性は何とかせんとヤバいのではないだろうか。心配性と言うより心配症なのではないだろうか。一種の病気なんじゃないか逆に心配になる。


 無限ループしそう。無限ループって怖くね?


 「カルマーまだー?」


 メリナ先輩が待機中なのをすっかり忘れていた。ずっと放置を食らっている犬のような目で俺を見てきていた。このまま眺めているのもいいか?


 「ん、今連絡とったから姉妹動かさなくていいよ」

 「え?あんたコール使えるの?」

 「え?使えたらまずいの?」

 「まずくはないけど人間が使うところなんてみた事ないわね。まこんな山に人間が来ること自体が無いんだけどね」


 あれ?ひょっとしたら俺選択しミスった?でもクローラの声がした時には別段珍しいものでもなさそうな反応してたけど。でもソフィアちゃんは分かってなかったな。


 いかんな。どこまでがやっていい魔法なのかよくわからん。まさかまさかのコールですら驚かれる要因になるとは夢にも思わなかった。だってこれMP消費0の誰でも使える初期魔法だぜ?魔法の不得意な職業でも最初から使えるような魔法だったんだぜ?普通みんな使えると思うだろ?


 ……よく考えたら使っているのはプレイヤーであってNPCではないんだよな。そうかそういう罠もあるわけか。


 「カルマ?何難しい顔してるの?」

 「ふむカルマ殿?確かに人間である貴殿がコールを使うのは珍しいがそこまで悩むものでもない。それに今までもっと不思議な体験もしてきたであろう?」


 リザードマンの長が俺に気を遣うように言ってきた。そういえば俺記憶がない設定なの教えてなかった。不思議な体験は今現在進行形で体験してるけども。


 「あ、言ってませんでした。実は俺記憶喪失でして」

 「寝ぼけてるの?」

 「なぜそうなる」

 「記憶喪失の人がこんなうろうろするなんて変よ」


 せやな。普通は周りが出歩かないよね。記憶喪失なった事ないからわかんないけど。どうなんだろ。24時間ずっと誰かが付きっきりなんてことは無いにせよ出歩くときは誰か一緒に居たりするものなのかな?

 記憶がないってことはルールも忘れているって事だろう?信号が赤なら止まれとか青なら渡れとか。信号に限っては記憶喪失じゃなくても守らない馬鹿野郎はいるけども。


 青は渡れ、黄色も気を付けて渡れ、赤は慎重に渡れみたいな。全部渡れじゃねーか。


 「そうでもなかろう。記憶がないなら見つかるようにいろいろ見て回ろうとするものも居ろうて」

 「そうかな~?」


 長の株が急上昇してます。何なのこの人さっきからカッコよすぎじゃない?だてに年取ってないな?それに比べてメリナ先輩ときたら見た目通りの幼女かよ。愛でるぞこの野郎。


 「しかして、カルマ殿?許可はいただけたのかな?」

 「ああ、はい一応もらえました」

 「うむ!なら今夜は宴だ!皆の者!準備はよいな!!」

 「「「「「おおおおおおお」」」」」


 長が皆に掛け声をかけると一斉に声を上げ動き出した。嬉しそうだ。このリザードマンの指示の下で動けるのが嬉しそうだ。みなこの長の事を好いているのだろう。だからこそ全員いい笑顔をしている。


 ま、基本爬虫類の擬人化で顔はまんまだからよくわかんないけれども。それでもわかる。口の端が吊り上がっている。目が笑っている。声が笑っている。すべてが笑って幸せそうだ。


 そんな姿を見ていると、今日初めて会ったばかりなのに、さっき会ったばかりなのに自然と俺も笑顔になる。周りが楽しいと俺も楽しくなる。周りが幸せだと俺は笑顔になる。ただしカップルてめーらはだめだ。

リア充イズデストロイ。


 え?もし俺がなったら?そんなの決まってるでしょ。俺以外のリア充イズデストロイですよ何言ってんだ。


 馬鹿なことを考えていると最初に合ったリザードマンが俺の所に歩み寄ってきた。


 「俺はババリと言う。長を・・・・・・・カイマン様を元気にしてくれてありがとう。みんなに笑顔を戻してくれてありがとう」


 そのリザードマンは俺に深く頭を下げてお礼を言った。その目には涙も浮かんでいる。そのことから本当に嬉しかったと簡単に推測できる。諦めかけていたのだろう。もうみんなの笑顔を見ることがないと思っていたのだろう。


 そんな中、俺と言う存在が現れて諦めていたことを事も簡単に壊した。自分の目を疑った。確かにベッドで横たわって苦しそうにしている長。いつ見ても胸が裂けそうだった。変われるものなら自分が変わってあげたかった。


 それほどまでにこの長の存在はリザードマンにとって大きな存在だ。そんな長が汗を流しながら笑って集落を走って皆に声をかけていた。


 遂に幻覚を見始めたのかとも思った。だがそれにしては周りは声を失い泣いているものもいた。そのことが、幻覚ではなく現実なのだと知らしめていた。


 そのことを理解した瞬間頬を伝う涙が流れていた。無自覚に無意識に涙を流していた。


 「諦めていたんだ……もうカイマン様が元気になることは無いだろうと」


 長と話をして元気になった理由がメリナ様と共にいた人間の持ってきた野菜だというではないか。お礼がしたかった。ちゃんとあってお礼がしたかった。


 そして今そのお礼が言えてまた涙を流してた。再度、長が元気になったという現実をかみしめて。


 「諦めたら試合はそこで終了ですよ?」

 「……え?」

 「そんな名台詞がありまして。どんなことでも諦めた時が最後なんです、諦めなければ、可能性が少しでもあればそれはいつか叶う。僕はそう思います」


 安〇先生のセリフが今の状況にぴったりで使わせていただきました。可能性ってなんだろうね。何をもって可能性にするんだろう?


 「今回諦めてしまったならこれから先諦めないでくださいね?」


 今回は俺がタイミングよく来て長を元気にすることができたけれど。これから先ずっとこうなるわけはない。だから、今回は諦めてしまったのかもしれないけれど。


 「そうすれば、それはいつか叶いますよ」

 「……ドランノヴァ様に一目会いたいそんなのもかなうだろうか」


 ドランノヴァその名前が出た瞬間俺は心臓が飛び出るかと思った。正体がばれたのかと。しかし今までの言動の中でドランっぽいことはしてないはず。人間だと思われていたはずだ。


 ドキドキしている胸をばれないようにそっと抑えて。


 「叶うんじゃない?なんで会いたいのか知らないけど」


 何でもないようにさらっと言った。さらっと言えてたよね?しどろもどろになってないよね?大丈夫だよね?


 「そうか……なに今のエミール村を見てもらいたくてな。人と魔が共存している村を」

 「そういえばそんな目的がありましたね」


 忘れてました。自然な感じで出来た村のような気がするけどこれドランが無理やり作った村だったね。ドランめ!


 しかしオークとリザードマンは実質村にいないようなものだろう。ん?どこまでが村だ?人間が住んでるところだけ?オークがすんでるあの山の中とこのリザードマンがすんでいる川も村だとすれば共存できているかもしれないけど・・・・・・。


 でも人居ないよね両方とも。人居るのあそこだけでオークの所は知らないけどリザードマンのとこ人居ないよね。これを共存といっていいのだろうか?


 出張か。出張と考えればワンちゃんあり?


 なんにせよ一応は天狗族のクローラたちも居るし共存できてはいるよね。オークもリザードマンも食材を供給しているし。そういう意味では共存できている。


 「ささ、せっかくの宴ですよ?楽しまなくちゃ!」

 「フッ。そうだな」


 俺はリザードマンが開いてくれた宴を楽しむ事にした。料理は基本魚。てかこの川周辺で取れるものばかりだ。しかしながら俺としては始めてみる食材ばかりなのでウキウキしていた。


 あんまりこった料理は無かったけれど。魚の内臓をとって焼いたり煮たりしただけのシンプルな物ばかりだったけど、宴でみんなとワイワイやりながら食べるそれはとても美味しく感じられた。お祭りのときの出店と一緒だろう。味は特にそんな特別美味しいわけでもないのにいつもより美味しく感じられる。


 結局美味しく食べるためには楽しく食べる事が一番なんだね。


 





 リザードマンの皆とメリナ先輩で楽しい宴を開いて皆で笑っていつの間にか時間は過ぎ行き気がつけば皆寝静まっていた。俺は何故だか眠れなくて一人空を見上げてた。この世界に来て初めて?の夜。あの壁画のあったあの場所がどこなのか分からない。あそこもこの世界なのならば2回目だが。


 それでもゆっくりと落ち着いてこの夜の星空を見上げるのは始めてだ。数えるのも億劫になる程の星が暗い夜の空を光り輝いている。その星の位置や星そのものはあの世界とどのくらい違うのだろうか。きっと全く違うのだろうとは思う。


 肉眼で見る星はどれも一緒だ。だからどれがどう違うのかなんて分からない。分からなくとも綺麗に輝いているのは一緒だ。向こうに居たままだったらこうして星空を眺める事は無かっただろう。


 いいものだな。こうしてただ星空を眺めているのも。この静けさが。風の音が。心を落ち着かせてくれる。


 心が落ち着いてきたせいだろうか急に瞼が重くなってきた。俺はそれに逆らうことなく眠りについた。







 夜の星を見上げている。体を冷やす風もその音もこの星空を見えげるのに最適でとても心地よかった。生まれたときはこんなものに興味は無かったがふと見上げた時目を奪われた。


 いつも見ていたその星はその空はその日は何故だかとても綺麗に見えた。心を奪われた。今の自分の立場がどのようなものか分かっているのだが。


 むしろ分かっているからかもしれない。最期に見る景色は違って見えるものなのかもしれない。周りの従者たちが叫んでいるがそんなものは耳に入ってこなかった。


 その空よりも漆黒の体を動かすのをやめてただただ星を眺め最期のときを待つ。


 その星はまるで自分を照らしているかのように錯覚してしまうほどに輝いていて見ほれていて。


 その紅く燃えるような目は輝く星を一瞬も逃さずに捉えようと空を見上げている。その星の輝きを焼き付けようとしている。


 最期に見た景色それは美しいこの世界の星空。







 なにか夢を見ていた気がする。夢とはそんなものだけどこの世界の情報なのならば消えてほしくないんだよな。


 ふと頬に何かが流れる感覚があり手をやると頬が濡れていた。涙を流していた。あの夢に何か涙を流すものでもあったのだろうか?


 既に夢の内容は何一つとして覚えていないため確認する事は出来ない。


 夢を見て涙を流している自分に疑問を持っていると一人のリザードマンが大慌てでやってきた。


 「カイマン様!」

 「何事だ!こんな朝から」

 「ふ、封印の祠が」

 「何!?」


 俺が望んだ平和はこの一言によって音を立てて崩れ落ちていった。

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