A-6
おとエセです。
お手柔らかに、宜しくお願いします。
5/17 魔人がいるを魔人の生き残りが一人いるに修正しました。
5/17 逃げなさいの前に迷わずを追加。
5/17 どなたなんでしょうかの前に逃げろだなんて……でも、一体を追加。
5/17 妖鬼妃亡き今~の文を分け、豪語を追加。
追加追加で申し訳ない(泣)
『やぁ、ルーネリア。遠いところを、よく来てくれたね』
『お久しぶりです、お祖父様』
ルーネリアの祖父であるゴードン・アレクサンドは、久しぶりに顔を見せに来てくれた孫娘を、満面の笑みで迎え入れた。
『寝室ですまないね。どうも最近、体の調子が優れなくてね……』
祖父ゴードンの体調があまり芳しくなく、寝たきりであることは、自身の母親の手紙を通してルーネリアは記憶していた。
その為、仕事の合間を縫って、お見舞いに行くことを考慮してはいたものの、仕事の都合、なかなか行動に移せないでいたのだが……
と、ちょうどそこへ、『会いたい』との、祖父ゴードンからの手紙を受け、国へ申請したところ、数日ならと許可が下りたのだった。
『さあさあ、こっちへおいで』
『はい、お祖父様』
ルーネリアがゴードンの元へ歩み寄る。
すると、ゴードンはベッドから上半身を起こし始めた。
『お、お祖父様!?』
慌てて、ルーネリアがゴードンを支えに入り、
『あたたたた』
『これでどうでしょうか?』
『……うん。だいぶ楽になった。本当にすまないね』
ルーネリアの助けもあって、ゴードンは背もたれが付いてあるヘッドボードまで移動することが出来た。
『どれどれ、顔を見せておくれ?』
『はい』
ゴードンがルーネリアの顔に優しく手を添える。
しばらく孫娘の顔を眺めたあと、ゴードンは頷き、
『……ふむ。やはり、ルーネリアの顔はダリアより、コーネリアの方に面影があるね』
と、笑みをこぼした。
『お祖母様にですか?』
『うん。笑った顔が特にそっくりだ』
『ありがとうございます』
『ところでルーネリア? 勇者に選ばれたんだってね? 偉いね』
『え、偉いわけではありません! ただ、他の方より少し、人々を守る力が備わっているだけです』
『うんうん』
褒める祖父と照れる孫。
なんと微笑ましい光景だろうか。
ゴードンの身の回りを世話をする者達も、無意識のうちに笑顔に釣られ、この光景を目の当たりにしては、心暖まらずにはいられなかった。
◆◇◆
『そうそう』
ゴードンが手を叩く。
『せっかくの孫娘との大切な時間なんだ。お前達も休んでなさい』
やんわりとした主の退出願いに、使用人達はその場でお辞儀をすると、ゴードンの寝室から次々と姿を消していく。
『…………』
『お祖父様?』
気がつけば、ゴードンは窓の外をじっと見つめていた。
『人々を守る力……か』
『はい。大切な力です』
『そんなもの無ければよかったものを……』
『お、お祖父様!?』
『ダリアには無かった。
だから私はてっきり、コーネリアのそれは遺伝ではなく突発的なものだと……。
安堵していたはずが……結局、孫が同じ道を進むことに……』
『お祖母様から受け継いだ神の力です。人々の為に使わないで何になりましょう?』
『……ひと……びと!?』
窓の外に向けていたゴードン目が、機械的な顔の表情と共にルーネリアに向けられる。
『人々なんかどうでもいい!!
コーネリアの時と何もかも同じだ!!
民衆が何をした!?
神に選ばれし者と焚き付けておいて、ボロボロになるまでコーネリアを酷使し続けただけではないか!!
焚き付けた本人は安全な所で観ているだけで、危険な場面でも誰も助けには来てくれなかった!!
結局今度も!! 私の愛する者を守れる者は誰一人として居ないんだ!!』
『…………』
先ほどの満面の笑みと打って変わって、ゴードンは悲痛の涙を流していた。
『恐らく、私はもう永くはない』
『悲しいこと言わないで下さい!!』
『私の体のことは、私が一番分かっているつもりだよ』
『お祖父様!!』
『コーネリアから言伝がある』
『え!?』
『ダリアには関係なかったけど、ルーネリアは必要になるだろうからね……耳を』
近づけなさいと、ゴードンは人差し指を動かし、ルーネリアにジェスチャーを送る。
『妖鬼妃亡き今、勇者の名は知っていても、能力についての情報は魔族側には全く知られていない。
畏れるものは何もないと、国王自身が豪語し、宣言しているのは知っているね?』
『はい』
『一人いる』
『え!?』
『あの戦争で、コーネリアの技を受けても戦い続けていた魔人が一人、生き残っているんだ』
『でも、書物には殲滅と……』
『完全に隠蔽しているね。コーネリアは逃したと言っていた。間違いないよ』
『…………』
『もし遭遇したら迷わず逃げなさい。相手は妖鬼妃と同じ餓鬼族だったはずだ』
『逃げろだなんて……でも、一体どなたなんでしょうか?』
『確か名前は──』
誤字・脱字が御座いましたら、指摘のほど宜しくお願い致します。